「フルマラソンに挑戦したいけど、どれくらいのペースで走ればいいの?」「練習ではどんなペースを意識すればいいんだろう?」そんな疑問を抱えるマラソン初心者の方へ。42.195kmという長い距離を走り切るためには、自分に合った「ペース」を理解し、コントロールすることが非常に重要です。ペース配分を間違えると、後半に失速してしまい、苦しい走りになるだけでなく、完走すら難しくなってしまいます。
この記事では、マラソン初心者の方が知っておくべきペースの基本から、具体的な目標タイム別のペース設定、そして本番でペースを維持するための実践的な練習方法やコツまで、わかりやすく解説します。ペースに関する知識を深め、計画的にトレーニングを積むことで、初めてのフルマラソンでも、きっと笑顔でゴールテープを切ることができるでしょう。さあ、あなたもこの記事を参考に、完走、そして目標タイム達成への第一歩を踏み出しましょう。
マラソン初心者が知っておくべきペースの基本

フルマラソン完走を目指す上で、まず理解しておきたいのが「ペース」の概念です。なんとなく走るのではなく、ペースを意識することで、練習の質も本番の結果も大きく変わってきます。ここでは、マラソン初心者の方が最初に押さえておきたいペースの基本的な知識について解説します。
「ペース」とは?1kmあたりのタイムを意識しよう
ランニングにおける「ペース」とは、一般的に「1kmを何分で走るか」という時間を指します。 例えば、「キロ7分ペース」と言えば、1kmを7分かけて走る速さのことです。 マラソンのような長距離走では、このペースを一定に保つことが、エネルギー消費を抑え、最後まで走り切るために重要になります。
自分の現在のペースを知るには、「走った時間 ÷ 走った距離」で計算できます。例えば、3kmを24分で走った場合、24分 ÷ 3km = 8分/kmとなり、ペースは「キロ8分」となります。 練習の際は、ただ走るだけでなく、自分がどのくらいのペースで走っているのかを常に意識する習慣をつけましょう。
なぜマラソン初心者にとってペースが重要なのか?
マラソン初心者にとってペース管理が重要な理由は、主に「オーバーペースの防止」と「目標達成への道しるべ」という2つの側面にあります。
まず、初心者が陥りがちな失敗が、レース序盤のオーバーペースです。 大会の高揚感や周りのランナーの速さにつられて、自分の実力以上のペースで入ってしまうと、エネルギーを早期に使い果たし、30km地点を過ぎたあたりで急激に失速する、いわゆる「30kmの壁」にぶつかってしまいます。 事前に自分のペースを把握し、レース本番でそれを守ることが、完走への最大の近道です。
また、ペースは具体的な目標設定を可能にします。例えば「サブ5(5時間切り)」を目指すなら、1kmあたり約7分00秒のペースが必要、といった具体的な数値目標が立てられます。 これにより、日々の練習で何をすべきかが明確になり、モチベーション維持にも繋がります。
ペース感覚を身につける簡単な方法
頭でペースを理解するだけでなく、身体で覚える「ペース感覚」を養うことが大切です。ペース感覚を身につけるには、GPS機能付きのランニングウォッチやスマートフォンのランニングアプリを活用するのが最も簡単で効果的です。
これらのデバイスは、リアルタイムで現在のペース、距離、時間を表示してくれます。 例えば、「今日はキロ8分ペースで5km走る」と決めて、ウォッチの表示を見ながら走ることで、そのペースがどれくらいの感覚なのかを身体に覚えさせることができます。最初は画面を頻繁に確認することになりますが、慣れてくると、体感だけでおおよそのペースがわかるようになってきます。まずは、おしゃべりしながらでも走れるくらいの心地よいペースを見つけることから始めましょう。
【目標別】マラソン初心者のペース設定

フルマラソンへの挑戦を決めたら、次に具体的な目標タイムを設定しましょう。目標タイムが決まれば、そこから逆算して1kmあたりの目標ペースが明確になります。ここでは、初心者ランナーが目指しやすい代表的な目標タイムと、それぞれに必要なペース配分を解説します。
まずは完走が目標!無理のないペースとは?
初めてのフルマラソンで最も大切な目標は、制限時間内に「完走」することです。 多くの市民マラソン大会の制限時間は6時間から7時間に設定されています。
例えば、制限時間7時間の場合、単純計算では1kmあたり約9分58秒のペースで間に合います。制限時間6時間なら、1kmあたり約8分32秒です。しかし、実際にはスタート時の混雑や給水、トイレ休憩の時間も考慮に入れる必要があります。そのため、1kmあたり8分~9分程度のペースを維持できれば、余裕をもって完走できるでしょう。
このペースは、少し息が弾む程度、あるいは隣の人と会話ができるくらいのゆっくりとしたジョギングです。 練習では、まずこのペースで長い時間動き続けることに体を慣らしていくことが重要です。
6時間切り(サブ6)を目指すためのペース配分
「サブ6」、つまり6時間以内の完走は、初心者にとって一つの達成感ある目標です。6時間(360分)で42.195kmを走るには、1kmあたり約8分32秒のペースが必要になります。
ただし、これも単純計算の平均ペースです。スタート直後の混雑や後半の疲れを考慮すると、練習段階では1kmあたり8分10秒~8分20秒くらいで走れるようにしておくと安心です。 レース本番では、前半は少し抑えめのキロ8分30秒前後で入り、体力を温存する「ネガティブスプリット(後半にペースを上げる走り方)」を意識すると、後半の失速を防ぎやすくなります。 完走が目標の場合と同様に、途中で歩くことも戦略の一つとして考えておきましょう。
5時間切り(サブ5)を目指すためのペース配分
マラソンを始めて少し自信がついてきたランナーが次に目指すのが「サブ5(5時間切り)」です。5時間(300分)で完走するためには、1kmあたり約7分06秒の平均ペースが必要です。
こちらも給水や多少のペースダウンを見越して、練習では1kmあたり6分50秒~7分00秒のペースを意識すると良いでしょう。 サブ5を目指すレベルになると、ただゆっくり走るだけでなく、目標ペースを維持する筋持久力や心肺機能が求められます。 普段の練習から、この目標ペースで一定の距離を走る「ペース走」などを取り入れて、身体にペースを覚えさせることが重要です。
レースプランとしては、前半をキロ7分5秒~10秒程度で安定して走り、後半も大きくペースを落とさずに粘る「イーブンペース」が理想的です。
サブ4(4時間切り)を目指すチャレンジャーのペース
市民ランナーにとって大きな目標の一つが「サブ4(4時間切り)」です。これは全完走者の上位3割程度に入ると言われる、価値のある記録です。サブ4を達成するには、1kmあたり約5分41秒という、初心者にとってはかなり速いペースを維持し続ける必要があります。
このレベルを目指すには、計画的なトレーニングが不可欠です。 目標ペースであるキロ5分40秒を維持するためには、それよりも速いペースでの練習(インターバル走など)も必要になります。 また、レース後半の失速を防ぐための「脚づくり」、つまり長距離を走りきるための筋持久力を徹底的に鍛えることが重要です。
レースでは、前半のオーバーペースは絶対に避けなければなりません。 最初の5kmはウォーミングアップと割り切り、少し余裕を持ったペースで入ることが、後半の粘りにつながります。
マラソン初心者が実践したいペースを意識した練習法

目標ペースが決まったら、次はそのペースで42.195kmを走りきるための体づくりです。やみくもに走るのではなく、目的に合わせた練習を組み合わせることで、効率的に走力を高めることができます。ここでは、マラソン初心者がペース感覚を養い、持久力を向上させるためにおすすめの練習法を4つ紹介します。
LSD(ロング・スロー・ディスタンス)で持久力を養う
LSDとは「Long Slow Distance」の略で、その名の通り「長く、ゆっくり、距離(時間)を走る」トレーニングです。 おしゃべりできるくらいの楽なペース(キロ7分~8分程度が目安)で、90分以上走り続けることを目的とします。
このトレーニングの最大の効果は、マラソンに不可欠な持久力の基礎を築けることです。 ゆっくり長く走ることで、全身に酸素を運ぶ毛細血管が発達し、長距離を楽に走れるようになります。 また、エネルギー源として脂肪が使われやすくなるため、スタミナが向上します。 さらに、余裕のあるペースで走るため、正しいランニングフォームを意識しやすく、ケガの予防にも繋がります。 まずは60分から始め、徐々に時間を延ばしていくと良いでしょう。
ペース走で目標ペースを身体に覚えさせる
ペース走は、自分が目標とするマラソンのレースペースで、一定の距離(例えば5kmや10km)を走り続ける練習です。 例えば、サブ5を目指すならキロ7分ペースで、サブ4を目指すならキロ5分40秒ペースで走ります。
この練習の目的は、目標ペースを身体に覚え込ませ、そのペースで走ったときに自分の体がどう感じるかを確認することです。 レース本番では、このペース走で培ったペース感覚が、オーバーペースを防ぎ、安定した走りを生み出します。 最初はきつく感じるかもしれませんが、繰り返すことで心肺機能や筋持久力が向上し、徐々に楽に走れるようになります。
ビルドアップ走で後半の粘りを鍛える
ビルドアップ走は、走り始めはゆっくりしたペースで入り、徐々にペースを上げていき、最後は目標のレースペースかそれ以上の速さで終えるトレーニングです。 例えば、10km走るなら、最初の5kmはジョギングペース、次の3kmをレースペース、最後の2kmをレースペースより少し速いペースで走る、といった形で行います。
このトレーニングは、レース後半のきつくなった場面でペースを維持、あるいは上げるための粘りを養うのに非常に効果的です。 体が疲労した状態でペースを上げることで、心肺機能とスピード持久力の両方を効率的に鍛えることができます。 また、走り始めがゆっくりなので、ウォーミングアップの時間を短縮できるというメリットもあります。
インターバル走でスピードアップを目指す(少し上級者向け)
インターバル走は、速いペースで走る「急走」と、ゆっくり走る(または歩く)「緩走」を交互に繰り返す、負荷の高いトレーニングです。例えば、「400mを全力に近いペースで走り、200mをジョギングでつなぐ」というセットを数本繰り返します。
この練習は、スピードそのものを向上させる効果や、心肺機能を極限まで追い込むことで最大酸素摂取量を高める効果が期待できます。 レースペースに余裕を持たせるために有効ですが、体への負担が大きいため、ランニングに慣れていない初心者がいきなり行うと怪我のリスクが高まります。 LSDやペース走などで基礎的な走力がついてから、サブ4などの高い目標を目指す段階で取り入れるのがおすすめです。
マラソン本番で初心者がペースを維持するコツ

練習で目標ペースを身につけても、レース本番の独特の雰囲気の中では、冷静にペースを維持するのが難しいものです。ここでは、マラソン初心者が本番でオーバーペースに陥らず、最後まで自分の走りを貫くためのコツをいくつかご紹介します。
周りのペースに惑わされない!スタート時の注意点
マラソン大会のスタート地点は、数千、数万人のランナーでごった返しています。 この混雑と高揚感から、周りの流れにつられて自分のペースを見失いがちです。 スタート直後は、アドレナリンが出ていて体が軽く感じる「セカンドウインド」という状態になりやすく、ここでペースを上げてしまうと後半に必ず失速します。
大切なのは、「序盤は絶対に頑張らない」と心に決めることです。 スタートから数キロはウォーミングアップと割り切り、混雑が解消されるまでは流れに身を任せ、意識的にペースを抑えましょう。 他のランナーをジグザグに追い抜くのは、体力の無駄遣いなので厳禁です。 落ち着いて自分のペースを刻み始めることに集中してください。
給水・給食のタイミングとペースへの影響
42.195kmという長丁場では、エネルギー補給と水分補給が不可欠です。エイドステーション(給水・給食所)は必ず立ち寄り、こまめに補給しましょう。脱水やエネルギー切れは、急激なペースダウンの直接的な原因になります。
給水をスムーズに行うためには、少し手前から走路の端に寄り、テーブルの奥の方でコップを取ると混雑を避けやすいです。立ち止まらずに、ペースを落として歩きながら飲むのがおすすめです。固形の補給食を食べる際も、焦らずに一度ペースを落とし、しっかり噛んでから走り始めましょう。補給をレースプランに組み込んでおくことで、ペースの乱れを最小限に抑えることができます。
心拍数を意識したペースコントロール
ペースを客観的に管理する上で非常に役立つのが心拍数です。 ランニングウォッチの多くには心拍計が搭載されており、リアルタイムで自分の運動強度を把握できます。
一般的に、フルマラソンを走りきるのに適した心拍数は、最大心拍数の70%~80%程度と言われています。 例えば、いつもはキロ7分で心拍数が150bpmなのに、レース序盤で同じペースで160bpmを超えているようなら、それはオーバーペースのサインです。 体感だけでなく心拍数という客観的な指標を見ることで、冷静にペースを修正することができます。
坂道でのペース配分の考え方
マラソンコースには、必ずと言っていいほどアップダウンがあります。坂道でペースをどうコントロールするかも、完走のための重要なポイントです。
上り坂では、平地と同じペースを維持しようとすると心拍数が急上昇し、体力を大きく消耗してしまいます。上り坂では「ペースを落として、歩幅を小さく、腕をしっかり振ってリズムを保つ」ことを意識しましょう。無理に走らず、早歩きに切り替えるのも有効な戦略です。
一方、下り坂では重力に任せて楽にスピードを上げたくなりますが、これも要注意です。スピードを出しすぎると、着地の衝撃で太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)に大きなダメージが蓄積し、レース終盤の失速に繋がります。下り坂でも意識的にペースをコントロールし、ブレーキをかけすぎず、リラックスして走り下りることを心がけましょう。
マラソン初心者のペース管理に役立つアイテム

テクノロジーの進化により、今では多くの便利なアイテムがランナーのペース管理をサポートしてくれます。これらのツールをうまく活用することで、練習の質を高め、レース本番での失敗を防ぐことができます。初心者こそ、積極的にアイテムの力を借りてみましょう。
GPSウォッチの活用法

現代のランナーにとって必須アイテムとも言えるのが、GPS機能を搭載したランニングウォッチです。 ガーミン(GARMIN)やスント(SUUNTO)などのブランドが人気です。
GPSウォッチは、走行距離、タイム、そして現在のペースをリアルタイムで手首に表示してくれます。 これにより、「1kmを何分で走る」というペース走が格段に行いやすくなります。また、多くのモデルには心拍計も搭載されており、心拍数を見ながら運動強度をコントロールすることも可能です。 練習データを記録・分析することで、自分の成長を可視化でき、モチベーション維持にも繋がります。 初心者向けの操作が簡単なモデルも多く販売されているので、自分のレベルに合ったものを選びましょう。
ランニングアプリでペースを可視化
スマートフォンを持っているなら、ランニングアプリをインストールするのも良い方法です。「ASICS Runkeeper™」などのアプリは、GPSウォッチと同様に、距離、時間、ペースなどを音声で知らせてくれる機能があります。
走りながら画面を見る必要がないため、フォームに集中しやすいのがメリットです。走り終わった後には、走ったルートが地図上に表示されたり、1kmごとのラップタイムを確認できたりと、練習の振り返りにも役立ちます。多くのアプリは無料で利用できるので、まずは気軽に試してみてはいかがでしょうか。仲間と記録を共有する機能もあり、楽しくランニングを続けるきっかけにもなります。
ペースメーカー(ペーサー)がいる大会の活用
規模の大きなマラソン大会では、「ペースメーカー」または「ペーサー」と呼ばれるランナーが配置されていることがあります。彼らは「4時間」「5時間」といった目標タイムが書かれた風船や旗をつけて、設定されたペースで走り、ランナーをゴールまで導いてくれます。
初心者にとって、これほど心強い存在はいません。自分でペースを管理する自信がない場合でも、目標タイムのペーサーについていくだけで、理想的なペース配分で走ることができます。 ペーサーの周りには同じ目標を持つランナーが集まるため、集団で走ることで精神的にも楽に感じられるでしょう。大会を選ぶ際には、ペーサーの有無を確認してみるのも一つの手です。
まとめ マラソン初心者が自分に合ったペースを見つけて完走を目指そう

この記事では、マラソン初心者の方が知っておくべき「ペース」について、基本的な考え方から目標設定、練習方法、そして本番でのコツまでを網羅的に解説しました。
重要なポイントを振り返ります。
- ペースの基本を理解する: 「1kmを何分で走るか」を常に意識し、オーバーペースを防ぐことが完走への第一歩です。
- 具体的な目標を設定する: まずは完走、そしてサブ6、サブ5と段階的に目標を立て、必要なペースを把握しましょう。
- 目的に応じた練習を実践する: 持久力を養う「LSD」、ペース感覚を磨く「ペース走」、後半の粘りを生む「ビルドアップ走」などをバランス良く取り入れましょう。
- 本番では冷静さを保つ: スタート直後の興奮に流されず、給水・給食を確実に行い、坂道ではペースを調整することが重要です。
- 便利なアイテムを活用する: GPSウォッチやアプリは、ペース管理の強力な味方です。
42.195kmの道のりは決して平坦ではありませんが、自分に合ったペースを見つけ、計画的に準備を進めれば、必ずゴールにたどり着くことができます。この記事で得た知識を日々のランニングに活かし、ぜひ初マラソン完走の感動を味わってください。



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