マラソンに挑戦したいけれど、どんな服装で走ればいいのかわからない。そんな悩みを抱えるマラソン初心者の方は多いのではないでしょうか。ランニングは誰でも気軽に始められるスポーツですが、適切な服装を選ぶことで、より快適に、そして安全に楽しむことができます。
この記事では、マラソン初心者がまず揃えるべき基本的な服装から、季節に合わせたウェアの選び方、さらにあると便利なグッズまで、わかりやすく解説します。お気に入りのウェアを身につければ、走るモチベーションもきっと上がるはずです。 機能性とデザイン性を兼ね備えた服装で、マラソンへの第一歩を踏み出しましょう。
マラソン初心者がまず揃えるべき基本の服装

マラソンを始めるにあたり、特別なウェアをたくさん買い揃える必要はありません。まずは、ランニングの基本となるアイテムをいくつか用意することから始めましょう。ここでは、マラソン初心者が最初に揃えたい基本的な服装について解説します。
1. ランニングシューズ|最も重要な相棒
マラソンを始める上で、最も重要と言っても過言ではないのがランニングシューズです。普段履いているスニーカーでも走ることはできますが、ランニング専用のシューズは、着地の衝撃を和らげるクッション性や、走りやすさをサポートする機能に優れています。 怪我の予防やパフォーマンスの向上のためにも、自分の足に合ったランニングシューズを用意しましょう。
初心者の方におすすめなのは、クッション性が高く、足への負担を軽減してくれるモデルです。 メーカーによって足幅の作りや特徴が異なるため、実際に店舗で試し履きをすることが大切です。 試し履きをする際は、夕方など足が少しむくんだ時間帯に行うと、より自分の足にフィットしたサイズを選びやすいと言われています。 アシックスやミズノ、ナイキ、アディダスなど、さまざまなブランドから初心者向けのモデルが販売されているので、デザインの好みなども考慮しながら、お気に入りの一足を見つけてみてください。
2. トップス(Tシャツ・シャツ)|吸汗速乾性がカギ
ランニング中はたくさんの汗をかくため、トップスの素材選びは非常に重要です。 日常で着る機会の多い綿(コットン)素材のTシャツは、吸水性には優れていますが、乾きにくいという性質があります。 汗で濡れたままのシャツを着て走ると、体が冷えてしまったり、シャツが肌に張り付いて不快に感じたりする原因になります。
そこでおすすめなのが、ポリエステルなどの化学繊維で作られた、吸汗速乾性の高い機能性Tシャツです。 吸汗速乾性のあるウェアは、汗を素早く吸収し、生地の外へ逃がしてくれるため、肌をドライで快適な状態に保ってくれます。 さらに、通気性の良いものを選べば、ウェア内の温度調整もしやすくなります。 季節に合わせて、半袖、長袖、ノースリーブなどを使い分けると良いでしょう。
3. ボトムス(パンツ・ショーツ)|動きやすさを重視
ボトムスは、足を動かしやすいショートパンツやハーフパンツが基本となります。 長いジャージは、特に走り慣れていない初心者にとっては、生地が足にまとわりついて走りにくさを感じる場合があります。 丈の短いパンツに抵抗がある方は、後述するランニングタイツと重ね着するスタイルがおすすめです。
素材はトップスと同様に、汗をかいても快適な吸汗速乾性の高いものを選びましょう。最近では、スマートフォンや鍵などの小物を収納できるポケット付きのパンツも多く販売されており、手ぶらで走りたい方には非常に便利です。 デザインや色も豊富なので、トップスとのコーディネートを楽しみながら選んでみてください。
4. ランニングソックス|見落としがちな重要アイテム
ウェアやシューズに比べると見落とされがちですが、ランニングソックスも快適なランニングを支える重要なアイテムです。普段履いている靴下でも走ることはできますが、ランニング専用のソックスは、ランニング中の足の動きを考慮して作られています。
具体的には、靴の中で足が滑るのを防ぐ滑り止め機能や、土踏まずを支えて衝撃を緩和するアーチサポート機能、マメができにくいように縫い目をなくした構造など、さまざまな工夫が凝らされています。 形状も、一般的なノーマルタイプから、指を一本一本自由に動かせる5本指タイプまであります。 5本指タイプは、地面をしっかりと掴む感覚が得やすく、指の間の汗も吸収してくれるため、長距離を走る際には特に快適です。自分に合ったソックスを選ぶことで、足のトラブルを防ぎ、より快適な走りを実現できます。
【季節別】マラソン初心者の服装|快適に走るための調整術

ランニングを快適に続けるためには、季節や気温に合わせた服装選びがとても大切です。ここでは、春夏秋冬それぞれの季節に適した服装のポイントを、具体的なアイテムとともにご紹介します。
春・秋(15℃~20℃)の服装|体温調整しやすい重ね着スタイル
春や秋は、日中は暖かくても朝晩は冷え込むなど、一日の中での寒暖差が大きい季節です。そのため、体温調節がしやすい服装を心がけることがポイントになります。 基本のスタイルは「半袖Tシャツ+ハーフパンツ」ですが、走り始めの肌寒さを感じる時には、薄手のウィンドブレーカーやパーカーを羽織ると良いでしょう。
体が温まってきたらすぐに脱げるように、軽量でコンパクトに収納できるタイプが便利です。 また、腕だけをカバーできるアームカバーも、手軽に体温調節ができる便利なアイテムです。 ボトムスは、ハーフパンツだけでは少し肌寒いと感じる場合、ランニングタイツを下に履くのがおすすめです。 気温の変化に対応できる重ね着(レイヤリング)スタイルで、快適なランニングを楽しみましょう。
夏(25℃以上)の服装|熱中症・紫外線対策を万全に
夏のランニングで最も気をつけたいのが、熱中症と紫外線です。ウェアは、吸汗速乾性と通気性に優れたものを選び、体温の上昇をできるだけ抑えることが重要です。 トップスは半袖Tシャツや、より涼しいノースリーブシャツがおすすめです。
そして、夏のランニングに欠かせないのが帽子です。 直射日光から頭部を守ることで、熱中症のリスクを大幅に減らすことができます。汗が目に入るのを防ぐ効果もあります。素材は、熱がこもりにくいメッシュタイプのキャップやサンバイザーが良いでしょう。 さらに、日焼けは体力を消耗させる原因にもなるため、UVカット機能のあるウェアやアームカバー、サングラスなどを活用して、紫外線対策をしっかりと行いましょう。 こまめな水分補給も忘れないようにしてください。
冬(10℃以下)の服装|防寒と汗冷え対策の両立
冬のランニングは、寒さ対策が最も重要になります。しかし、ただ厚着をすれば良いというわけではありません。走り始めは寒くても、体を動かしているうちに汗をかきます。その汗が冷えることで体温を奪い、かえって体を冷やしてしまう「汗冷え」が起こる可能性があるからです。
冬の服装のポイントは、「レイヤリング(重ね着)」です。基本は、以下の3層を意識すると良いでしょう。
1. ベースレイヤー(肌着): 肌に直接触れる層。吸汗速乾性に優れた素材で、汗を素早く吸い上げて肌をドライに保つ役割があります。
2. ミドルレイヤー(中間着): 保温性を担当する層。長袖Tシャツや薄手のフリースなどがこれにあたります。体温を保持し、ベースレイヤーが吸い上げた汗を外に逃がします。
3. アウターレイヤー(外着): 風や雨から体を守る層。防風性や撥水性のあるウィンドブレーカーやジャケットを選びます。
これらに加えて、手袋(ランニンググローブ)やネックウォーマー、ニット帽といった小物で、体の末端や首元を冷えから守ることも大切です。走り出して体が温まってきたら、アウターを脱ぐなどして、こまめに体温を調節しましょう。
マラソン初心者のパフォーマンスを上げる服装・小物類

基本的なウェアに加えて、パフォーマンスの向上や快適性をさらに高めてくれるアイテムがあります。ここでは、マラソン初心者の走りをサポートしてくれる便利な服装や小物類を紹介します。
ランニングタイツ(コンプレッションタイツ)|疲労軽減をサポート
ランニングタイツ(スパッツとも呼ばれます)は、多くのランナーが着用しているアイテムです。 ランニングタイツには、大きく分けて「サポート機能」と「コンプレッション機能」を持つものがあります。
サポート機能のあるタイツは、テーピング理論を応用した設計で、膝や股関節などへの負担を軽減する効果が期待できます。 走り慣れていない初心者は、フォームが安定せず膝などを痛めやすいため、怪我の予防に役立ちます。
一方、コンプレッション(着圧)機能のあるタイツは、足全体に適度な圧力をかけることで、筋肉の無駄な揺れを抑制します。 これにより、エネルギーの消費を抑え、疲労の軽減につながるとされています。 必ずしも必須のアイテムではありませんが、長距離を走る際の疲労を和らげたり、怪我のリスクを減らしたりする助けになるでしょう。
ランニングキャップ・サンバイザー|日差しと汗から守る
夏のアイテムとして紹介しましたが、ランニングキャップやサンバイザーは季節を問わず役立つアイテムです。 晴れた日の紫外線対策はもちろんのこと、雨の日には視界を確保するのに役立ちます。
また、ランニング中は顔に汗が流れ落ちてくることがありますが、キャップやサンバイザーを被ることで、汗が目に入るのを防ぐ効果もあります。 素材は、通気性の良いメッシュ素材や、吸汗速乾性に優れたものがおすすめです。デザインも豊富なので、ウェアとのコーディネートを楽しむのも良いでしょう。
ランニングポーチ・バックパック|荷物をスマートに携帯
自宅の鍵やスマートフォン、小銭、水分補給用のドリンクなど、ランニング中に持ち運びたいものは意外と多いものです。 ポケット付きのパンツもありますが、揺れが気になったり、容量が足りなかったりすることもあります。
そんな時に便利なのが、ランニングポーチやウエストバッグです。体にフィットするデザインのものを選べば、揺れを気にすることなく快適に走れます。 スマートフォンや鍵、エナジージェルなどを収納できるコンパクトなタイプから、小さなペットボトルを収納できるタイプまで様々です。 走る距離や荷物の量に合わせて選びましょう。長距離の練習やトレイルランニングなど、より多くの荷物が必要な場合は、ランニング専用のバックパックも選択肢になります。
ランニンググローブ・アームカバー|細かな体温調節に
ランニンググローブ(手袋)やアームカバーは、細かな体温調節に非常に便利なアイテムです。冬場の防寒具としてだけでなく、さまざまなシーンで活躍します。
ランニンググローブは、特に冷えやすい指先を寒さから守ってくれます。体が温まっても、指先だけは冷たいままということも少なくありません。薄手で着脱しやすいものを選べば、体温に合わせて調整できます。
アームカバーは、春や秋の肌寒い時間帯に重宝します。半袖Tシャツと組み合わせることで、長袖シャツのような感覚で使え、暑くなればすぐに腕から外して手首にまとめたり、ポーチに収納したりできます。 また、夏場には日焼け対策としても有効です。 UVカット機能のあるものを選べば、強い日差しから肌を守ってくれます。
マラソン初心者が服装選びで失敗しないためのQ&A

ここまでマラソンに適した服装について解説してきましたが、初心者の方が抱きやすい疑問について、Q&A形式でさらに詳しくお答えします。
Q1. 普通のTシャツやジャージではダメ?
走り始めるにあたって、「家にあるTシャツやジャージではダメなの?」と疑問に思う方もいるでしょう。結論から言うと、短い距離を軽いペースで走る程度であれば、普段着でも問題はありません。 しかし、快適に、そして継続的にランニングを楽しみたいのであれば、ランニング専用のウェアをおすすめします。
一番の理由は、汗の処理能力の違いです。普段着に多い綿素材のTシャツは、汗を吸うと乾きにくく、体が冷える原因になります。 また、重くなったウェアが肌にまとわりつき、走りの妨げにもなりかねません。 一方、ランニングウェアは吸汗速乾性に優れたポリエステルなどの素材が使われており、汗をかいても快適な状態を保ってくれます。 まずは専用のTシャツとパンツを揃えるだけでも、走りの快適さは大きく変わるはずです。
Q2. ランニングタイツは本当に必要?
ランニングタイツは多くのランナーが着用していますが、絶対に必要というわけではありません。 しかし、特に初心者にとっては多くのメリットがあります。
ランニングタイツには、関節の負担を軽減するサポート機能や、筋肉のブレを抑えて疲労を軽減するコンプレッション機能があります。 走り慣れていない初心者は、ランニングフォームが安定せず膝などを痛めやすいため、怪我の予防につながります。 また、足の疲労が軽減されれば、より長い距離を快適に走れるようになり、モチベーションの維持にもつながるでしょう。 その他にも、冬の防寒対策や夏の日焼け対策としても役立ちます。 まずは試してみて、その効果を実感してみるのも良いかもしれません。
Q3. シューズはどんなものを選べばいいの?
ランニングシューズは、マラソンの服装の中で最も重要なアイテムです。 初心者の方は、まず「クッション性」を重視して選ぶと良いでしょう。 ランニング中は、着地の際に体重の約3倍もの衝撃が足にかかると言われています。クッション性の高いシューズは、この衝撃を和らげ、膝や足首への負担を軽減してくれます。
また、自分の足の形に合っていることも非常に大切です。 足の幅や甲の高さは人それぞれなので、必ず店舗で試し履きをしましょう。 店員さんに相談し、足のサイズを正確に計測してもらうのもおすすめです。ナイキ、アシックス、ミズノなど、各メーカーが初心者向けのモデルを多数展開しているので、機能性やデザインを比較しながら、自分にぴったりの一足を見つけてください。
Q4. 夜間に走る時の服装の注意点は?
仕事終わりなど、夜間にランニングをする方も多いでしょう。夜間に走る際に最も重要なのは、安全性、特に「視認性」の確保です。暗い色のウェアは夜道に溶け込んでしまい、車や自転車、歩行者から認識されにくく、非常に危険です。
そのため、できるだけ白や黄色、蛍光色などの明るい色のウェアを選ぶようにしましょう。 さらに、車のライトなどに反射して光る「リフレクター(再帰反射材)」が付いたウェアやシューズを選ぶと、より安全性が高まります。 リフレクター付きのアームバンドやベストなどのグッズも市販されているので、手持ちのウェアにプラスするのも良い方法です。安全にランニングを楽しむために、夜間は「自分の存在を周囲に知らせる」ことを強く意識した服装を心がけてください。
まとめ マラソン初心者は服装を味方につけて、楽しく走り出そう

この記事では、マラソン初心者の方向けに、服装選びの基本から季節ごとのポイント、あると便利なアイテムまで幅広く解説しました。
最初は、吸汗速乾性に優れたTシャツとパンツ、そして自分の足に合ったランニングシューズという基本の服装から揃えれば十分です。 慣れてきたら、季節の変化に対応するためのウィンドブレーカーや、パフォーマンスをサポートしてくれるランニングタイツなどを少しずつ加えていくと良いでしょう。
適切な服装は、ランニング中の不快感を軽減し、怪我のリスクを減らしてくれるだけでなく、お気に入りのデザインを選べばモチベーションアップにも繋がります。 まずは形から入るのも、ランニングを楽しく続けるための一つの方法です。この記事を参考に、あなたにぴったりの服装を見つけて、快適なマラソンライフをスタートさせてください。



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