フルマラソンや日々のランニングを快適に楽しむためには、ウェア選びが非常に重要です。中でも、直接肌に触れるマラソン用インナーパンツは、走行中のストレスを左右する隠れた重要アイテムといえます。股ずれの痛みや、汗による不快なベタつきに悩まされた経験はありませんか。
適切なインナーパンツを選ぶことで、摩擦によるトラブルを防ぎ、最後まで集中して走り続けることが可能になります。今回は、マラソンにおけるインナーパンツの役割や、自分にぴったりの一枚を見つけるためのポイントを詳しく解説します。機能的なアイテムを取り入れて、パフォーマンスの向上を目指しましょう。
マラソンでインナーパンツを活用するメリット

マラソンにおいて、インナーパンツは単なる下着以上の役割を果たします。長時間の走行では、想像以上に激しい摩擦や発汗が繰り返されるため、それらに対応できる専用の設計が必要とされるからです。まずは、インナーパンツを履くことで得られる具体的なメリットを確認していきましょう。
股ずれ(摩擦)による肌トラブルを防ぐ効果
マラソンを走る上で最も避けたいトラブルの一つが、太ももの内側などが擦れて痛む「股ずれ」です。数時間に及ぶ走行中、皮膚同士や皮膚とウェアが何万回も擦れ続けることで、皮膚の表面が剥離し、強い痛みや出血を伴うことがあります。一度発生すると完走が危ぶまれるほどの苦痛になるケースも珍しくありません。
マラソン用インナーパンツは、肌にぴたっと密着し、皮膚同士の直接的な接触を遮断する役割を持っています。滑りの良い素材を使用しているものが多く、摩擦抵抗を最小限に抑えることで、痛みの発生を未然に防いでくれます。特に関節部分は擦れやすいため、立体裁断が施されたモデルを選ぶと、より高い保護効果が期待できます。
また、丈の長さがあるタイプであれば、広範囲をカバーできるため安心感が増します。初心者のうちは、どの部分が擦れやすいか把握できていないことも多いため、まずはカバー力の高いインナーパンツを導入することをおすすめします。
汗によるベタつきや冷えを解消する吸汗速乾性
ランニング中は大量の汗をかきますが、普通の下着(綿素材など)では水分を吸収したまま乾かず、重くなったり肌に張り付いたりしてしまいます。これが不快感につながるだけでなく、冬場や雨天時には急激な体温低下を招く「汗冷え」の原因にもなり、体力を著しく消耗させてしまいます。
マラソン用のインナーパンツには、ポリエステルやポリプロピレンといった吸汗速乾性に優れた化学繊維が採用されています。これらの素材は汗を素早く吸い上げ、生地の表面へ拡散させて蒸発させる仕組みを持っています。そのため、常に肌面をドライな状態に保つことができ、サラリとした快適な着心地が持続します。
湿気によるムレは、皮膚をふやかして股ずれを起こしやすくする要因にもなります。速乾性の高いインナーを着用することは、衛生面だけでなく、怪我の予防やスタミナの維持という観点からも非常に論理的な選択といえるでしょう。
筋肉の揺れを抑えて疲労を軽減する機能
着圧(コンプレッション)機能が備わったインナーパンツを着用すると、筋肉の無駄な揺れを抑えることができます。一歩踏み出すたびに太ももや臀部の筋肉が細かく震えると、その振動を抑えるために身体は余計なエネルギーを消費し、結果として疲労が蓄積しやすくなります。
適度な締め付けがあるインナーパンツは、筋肉を最適な位置でホールドし、エネルギーロスを軽減してくれます。これにより、レース後半の足の重さを和らげ、粘りのある走りをサポートしてくれるでしょう。また、着圧によって血流をサポートする効果が期待できるモデルもあり、むくみの防止にも役立ちます。
ただし、締め付けが強すぎると動きを妨げたり、血流を阻害したりする恐れがあります。自分の体格に合った適正なサイズを選び、心地よいサポート感を得られるものを見つけるのがポイントです。疲労軽減効果は、長距離を走るマラソンにおいて大きなアドバンテージとなります。
種類別の特徴とシーンに合わせた使い分け

マラソン用インナーパンツには、大きく分けていくつかのタイプが存在します。自身の好みや、メインで着用しているランニングパンツの形状に合わせて最適なものを選ぶことが大切です。ここでは、主要な3つのタイプについて、それぞれの特徴とメリットを解説します。
【インナーパンツの主なタイプ一覧】
| タイプ | 特徴 | おすすめのシーン |
|---|---|---|
| 一体型 | パンツにメッシュが内蔵 | 荷物を減らしたい時・初心者 |
| セパレート(ボクサー) | 独立したインナー下着 | 本格的なレース・股ずれ対策 |
| コンプレッション | 着圧機能付きの長め丈 | 疲労軽減・パフォーマンス重視 |
ランニングパンツと一体になっているタイプ
多くのランニング用ショートパンツには、あらかじめ裏地としてメッシュ状のインナーが縫い付けられています。このタイプは、別に下着を用意する必要がなく、これ一枚で走り出せる手軽さが魅力です。ウェアの枚数が減るため、通気性が非常に高く、夏場のトレーニングやレースでも涼しく過ごせます。
また、重ね履きによるウエスト部分のごわつきがないため、腰回りがスッキリとして動きやすいという利点もあります。洗濯物も少なくて済むので、日常的な練習用として非常に重宝します。ただし、インナーの形状が固定されているため、体型によってはフィット感が合わない場合や、足の付け根が擦れる可能性があります。
もし一体型のインナーで股ずれが起きてしまう場合は、無理に使用を続けず、後述するセパレートタイプへの切り替えを検討しましょう。自分にとって最も「違和感がない」状態を作ることが、マラソン完走への近道です。
独立したアンダーウェアとして履くセパレートタイプ
インナーが付いていないパンツと組み合わせて使用する、独立したスポーツ用アンダーウェアです。ボクサーパンツ型やブリーフ型があり、自分の体型に最もフィットするものを選べる自由度の高さが特徴です。特に、太ももまで丈があるボクサータイプは、広範囲の股ずれを防ぐのに非常に効果的です。
生地の厚みやストレッチ性もバリエーションが豊富で、季節や体調に合わせて最適な一枚を選択できます。例えば、真夏は極薄のメッシュ素材、冬場は少し厚手で保温性のある素材といった使い分けが可能です。スポーツ専用に設計されているため、激しい動きでもズレにくく、長時間の着用でもストレスが少ないです。
インナー付きパンツを履く場合でも、あえてそのインナーをカットしたり、上から重ねて履いたりするランナーもいます。自分なりのベストな組み合わせを見つける楽しさがあるのも、セパレートタイプの魅力といえるでしょう。
サポート力を重視したタイツ・コンプレッションタイプ
腰から太もも、あるいは足首までを覆うコンプレッションタイツをインナーとして活用するスタイルです。ショートパンツの下にハーフタイツを履くスタイルは、現在のマラソンシーンでも非常に人気があります。強力なサポート機能により、筋肉のブレを徹底的に抑えたいランナーに最適です。
このタイプは、股ずれ防止効果が非常に高いことに加え、日焼け防止や防寒対策としても機能します。特にハーフ丈のタイツは、動きやすさとサポート力のバランスが良く、多くのシリアスランナーに愛用されています。膝の痛みが気になる場合は、膝周りのサポート機能があるロングタイプを選ぶのも一つの手です。
ただし、生地がしっかりしている分、真夏は熱がこもりやすいという側面もあります。夏場に使用する場合は、クーリング機能(接触冷感)が備わったものや、通気パネルが配置されたモデルを選ぶなどの工夫が必要です。
インナーパンツを選ぶ際は、普段履いているランニングパンツとの相性も確認しましょう。丈が長すぎると裾からはみ出してしまうこともあるため、デザイン面でのバランスも考慮するとスマートです。
快適な走行を支える素材と機能性の選び方

インナーパンツの性能を決定づけるのは、使われている素材と細部の設計です。見た目だけでは分かりにくい部分に、ランナーの快適さを守る工夫が詰まっています。どのような点に注目して選べば良いのか、具体的なチェックポイントを見ていきましょう。
通気性と吸湿速乾性に優れた素材を確認する
最も重視すべきは、やはり素材の質です。マラソン用として販売されているアイテムの多くはポリエステルベースですが、その中でも織り方や加工によって性能が異なります。例えば、小さな穴が開いた「メッシュ構造」の生地は、風を通しやすく熱を逃がしやすいため、高温多湿な日本の環境に適しています。
また、最近ではポリエステルよりもさらに速乾性が高く、水分を保持しない性質を持つ「ポリプロピレン」を混紡した素材も注目されています。汗を肌から引き剥がして外側のレイヤーへ移動させる力が強いため、肌を常にドライに保ちたい方には特におすすめです。触ってみて、サラサラとした質感のものを選ぶと間違いが少ないでしょう。
逆に、日常用の綿(コットン)素材が含まれているものは避けてください。綿は水分を吸うと重くなり、乾きにくいため、マラソンでは大きな負担となります。「スポーツ専用」かつ「100%化学繊維」であることを基本の基準にしましょう。
縫い目が肌に当たらないシームレス設計の有無
どれほど素材が良くても、縫い目(シーム)が肌に当たって擦れてしまっては台無しです。長時間走り続けるマラソンでは、わずかな縫い目の凹凸が刃物のように肌を傷つけることがあります。そのため、縫い目を最小限にした「シームレス設計」や、縫い代を平らに仕上げた「フラットシーマ」という技術が採用されているかを確認しましょう。
特に股ぐりや脇の部分など、動きが激しい箇所の縫製は重要です。タグが直接肌に触れないよう、生地に直接プリント(転写ラベル)されているモデルも増えています。こうした細部へのこだわりがある製品は、メーカーがランナーの痛みを深く理解している証拠でもあります。
購入前に製品を裏返してチェックしてみるのも良い方法です。内側を指でなぞってみて、ゴロゴロとした感触がないものを選びましょう。ストレスフリーな肌当たりは、精神的な集中力を維持する上でも欠かせない要素です。
伸縮性とホールド感のバランスをチェック
インナーパンツには、身体の動きを妨げない自由な伸縮性が求められます。一方で、激しく動いても定位置からズレない適度なホールド感も必要です。この「伸びるけれど、しっかり止まる」という絶妙なバランスが、快適な走りを生み出します。ストレッチ素材であるポリウレタンの配合率や、生地の編み方に注目してみましょう。
ウエストのゴム部分も重要なチェックポイントです。細すぎると食い込んで痛みが出やすく、太すぎると腹圧を圧迫して苦しくなることがあります。適度な幅があり、柔らかくフィットする素材が理想的です。また、足口(裾の部分)が丸まってこないような工夫がされているかどうかも、走行中の不快感を防ぐために確認しておきたいポイントです。
試着ができる場合は、実際に足を高く上げたり、屈伸運動をしたりして、生地の追従性を確かめてください。違和感なく自分の身体の一部のように動けるものが、ベストなインナーパンツといえます。
メンズ・レディースそれぞれの重要チェック項目

インナーパンツに求められる要素は、男女の身体の構造の違いによって異なります。それぞれの特性に合わせた選び方をすることで、より大きな恩恵を受けられるようになります。性別ごとに特に意識したいポイントを整理しました。
メンズはフィット感とポジショニングを重視
男性ランナーにとって最も重要なのは、デリケートな部分の安定感です。走行中にポジションがズレたり、揺れが生じたりすると、それが気になって走りに集中できなくなるだけでなく、深刻な摩擦の原因にもなります。そのため、前面が立体的に成形されている「3D構造」のインナーパンツが推奨されます。
また、男性は股関節周りの発汗量が多いため、局部を蒸れから守る通気性も欠かせません。フロント部分がメッシュ素材に切り替えられているモデルは、熱を効率よく逃がしてくれるため非常に快適です。丈の長さについては、短すぎると裾が股に食い込みやすいため、やや長めのボクサー型を選ぶと安定感が増します。
激しい動きの中でもしっかりと定位置に収まり、かつ圧迫感のない絶妙なサイズ感を見つけることが、完走後のダメージを抑える鍵となります。自分の体型に合うブランドをいくつか試して、定番を見つけるのが良いでしょう。
レディースはショーツラインの響きにくさを確認
女性ランナーの場合、機能性はもちろんのこと、ウェアの外側にインナーのラインが響かないかどうかも気になるポイントではないでしょうか。タイトなランニングパンツやタイツを履く場合、縫い目の凹凸が目立ってしまうことがあります。これを防ぐためには、裾が切りっぱなし(フリーカット)仕様になっているタイプが便利です。
また、女性は生理中などの体調変化にも配慮が必要です。マチ部分が汚れに強い素材になっていたり、抗菌防臭機能が強化されていたりするアイテムを選ぶと、どのような状況でも安心してレースに臨めます。吸水速乾性に加えて、肌に優しいソフトな肌触りの素材を選ぶことで、デリケートな肌への負担を軽減できます。
ウエスト部分がハイライズ(深め)になっているものは、お腹周りの冷え防止や安心感につながります。スタイルを美しく見せつつ、長距離走行のストレスを最小限にする機能的な一枚を選びましょう。
共通して注意したいサイズ選びの失敗例
男女共通の注意点として、サイズ選びの間違いが挙げられます。「大は小を兼ねる」と考えて大きめのサイズを選ぶと、生地が余ってシワになり、そのシワが激しい摩擦を生んで股ずれを引き起こします。逆に、小さすぎるサイズは血流を妨げたり、皮膚に食い込んで痛みの原因になったりします。
スポーツ用のインナーは、普段の下着よりもややタイトに感じるくらいが適正な場合が多いです。ただし、ウエストや太もも周りの締め付けが強すぎて苦しい場合は、サイズアップを検討すべきサインです。メーカーによってサイズ表記が異なるため、ウエストやヒップのの実寸を確認してから購入するようにしましょう。
一度試してみて調子が良かったものは、同じモデルを複数枚揃えておくのが定石です。レース当日に「初めて履く新品」を使用すると、思わぬ違和感に悩まされることがあるため、練習で何度か履いて馴染ませておくことも忘れずに行いましょう。
インナーパンツと併用したい股ずれ対策の知識

機能的なインナーパンツを選ぶだけでもトラブルの多くは回避できますが、フルマラソンのような過酷な条件下では、さらなる対策を講じることで安心感が倍増します。特に肌が弱い方や、過去に股ずれで苦しんだ経験がある方は、以下の方法も併せて実践してみてください。
保護クリーム(ワセリン等)の塗り方と活用術
インナーパンツを履く前に、擦れやすい部位に保護クリームを塗っておくのは、ランナーの間では常識的な対策です。代表的なのは「ワセリン」ですが、最近ではスポーツ専用の「擦れ防止クリーム」も多く販売されています。これらは皮膚の表面に薄い油膜を作り、物理的な摩擦を劇的に軽減してくれます。
塗るべきポイントは、太ももの内側、股関節の付け根、そして意外と忘れがちなのがお尻の割れ目付近です。また、男性の場合は乳首の擦れ対策として胸の周りに塗るのも有効です。クリームを塗る際は、ケチらずに「少しベタつくかな」と感じる程度にしっかり塗り込むのがコツです。
専用クリームの中には、一度塗れば数時間効果が持続するものや、汗や水に強いタイプもあります。これらをインナーパンツと組み合わせることで、まさに「二重の防御壁」となり、42.195kmという長い道のりでも肌を無傷で守り抜くことができます。
長距離走行中の違和感への対処法
レースの途中で「あれ、少しヒリヒリするかも」と違和感を覚えたら、放置せずに早めに対処することが肝心です。痛みが出てからでは手遅れになることが多いため、エイドステーション(給水所)にある救護班に相談するか、自分で少量のワセリンを携帯しておき、塗り直すことを検討しましょう。
また、インナーパンツが汗でぐっしょりと濡れて重くなり、下にずり落ちてきている場合は、立ち止まって位置を直すだけでも摩擦の状況が変わります。ウェアのヨレを整え、肌との密着度を復活させることで、それ以上の悪化を防げることがあります。
もし雨が降ってきた場合は、摩擦がより激しくなる傾向にあります。雨天時は通常時よりも念入りにクリームを塗り、インナーパンツもより保水しにくい素材のものを選ぶといった、事前の「雨対策」も意識しておくと、不測の事態にも落ち着いて対応できるはずです。
完走後のスキンケアとウェアの手入れ
マラソンが終わった後は、インナーパンツを速やかに脱ぎ、汗やクリームを洗い流しましょう。長時間肌に密着していたウェアは、雑菌が繁殖しやすい状態にあります。もし股ずれが起きてしまった場合は、患部を清潔にし、消炎作用のある軟膏を塗って安静にします。ひどい場合は皮膚科を受診することも忘れないでください。
ウェアのお手入れについても注意が必要です。スポーツ用の高機能インナーはデリケートな素材が多いため、柔軟剤の使用は避けるのが無難です。柔軟剤は繊維の表面をコーティングしてしまい、吸汗速乾機能を低下させる恐れがあるからです。中性洗剤を使い、ネットに入れて洗うことで、お気に入りの一枚を長持ちさせることができます。
次のレースや練習に備えて、ウェアを最良の状態に保つこともランナーの嗜みです。インナーパンツを大切に扱うことは、自分自身の身体を大切にすることにもつながります。しっかりケアをして、次のステップへとつなげていきましょう。
マラソンを楽しみ抜くためのインナーパンツ選びまとめ
マラソンにおけるインナーパンツは、単なる衣類ではなく、快適な走りとトラブル防止を支える重要なギアです。適切な一枚を選ぶことで、股ずれの痛みや汗の不快感から解放され、ゴールを目指すためのエネルギーを走ることに100%注げるようになります。
選び方の基本は、まず吸汗速乾性に優れたポリエステルやポリプロピレンなどの化学繊維100%の素材を選ぶことです。その上で、自分のスタイルに合わせて一体型、セパレート型、コンプレッション型のいずれかを選択しましょう。縫い目のないシームレス設計や、適切なサイズ感によるフィット感の確認も、長距離走行では欠かせないチェックポイントです。
また、メンズ・レディースそれぞれの身体的特徴を考慮した設計のモデルを選ぶことで、特有の悩みも解消できます。保護クリームとの併用という万全の体制を整えれば、股ずれの不安なく自信を持ってスタートラインに立てるはずです。
ウェア選びにこだわり、自分に最適なマラソン用インナーパンツを見つけることは、マラソンの楽しみを広げる第一歩です。この記事を参考に、あなたを力強く支えてくれる最高の一枚を見つけ出し、素晴らしいランニングライフを満喫してください。




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