マラソンに向いている体質とは?適性を知って自己ベストを目指そう!

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「フルマラソンに挑戦してみたいけど、自分に走り切れる体力や才能があるのだろうか?」
「マラソンを始めたけれど、なかなかタイムが伸びないのは体質のせい?」

長距離を走るマラソンは、心身ともに過酷なスポーツです。そのため、マラソンに挑戦するにあたって、ご自身の「体質」が気になるという方は少なくないでしょう。この記事では、「マラソンに向いている体質」とは具体的にどのようなものなのかを、科学的な側面から、そして後天的に改善できる側面から、やさしく解説していきます。生まれ持った才能だけでなく、トレーニングや生活習慣によって理想の体質に近づける方法もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧いただき、ご自身のマラソンライフにお役立てください。

マラソンに向いている体質とは?基本的な3つの要素

「マラソンに向いている体質」と聞くと、特別な才能が必要だと感じるかもしれません。しかし、その正体は、いくつかの身体的な能力の組み合わせによって説明できます。ここでは、マラソンのパフォーマンスを左右する最も基本的な3つの要素について、詳しく見ていきましょう。これらの要素を理解することは、ご自身の強みや課題を把握する第一歩となります。

筋肉のタイプは遺伝で決まる?速筋と遅筋の割合

私たちの筋肉は、大きく分けて「速筋(そっきん)」と「遅筋(ちきん)」という2種類の筋線維で構成されています。この2つの筋線維の割合は、生まれつき遺伝である程度決まっているとされています。

速筋は、その名の通り、素早く収縮して大きな力を瞬発的に発揮するのが得意な筋肉です。短距離走やウェイトリフティングなど、一瞬でパワーを必要とするスポーツで活躍します。一方で、エネルギーの消費が激しく、疲れやすいという特徴も持っています。

これに対して遅筋は、収縮するスピードは速筋よりもゆっくりですが、持久力に非常に優れています。毛細血管が発達しており、酸素を取り込みながらエネルギーを生み出す能力が高いため、長時間にわたって力を発揮し続けることができます。まさに、マラソンのような持久系スポーツに最適な筋肉と言えるでしょう。

一般的に、一流のマラソンランナーは、この遅筋の割合が80%以上を占めているとも言われます。ご自身の筋肉のタイプがどちら寄りかを知ることは、マラソンへの適性を考える上での一つの指標になります。ただし、速筋線維もトレーニングによって持久的な能力を高めることが可能であり、割合がすべてではありません。

心肺能力の指標!最大酸素摂取量(VO2max)の重要性

マラソンを走り続けるためには、体内に多くの酸素を取り込み、それをエネルギーに変えて筋肉に供給し続ける必要があります。この、酸素を効率よく利用する能力の指標となるのが「最大酸素摂取量(VO2max:ブイオーツーマックス)」です。

具体的には、運動中に体重1kgあたり1分間にどれだけの酸素を体内に取り込めるかを示した数値で、単位は「ml/kg/分」で表されます。この数値が高ければ高いほど、より多くの酸素をエネルギー生産に使えるため、心肺機能が高く、持久力に優れていると言えます。つまり、VO2maxが高いことは、マラソンに向いている体質の重要な要素の一つです。

VO2maxは、心臓のポンプ機能の強さ、肺活量、血液中のヘモグロビンの量、そして筋肉が酸素を利用する能力など、様々な要因によって決まります。遺伝的な素質も影響しますが、VO2maxはトレーニングによって後天的に向上させることが可能な数値です。インターバル走や坂道ダッシュのような、心拍数を追い込む高強度のトレーニングは、VO2maxを高めるのに特に効果的とされています。自分のVO2maxを知り、それを高めるトレーニングを取り入れることで、より楽に長く走れるようになるでしょう。

スタミナの鍵を握る乳酸性作業閾値(LT値)

長時間走り続けていると、足が重くなったり、息が上がってきたりして、ペースを維持するのが難しくなります。この現象に深く関わっているのが「乳酸」です。運動強度が高まると、エネルギーを生み出す過程で乳酸が血液中に生成されます。

乳酸はかつて疲労物質とされていましたが、現在ではエネルギー源として再利用される重要な物質であることがわかっています。しかし、生成される量が処理能力を上回ると、血液中の乳酸濃度が急激に上昇し始めます。この乳酸濃度が急上昇し始める運動強度のことを「乳酸性作業閾値(LT値: Lactate Threshold)」と呼びます。

LT値が高いランナーは、より速いペースで走っても乳酸の蓄積を抑えることができるため、長時間にわたって高いパフォーマンスを維持できます。つまり、スタミナがあると言い換えることもできるでしょう。マラソンでは、このLT値付近のペースで走り続けることが多くなるため、LT値を高めることは記録向上に直結します。

LT値もVO2maxと同様に、トレーニングによって向上させることが可能です。具体的には、少しきついと感じるけれど、なんとか会話ができるくらいのペース(閾値走やテンポ走と呼ばれるトレーニング)を継続的に行うことで、乳酸を除去する能力や利用する能力が高まり、LT値が向上していきます。マラソンに向いている体質を目指す上で、このLT値の強化は欠かせないトレーニングと言えるでしょう。

体格から見るマラソンに向いている体質

マラソンの世界トップレベルの選手たちを見ると、ある程度共通した体格的な特徴があることに気づきます。もちろん、体格がすべてを決めるわけではありませんが、物理的な観点から長距離を効率よく走るのに有利な身体的特徴が存在します。ここでは、身長や体重、体脂肪率、骨格といった体格面から「マラソンに向いている体質」を掘り下げていきます。

長距離ランナーの理想的な身長・体重・BMI

マラソンランナーは、一般的に細身で小柄な選手が多い傾向にあります。これは、体重が軽いほど、走る際に地面から受ける衝撃が少なくなり、体を前へ運ぶためのエネルギー消費も抑えられるためです。物理の法則から考えても、軽い物体を動かす方がエネルギー効率が良いのは明らかです。

身長に関しては、高すぎず低すぎず、標準的な範囲が有利とされています。身長が高いとストライド(一歩の歩幅)が大きくなるメリットがありますが、その分、体重も重くなりがちで、空気抵抗も増えるという側面もあります。一方で、身長が低い選手は体重が軽く、空気抵抗も少ないですが、ストライドを大きくしにくいという点が考えられます。

体格の指標としてよく用いられるのがBMI(Body Mass Index)です。これは「体重(kg) ÷ {身長(m) × 身長(m)}」で算出される体格指数で、一般的には18.5~25が標準とされています。しかし、エリートマラソンランナーの多くは、男女ともに20を下回る数値であることが多いです。市民ランナーがここまで数値を下げる必要はありませんが、標準体重の上限に近い場合は、少し減量するだけでも走りが楽になる可能性があります。ただし、無理な減量は健康を害する恐れがあるため、あくまで健康的な範囲で理想の体重を目指すことが大切です。

パフォーマンスを左右する体脂肪率の低さ

マラソンランナーの体格を語る上で、体重以上に重要視されるのが「体脂肪率」です。体脂肪は、体を動かすエネルギー源として不可欠な存在ですが、過剰な体脂肪はランニングにおいて単なる「重り」となってしまいます。同じ体重でも、筋肉量が多くて体脂肪が少ない人と、筋肉量が少なくて体脂肪が多い人では、ランニングパフォーマンスに大きな差が生まれます。

体脂肪率が低いことのメリットは、主に2つあります。一つは、先述の通り、体を運ぶためのエネルギー消費を抑えられることです。不要な重りを背負わずに走れるため、ランニングエコノミー(後述します)が向上し、より少ないエネルギーで同じペースで走ることができます。

もう一つのメリットは、体温調節がしやすくなることです。ランニング中は大量の熱が発生しますが、皮下脂肪が厚いと体内の熱が放散されにくくなり、体温が上昇しやすくなります。体温の過度な上昇は、パフォーマンス低下や熱中症のリスクに直結します。体脂肪率が低いと、効率的に熱を体外へ逃がすことができるため、長時間の運動を継続しやすくなります。エリート男子ランナーでは5~10%、女子ランナーでも10~15%程度の非常に低い体脂肪率が一般的ですが、市民ランナーはまず男性なら15%以下、女性なら20%以下を目指すと、走りの変化を実感できるでしょう。

効率的な走りにつながる骨格の特徴

ランニングは、全身の骨格を連動させて行う運動です。そのため、骨格の構造もマラソンの適性に影響を与える要素の一つと考えられています。特に、脚の長さや骨盤の形状、足のアーチなどが、効率的なランニングフォームと密接に関係しています。

例えば、胴体に比べて脚が長い、いわゆる「脚長」の体型は、ストライドが伸びやすく、テコの原理で効率よく地面に力を伝えられるため、有利に働くことがあります。また、骨盤が前傾していると、体の重心が自然と前方に移動しやすくなり、スムーズな体重移動を伴った推進力を生み出しやすくなります。トップランナーの多くは、意識しなくても自然と骨盤が前傾したフォームで走れていると言われています。

さらに、足裏の「土踏まず」に代表される足のアーチも重要です。足のアーチは、着地時の衝撃を吸収するクッションの役割と、蹴り出しの際に地面からの反発力を推進力に変えるバネの役割を担っています。このアーチがしっかり機能していると、足への負担が軽減され、効率的なエネルギー伝達が可能になります。扁平足などでアーチが低い場合でも、足裏を鍛えるエクササイズや適切なシューズ選びによって、機能を補うことは可能です。これらの骨格的な特徴は生まれ持った要素が大きいですが、フォームの改善や補強トレーニングによって、その働きを最大限に活かすことは十分にできます。

全身に酸素を届ける心臓と肺の強さ

マラソンのような有酸素運動では、心臓と肺、つまり心肺機能がパフォーマンスの根幹を支えています。肺は空気中から酸素を取り込み、心臓はその酸素を含んだ血液を力強いポンプ作用で全身の筋肉へと送り届けます。この一連のシステムが強力であるほど、より多くの酸素を筋肉に供給でき、高い運動強度を長時間維持することが可能になります。

特に重要なのが、一度の拍動で心臓が送り出す血液の量(一回拍出量)です。トレーニングを積んだランナーの心臓は、「スポーツ心臓」と呼ばれ、心筋が発達して心臓の部屋自体が大きくなります。これにより、一回の拍動でより多くの血液を送り出せるようになるため、安静時の心拍数が低くなる傾向があります。安静時心拍数が低いということは、心臓が効率よく働いている証拠であり、マラソンに向いている体質の一つの指標となります。

また、肺の機能、すなわち肺活量も大きい方が有利です。一度にたくさんの空気を取り込める方が、効率的に酸素を血液中に取り込むことができます。さらに、全身の筋肉、特に脚の筋肉に血液を送り届けるための毛細血管が発達していることも重要です。トレーニングによって、筋肉の隅々まで毛細血管が張り巡らされると、心臓から送られてきた酸素をスムーズに受け取ることができるようになります。これらの心肺機能は、遺伝的な要素もありますが、大部分は継続的なトレーニングによって鍛え上げられるものです。

内面も重要!マラソンに向いている気質的特徴

42.195kmという長い距離を走り切るためには、優れた身体能力だけでは十分ではありません。レース中には、必ず苦しい局面が訪れます。その時に自分を支えてくれるのは、日々のトレーニングで培った自信と、強い精神力です。ここでは、目には見えないけれど非常に重要な、「マラソンに向いている体質」の内面的な特徴について考えてみましょう。

42.195kmを乗り越える精神的な強さと忍耐力

マラソンは、自分との対話の連続です。「まだ走れる」「いや、もう限界だ」という心の声が、レース中に何度も交錯します。特に、30km過ぎに訪れると言われる「30kmの壁」や、レース終盤の疲労困憊の状態で、走り続けることを選択できるかどうかは、精神的な強さ、すなわちメンタルの強靭さにかかっています。

マラソンに向いている人は、目標に向かってコツコツと努力を積み重ねることを苦としない忍耐力を持っています。雨の日も風の日も、仕事で疲れている日でも、練習計画に沿って走り続ける地道な努力が、レース本番での自信につながります。この「自分はこれだけやってきたんだ」という事実が、苦しい場面で折れそうな心を支える大きな力となるのです。

また、痛みや苦しみに対する耐性も重要です。もちろん、怪我につながるような無理は禁物ですが、レース中に生じる避けられない疲労感や筋肉の痛みを受け入れ、それと共に走り続ける精神的なタフさが求められます。これは、単に我慢強いということだけではなく、自分の体の状態を客観的に把握し、どこまでなら押せるのか、どこでペースを調整すべきかを冷静に判断する能力とも言えるでしょう。こうした精神的な強さや忍耐力は、一朝一夕で身につくものではなく、日々のトレーニングを通して少しずつ育まれていくものです。

苦しい局面でも前向きでいられる思考パターン

マラソンは、計画通りに進むことばかりではありません。レース当日の天候が悪かったり、給水に失敗したり、予想外の体調不良に見舞われたりと、様々なアクシデントが起こり得ます。こうした予期せぬ出来事や、レース中の苦しい状況に直面したときに、どのように考えるかがパフォーマンスを大きく左右します。

マラソンに向いているランナーは、物事をポジティブに捉える思考パターンを持っていることが多いです。例えば、「向かい風が強い」という状況でも、「この風はいずれ追い風になる」「今は体力を温存する区間だ」と前向きに解釈することができます。「足が重くなってきた」と感じても、「これは乳酸が溜まっている証拠、エネルギーを使えている証拠だ」「この苦しさを乗り越えれば、また楽になる」と自分を奮い立たせることができます。

ネガティブな感情は、体の動きを硬直させ、フォームを崩す原因にもなります。一方で、ポジティブな思考は、心身のリラックスを促し、困難な状況を乗り越えるための創造的な解決策を見出す助けとなります。沿道の応援を力に変えたり、美しい景色を楽しんだり、ゴール後の達成感を想像したりと、苦しい中でも楽しみを見出す能力も、ポジティブな思考の一つです。このような思考の癖は、意識的にトレーニングすることで変えていくことが可能です。日頃の練習から、辛い時こそ笑顔を作る、自分にポジティブな言葉をかけるといった習慣をつけることが、本番での力になるでしょう。

目標達成に向けた計画性と継続力

マラソンで自己ベストを更新したり、目標タイムを達成したりするためには、長期的な視点での計画性と、それを地道に実行し続ける継続力が不可欠です。思いつきでがむしゃらに走るだけでは、いずれ頭打ちになったり、怪我をしてしまったりする可能性が高くなります。

マラソンに向いている人は、まず自分の現状の走力を客観的に分析し、現実的かつ挑戦的な目標を設定する能力に長けています。そして、その目標を達成するために、数ヶ月単位でのトレーニング計画を立てます。その計画には、距離を伸ばす時期、スピードを強化する時期、そしてレースに向けて調整する時期などが盛り込まれ、日々の練習メニューが具体的に設定されています。

さらに重要なのは、立てた計画を愚直に継続する力です。仕事や家庭の都合で計画通りにいかない日もあるでしょう。そのような時でも、計画を柔軟に修正しながら、トレーニングを完全に中断することなく、粘り強く続けることができます。練習日誌をつけ、自分の成長や課題を可視化することも、継続のモチベーションを維持する上で非常に有効です。このような計画性と継続力は、一見地味ですが、マラソンという長期的なプロジェクトを成功させる上で、最も基本的な資質と言えるかもしれません。この能力は、マラソンだけでなく、仕事や日常生活の様々な場面でも活かせる、普遍的なスキルでもあります。

「マラソンに向いている体質」は努力で作れる!

これまで、マラソンに向いている体質の様々な要素を見てきましたが、「自分には当てはまらないかも…」とがっかりする必要は全くありません。なぜなら、遺伝的に決まっている要素はごく一部であり、多くの能力は後天的な努力、つまりトレーニングや生活習慣の改善によって大きく向上させることができるからです。ここでは、誰もが実践できる、「マラソンに向いている体質」の作り方をご紹介します。

トレーニングで向上するランニングエコノミー

「ランニングエコノミー」という言葉を初めて聞く方もいるかもしれません。これは、一定のスピードで走る際に、どれだけ少ない酸素消費量(=エネルギー消費量)で走れるか、という「燃費の良さ」を示す指標です。ランニングエコノミーが高いランナーは、同じペースで走っていてもエネルギーの消費が少ないため、疲れにくく、長距離を楽に走ることができます。

このランニングエコノミーは、まさにトレーニングによって向上させることができる代表的な能力です。では、具体的にどうすれば良いのでしょうか。まず一つ目は、正しいランニングフォームを身につけることです。無駄な力みや上下動の少ない、スムーズで効率的なフォームで走ることで、エネルギーのロスを最小限に抑えることができます。専門家の指導を受けたり、自分の走りを動画で撮影してチェックしたりするのも良い方法です。

二つ目は、筋力トレーニングです。特に、体幹(お腹周りや背中)や下半身の筋力を強化することで、走りの安定性が増し、地面からの反発を効率よく推進力に変えることができるようになります。スクワットやプランクなどの基本的な補強運動を、ランニングと並行して行うことが効果的です。さらに、様々なペースで走るトレーニングを継続的に行うこと自体が、体をランニングに適応させ、ランニングエコノミーを高めることにつながります。

体質改善をサポートする食事と栄養摂取

マラソンランナーの体は、日々のトレーニングだけでなく、口から摂取するもので作られています。食事と栄養は、パフォーマンスの向上、怪我の予防、そして体質改善において、トレーニングと同じくらい重要な役割を果たします。

まず基本となるのが、エネルギー源となる炭水化物(糖質)の摂取です。ご飯やパン、麺類などの炭水化物は、体内でグリコーゲンとして筋肉や肝臓に蓄えられ、走るための主要なエネルギーとなります。特に長距離を走る前には、十分な炭水化物を摂り、エネルギーを満タンにしておく「カーボローディング」が有効です。

次に重要なのが、筋肉の材料となるタンパク質です。トレーニングで損傷した筋線維を修復し、より強い筋肉を作るためには、肉や魚、卵、大豆製品などから良質なタンパク質を摂取することが不可欠です。特に、トレーニング後の30分~1時間以内は「ゴールデンタイム」と呼ばれ、タンパク質を摂取する絶好のタイミングです。

さらに、体の調子を整えるビタミンやミネラルも忘れてはなりません。特に、酸素を運搬するヘモグロビンの材料となる鉄分や、エネルギー代謝に関わるビタミンB群、骨を強くするカルシウムなどは、ランナーにとって不足しがちな栄養素です。バランスの取れた食事を基本とし、日々の練習量や目的に応じて、適切な栄養素を適切なタイミングで摂取することが、「走れる体」を作る上で欠かせません。

パフォーマンスを最大化する休養とリカバリー

「強くなるためには、ひたすら練習量を増やさなければならない」と考える方がいるかもしれませんが、これは大きな間違いです。トレーニングによって体に負荷をかけることと同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが、適切な休養とリカバリー(回復)です。筋肉は、トレーニングで受けたダメージを修復する過程で、以前よりも強くなります。この現象を「超回復」と呼びますが、この超回復のためには、十分な休養期間が必要です。

休養を疎かにしてトレーニングを続けると、疲労が蓄積し、パフォーマンスが低下するだけでなく、オーバートレーニング症候群や怪我のリスクが飛躍的に高まります。勇気を持って練習を休む「勇気ある休養」も、トレーニング計画の重要な一部なのです。

効果的なリカバリーのためには、まず質の高い睡眠を十分にとることが基本です。睡眠中に成長ホルモンが分泌され、体の修復が最も活発に行われます。また、練習後のストレッチやマッサージは、筋肉の緊張を和らげ、血行を促進して疲労回復を早める効果があります。アイシング(冷却)は、筋肉の炎症を抑えるのに有効です。食事による栄養補給も、もちろん重要なリカバリーの一環です。このように、トレーニングで体に負荷をかける「攻め」の時間と、休養とリカバリーで体を回復させる「守り」の時間の両方を大切にすることが、継続的に成長し、「マラソンに向いている体質」を築き上げていくための秘訣と言えるでしょう。

まとめ あなたも「マラソンに向いている体質」に近づける

この記事では、「マラソンに向いている体質」について、筋肉のタイプや心肺機能といった基本的な要素から、体格、さらには精神的な特徴に至るまで、様々な角度から解説してきました。

生まれ持った遺伝的な要素が有利に働く側面があることは事実です。しかし、それ以上に重要なのは、マラソンのパフォーマンスを左右する能力の多くは、後天的な努力によって大きく向上させることができるという点です。

ランニングエコノミーの改善、バランスの取れた食事、そして適切な休養とリカバリー。これらを意識したトレーニングと生活習慣を継続することで、誰もが「マラソンに向いている体質」へと近づいていくことができます。ご自身の現在の体質や特徴を理解し、それを踏まえた上で、自分に合った方法で努力を積み重ねていくことが、目標達成への最も確実な道筋となるでしょう。

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