「いつかはマラソン大会に出てみたい」「健康のためにランニングを始めたい」そう思っていても、何から手をつければ良いのか、特に「マラソン初心者は何キロから走ればいいの?」と疑問に思う方は多いのではないでしょうか。いきなり長い距離に挑戦して挫折してしまったり、怪我をしてしまったりするのは避けたいですよね。
この記事では、そんなマラソン初心者のあなたが、無理なく楽しくランニングを始め、いずれは目標の大会で完走できるまでの道のりを、やさしく丁寧に解説します。まずはご自身の体力と相談しながら、短い距離からスタートし、少しずつステップアップしていくことが大切です。この記事を読めば、あなたに合ったペースでマラソンへの第一歩を踏み出すための、具体的な練習方法や準備について知ることができます。
マラソン初心者が最初に走るべき距離は何キロから?

マラソンへの挑戦を決意したものの、最初のステップでつまずかないためには、自分のレベルに合った距離から始めることが非常に重要です。焦らず、着実にステップアップしていくことが、楽しく走り続けるための秘訣です。
まずはウォーキングから体を慣らそう
ランニング経験が全くない、あるいは運動から長期間離れていたという方は、いきなり走るのではなく、ウォーキングから始めるのがおすすめです。 「フルマラソンを目指すのにウォーキング?」と思うかもしれませんが、これは非常に重要な準備段階です。ウォーキングは、ランニングに必要な心肺機能や脚の筋力を安全に高めることができる有酸素運動です。
まずは背筋を伸ばし、腕をしっかり振って、いつもより少し速いペースで歩くことを意識してみましょう。 目標は「30分間、無理なく歩き続けること」。 これが余裕でできるようになったら、次のステップに進む準備ができたサインです。この段階で、運動を習慣化するリズムを作ることも大切な目的の一つです。
「3km」を目標に、会話できるペースで走ってみる
ウォーキングに慣れてきたら、いよいよランニングに挑戦です。マラソン初心者が最初に目標とすべき距離は「3km」程度がおすすめです。 もし3kmが難しいと感じる場合は、1〜2kmから始めても全く問題ありません。 ここで最も大切なのは、ペースです。
息が切れてしまうような速さではなく、「隣の人と会話を楽しめるくらいの、ゆったりとしたペース」を意識してください。 このペースは、体に過度な負担をかけずに、持久力を養うのに非常に効果的です。 距離を達成することよりも、気持ちよく走り終えることを優先しましょう。「もう少し走りたいな」と思えるくらいの余裕を持って終えるのが、継続のコツです。
週2〜3回、継続することを目標に
最初のうちは、毎日走る必要はありません。むしろ、週に2〜3回のペースで継続することを目標にしましょう。 ランニングは体に想像以上の負荷をかけるため、筋肉や関節を休ませる「休息日」を設けることが非常に重要です。 休息を挟むことで、体はトレーニングのダメージから回復し、より強く生まれ変わります(超回復)。無理に毎日走ると、疲労が蓄積し、かえって怪我のリスクを高めてしまいます。 大切なのは、無理のない範囲でトレーニングを計画し、「継続すること」です。 短期的な目標を設定し、それを一つずつクリアしていく達成感が、モチベーション維持につながります。
マラソン初心者が無理なく距離を伸ばすための練習メニューは何キロから意識する?

最初の目標である3kmをコンスタントに走れるようになったら、次のステップは距離を伸ばしていくことです。しかし、ここでも焦りは禁物。計画的にトレーニングを組み立てることで、怪我のリスクを抑えながら着実に走力を向上させることができます。
無理は禁物!「10%ルール」で徐々に距離を伸ばす
安全に走行距離を伸ばしていくための、世界的に知られた経験則に「10%ルール」というものがあります。これは、「1週間の合計走行距離を、前週の10%以上は増やさない」という考え方です。例えば、ある週に合計10km走ったとしたら、次の週の合計走行距離は11km以内に抑える、という具合です。急激に距離を伸ばすと、体への負荷が大きくなりすぎ、シンスプリント(すねの痛み)やランナー膝などの「使い過ぎ」による怪我を引き起こす可能性が高まります。 ゆっくりと段階的に距離を伸ばしていくことが、結果的に継続的なトレーニングにつながり、怪我のないランニングライフを送るための重要なポイントです。
長い距離への土台作り!LSDトレーニング
フルマラソン完走を目指す上で欠かせないのが、LSD(ロング・スロー・ディスタンス)トレーニングです。 これは文字通り、「長い距離を、ゆっくりとしたペースで走る」練習方法です。ペースの目安は、おしゃべりをしながらでも息が切れない、ジョギングよりもさらに遅いスピードで、「歩くより少し速い」くらいをイメージしてください。 このトレーニングの目的は、スピードを上げることではなく、長時間動き続けるための持久力や毛細血管を増やすこと、そしてエネルギー源として脂肪を効率よく使える体を作ることです。最初は60分、慣れてきたら90分、120分と時間を延ばしていくのがおすすめです。
心肺機能とスピードを向上させるインターバル走
LSDとは対照的に、心肺機能とスピードを高めるのに効果的なのがインターバル走です。これは、速いペースで走る「疾走期」と、ゆっくり走る(または歩く)「休息期(レスト)」を交互に繰り返すトレーニングです。 例えば、「400mを全力に近いペースで走り、200mをジョギングでつなぐ」というセットを数本繰り返します。この練習は体に大きな負荷がかかるため、初心者はいきなり行う必要はありませんが、5kmや10kmのレースでタイムを狙いたい、あるいは走りにメリハリをつけたいという段階になったら、週に1回程度取り入れてみると良いでしょう。 必ず十分なウォーミングアップを行ってから始めてください。
脚力強化に効果的!坂道トレーニング
平地だけでなく、坂道(ヒル)を走るトレーニングを取り入れると、効率的に脚力、特に太ももの裏側(ハムストリングス)やお尻の筋肉を鍛えることができます。坂道を上る動きは、平地を走るよりも大きな筋力を必要とするため、短い時間でも高いトレーニング効果が期待できます。また、心肺機能の強化にもつながります。練習方法としては、100〜200mほどの坂道を見つけ、そこを駆け上がるダッシュを数本繰り返す「ヒル・リピート」が一般的です。下りはゆっくりジョギングで下り、呼吸を整えながら繰り返します。このトレーニングも負荷が高いため、週に1回程度、練習メニューのアクセントとして加えるのがおすすめです。
マラソン初心者が知っておきたい、何キロからでも役立つ準備と注意点

快適で安全なランニングライフを送るためには、走る距離に関わらず、適切な準備と体への配慮が不可欠です。ここでは、初心者が特に知っておきたい基本的なポイントを解説します。
怪我予防の第一歩!ランニングシューズの選び方
ランニングを始めるにあたって、最も重要なアイテムがランニングシューズです。 日常で履いているスニーカーや他のスポーツ用シューズで走ると、衝撃をうまく吸収できず、膝や足首を痛める原因になります。 ランニングシューズは、着地の衝撃を和らげるクッション性や、安定性を高める機能が備わっています。 初心者のうちは、スピードを出すための軽量モデルよりも、足を守るクッション性の高いシューズを選ぶのがおすすめです。 選ぶ際は、必ず試し履きをしましょう。 時間帯は、足がむくみやすい午後が最適です。 履いた際には、つま先に1cmほどの余裕があるか、かかとがしっかりフィットするかを確認してください。
疲れにくい走り方を身につける!正しいランニングフォーム
正しいランニングフォームを身につけることは、怪我を防ぎ、エネルギー消費を抑えて効率よく走るために非常に重要です。 間違ったフォームで走り続けると、体の特定の部分に負担が集中し、痛みの原因となります。 意識したいポイントはいくつかありますが、まずは「背筋を伸ばし、視線は足元ではなく5mほど先を見る」ことから始めましょう。 これにより、体が丸くなるのを防ぎ、スムーズな重心移動を促します。腕はリラックスして、肘を軽く曲げ、体の真横でリズミカルに振ります。着地は、体の重心の真下あたりに、足裏全体で優しく着地するイメージを持つと、ブレーキがかかりにくく、膝への負担も軽減されます。
走る前後の新常識!ウォーミングアップとクールダウンの重要性
走る前には必ずウォーミングアップを、走り終わった後にはクールダウンを行いましょう。 ウォーミングアップは、筋肉や関節を温めて動きやすくし、怪我を予防する目的があります。筋肉をゆっくり伸ばす静的ストレッチよりも、関節を動かしたり軽く体を弾ませたりする動的ストレッチがおすすめです。 一方、クールダウンは、運動で高まった心拍数を徐々に落ち着かせ、疲労物質の排出を促す役割があります。 ゆっくりとしたジョギングやウォーキングの後、筋肉や関節をじっくり伸ばす静的ストレッチを行うのが効果的です。 これらを習慣にすることで、体の回復を早め、次のランニングに良いコンディションで臨むことができます。
パフォーマンスを支える!栄養補給と水分摂取の基本
ランニングのパフォーマンスは、食事や水分補給によって大きく左右されます。特に長距離を走るようになると、エネルギー切れ(ガス欠)や脱水症状を防ぐことが重要になります。走る前には、エネルギー源となる炭水化物(ごはん、パン、パスタなど)を中心に、消化の良い食事を摂りましょう。
揚げ物など脂質の多いものは、消化に時間がかかり胃に負担をかけるため避けた方が賢明です。 また、水分補給は喉が渇く前に行うのが基本です。 ランニング中は15〜20分おきに、一口か二口程度のスポーツドリンクを飲むのがおすすめです。 走り終わった後は、疲労回復を助けるために、炭水化物とタンパク質(肉、魚、卵、大豆製品など)をバランス良く摂取することを心がけましょう。
マラソン大会デビュー!初心者は何キロの大会から挑戦するのがおすすめ?

日々のトレーニングを重ね、走ることに自信がついてきたら、いよいよマラソン大会への出場を考えてみましょう。大会という目標を持つことは、モチベーションを高く維持する上で非常に効果的です。初心者は、いきなりフルマラソンに挑戦するのではなく、段階を踏んでいくのが成功の秘訣です。
まずは雰囲気に慣れる!5kmや10kmの大会
初めてマラソン大会に出場するなら、5kmや10kmといった比較的短い距離の大会から始めるのがおすすめです。 これらの距離であれば、ランニングを始めたばかりの方でも、数ヶ月の練習で完走を目指すことが可能です。 まずは大会独特の雰囲気、例えばスタート前の高揚感や沿道の応援、給水所の利用方法などに慣れることが大切です。 完走という成功体験を積むことで、大きな自信につながり、次のステップへの意欲が湧いてくるでしょう。 多くの大会では制限時間も比較的緩やかに設定されているため、タイムを気にしすぎず、お祭りに参加するような気持ちで楽しむことができます。
自信をつけよう!ハーフマラソンへの挑戦
10kmの大会を無理なく走れるようになったら、次の目標としてハーフマラソン(21.0975km)に挑戦してみましょう。 フルマラソンの半分の距離であるハーフマラソンは、初心者からベテランまで幅広い層のランナーに人気の種目です。 この距離を走りきることができれば、持久力や走力にかなりの自信が持てるようになり、フルマラソン完走が現実的な目標として見えてきます。 練習としては、週に1回は10km以上の距離を走る日を設け、LSDトレーニングなどで長い時間動き続けることに体を慣らしていく必要があります。 大会の制限時間は2時間半から3時間に設定されていることが多く、1kmあたり7分程度のペースで走れば完走が可能です。
憧れの舞台へ!フルマラソン完走までの道のり
ハーフマラソンを完走できれば、いよいよ最終目標であるフルマラソン(42.195km)への挑戦です。 フルマラソン完走には、計画的なトレーニングが不可欠であり、一般的には大会の半年前から準備を始めるのが理想的とされています。 月間の走行距離は100km程度を目安に、週3〜4回の練習を継続することが推奨されます。 トレーニングの柱となるのは、引き続きLSDやペース走ですが、大会の1〜2ヶ月前には、20km〜30kmといった、より長い距離を走る練習(距離走)を経験しておくことが、本番への自信とスタミナの養成につながります。 大会選びも重要で、初心者の場合は制限時間が6時間以上と長めに設定されている大会や、コースの起伏が少ない大会を選ぶと良いでしょう。
【まとめ】マラソン初心者は何キロからでも大丈夫!自分のペースで始めよう

マラソン初心者が走り始める距離に、決まった正解はありません。大切なのは、周りと比べることなく、ご自身の体力レベルに合わせて、無理のない距離からスタートすることです。
まずはウォーキングから体を慣らし、次に「会話ができるペースで3km」を目標にしてみましょう。そして何よりも、週2〜3回というペースで「継続すること」を意識してください。
距離を伸ばす際は、焦らず「10%ルール」を守り、LSDトレーニングなどで着実に持久力を養うことが怪我の予防につながります。また、自分に合ったシューズ選びや正しいフォーム、走る前後のケアも、楽しく走り続けるためには欠かせません。
そして、練習の成果を試す場として、まずは5kmや10kmの大会に挑戦し、完走の喜びを味わうことで、ハーフ、そしてフルマラソンへとステップアップしていくモチベーションが生まれます。
この記事を参考に、あなたも今日からマラソンへの第一歩を踏み出してみませんか。自分のペースで、ゴールを目指す道のりを楽しみましょう。



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