フルマラソンで完走を果たした次の目標として、4時間半切り、いわゆる「サブ4.5」を目指すランナーは非常に多いです。5時間を切るのとはまた一味違う、本格的なランナーへの入り口とも言える素晴らしい目標です。
しかし、いざ4時間半を目指そうとすると、どのような練習を積めば良いのか、当日はどのくらいのペースで走れば良いのか迷ってしまうこともありますよね。この記事では、初心者の方でも無理なくステップアップできる具体的な方法をお伝えします。
目標達成のために必要な知識を整理して、自信を持ってスタートラインに立てるよう準備を進めていきましょう。あなたのマラソンライフがより充実したものになるよう、心を込めて解説していきます。
マラソンで4時間半を達成するために必要なペースと基礎知識

まずは、4時間半というタイムがどのようなものなのか、具体的な数字を見ていきましょう。目標を数値化することで、日々の練習で意識すべきポイントが明確になり、効率的にトレーニングを進めることができます。
1キロ6分23秒のペース感覚を身につける
フルマラソンで4時間30分を切るためには、平均して1キロあたり6分23秒以内のペースで走り続ける必要があります。これは、早歩きよりもずっと速く、息が少し弾む程度のジョギングペースです。
実際のレースでは、給水所でのタイムロスやトイレ、終盤の失速を考慮する必要があります。そのため、練習では1キロ6分10秒から15秒程度で余裕を持って走れるようになることが一つの目安となります。
まずは普段のジョギングの中で、自分が今どれくらいの速さで走っているのかを意識してみてください。スマートウォッチやスマートフォンのアプリを活用して、6分20秒前後の感覚を体に染み込ませることが第一歩です。
サブ4.5の難易度と達成した時のメリット
サブ4.5は、全マラソン完走者の中で上位50%前後に入ると言われています。つまり、このタイムを達成することは、平均的なランナーの中でも「しっかりと練習を積んできた人」の仲間入りをすることを意味します。
5時間切りを目指していた頃に比べると、一定の走力と計画的な練習が求められます。しかし、決して才能が必要な高い壁ではありません。正しい方向で努力を続ければ、多くの市民ランナーが達成可能な目標です。
この目標を達成すると、自分自身の体力に大きな自信がつくだけでなく、次は4時間切り(サブ4)という大きな壁も見えてきます。体脂肪の燃焼効率も上がり、より疲れにくい健康的な体を手に入れることができるでしょう。
目標タイムから逆算する中間地点の通過時刻
レース当日に焦らないためには、各地点での通過タイムを把握しておくことが重要です。4時間30分でゴールする場合、中間地点である21.0975kmを2時間15分前後で通過するのが理想的な形です。
もし前半を2時間10分程度で貯金を作って通過しようとすると、後半に大きな失速を招く危険があります。4時間半を目指すなら、前半と後半のタイム差をなるべく小さくすることが成功への近道となります。
以下の表に、4時間30分を目指す際の目安となる通過タイムをまとめました。これを参考に、自分の走力に合わせたレースプランをイメージしてみましょう。
| 距離 | 通過タイム(目安) |
|---|---|
| 10km | 1時間03分50秒 |
| 20km | 2時間07分40秒 |
| 中間点 | 2時間14分40秒 |
| 30km | 3時間11分30秒 |
| 40km | 4時間15分20秒 |
| ゴール | 4時間29分59秒 |
4時間半切りを叶えるための効果的なトレーニングメニュー

目標タイムが決まったら、次はそれを実現するための練習内容を考えていきましょう。サブ4.5を目指す時期は、ただ長く走るだけでなく、少しずつ質の高い練習を取り入れることで走力が飛躍的に向上します。
基礎体力を底上げするジョギングの重要性
すべての練習の基本となるのがジョギングです。サブ4.5を目指すなら、まずは30分から60分程度のジョギングを週に2〜3回、無理のない範囲で継続することから始めましょう。
ジョギングの目的は、長い距離を走るための土台となる足腰を作ることです。スピードは気にせず、隣の人と笑顔でおしゃべりができるくらいの強度で十分です。この積み重ねが、後半の粘り強さを生み出します。
忙しい日は15分だけでも構いません。「走る習慣」を途絶えさせないことが、何よりも大切です。継続することで心肺機能が徐々に強化され、同じペースでも以前より楽に感じられるようになっていきます。
脚の筋持久力を高めるLSDの取り入れ方
LSDとは「ロング・スロー・ディスタンス」の略で、ゆっくりと長い距離や時間を走る練習法です。サブ4.5達成のためには、90分から120分程度の時間を続けて動く練習が非常に効果的です。
スピードは1キロ7分から8分程度で構いません。あえてゆっくり走ることで、毛細血管が発達し、酸素を効率よく筋肉に運べるようになります。また、長時間着地の衝撃に耐える脚を作る目的もあります。
週末などの時間がある日を利用して、月に2回程度取り入れてみてください。この練習をこなすことで、「42kmという長い距離に対する不安」が少しずつ解消され、精神的な自信にもつながります。
心肺機能を強化するビルドアップ走
ビルドアップ走は、走り始めはゆっくり入り、徐々にペースを上げていく練習法です。例えば、最初の2kmを7分/km、次の2kmを6分30秒/km、最後の1kmを6分/kmといった具合に加速していきます。
この練習のメリットは、体に負担をかけすぎずに心肺機能に刺激を入れられることです。また、レース終盤の苦しい場面で「もう一段階頑張る」ための練習にもなります。週に1回、ジョギングの代わりに取り入れるのがおすすめです。
最後の方は少し息が上がる程度のスピードまで上げることがポイントです。ただし、全力疾走までする必要はありません。あくまで「余裕を持ってペースをコントロールする感覚」を養うことを意識しましょう。
週3回の練習で結果を出すスケジュール例
毎日走る必要はありません。むしろ、適切な休息を取り入れることで怪我を防ぎ、効率よく成長できます。週3回の練習を基本とした、サブ4.5向けのスケジュール例をご紹介します。
月曜日:休み
火曜日:30〜45分のジョギング(気持ちいいペースで)
水曜日:休み
木曜日:5〜8kmのビルドアップ走(最後は目標ペースより少し速く)
金曜日:休み
土曜日:休み
日曜日:90〜120分のLSD(ゆっくり長く)
このように、強弱をつけたスケジュールを組むことで、飽きずに練習を続けることができます。平日に時間が取れない場合は、火曜日の練習を週末に移動させるなど、ライフスタイルに合わせて調整してください。
レース当日に役立つ完走とタイム短縮の戦略

練習の成果を十分に発揮するためには、当日の戦略が欠かせません。42.195kmという長い道のりをどう攻略するか、具体的なタクティクス(作戦)を立てておきましょう。
後半の失速を防ぐペース配分の考え方
マラソンで最も多い失敗は、前半に貯金を作ろうとしてハイペースで入ってしまうことです。サブ4.5を目指すなら、前半の21kmを後半の21kmと同じか、あるいは少し遅いくらいのペースで入るのが理想的です。
これを「ネガティブスプリット」と呼びます。序盤は「少し遅すぎるかな?」と感じるくらいでちょうど良いです。周りのランナーに惑わされず、自分の設定した1キロ6分20秒前後のリズムを刻み続けましょう。
30km地点まで体力を温存できれば、そこから順位を上げていく楽しさを味わえます。精神的にも優位に立てるため、結果として4時間半を切れる可能性がぐっと高まります。
エイドステーションでの給水と補給のコツ
4時間半の運動量は非常に多く、エネルギー切れを起こすと急激にペースダウンします。いわゆる「ガス欠」を防ぐために、喉が渇く前、お腹が空く前からの補給を徹底してください。
給水所では、一口ずつでも確実に水分を摂りましょう。また、スポーツドリンクで塩分も補給することが足攣り対策になります。エイドにあるバナナやパンなどの軽食も、積極的に活用してください。
自分でエネルギージェルを2〜3個用意しておき、10km、20km、30kmといった節目で摂取するのも非常に有効です。ジェルは携帯しやすく、消化吸収も良いため、後半の粘りを強力にサポートしてくれます。
30キロの壁を乗り越えるメンタル維持法
どんなに準備をしても、30kmを過ぎると体は重くなり、足が痛むものです。これが俗に言う「30キロの壁」です。ここで大切なのは、痛みや辛さを「当たり前のこと」として受け入れる心の準備です。
「辛いのは自分だけじゃない」「ここを乗り越えれば4時間半切りが見える」と自分を励ましてください。また、目標を遠くに置かず、「次の電柱まで」「次の給水所まで」と細かく分割して考えると、気持ちが楽になります。
沿道の応援を力に変えるのも一つの手です。名前入りのゼッケンをつけていれば、見知らぬ人からの応援も自分のエネルギーになります。笑顔を作ると脳がリラックスするので、苦しい時こそ意識的に表情を緩めてみましょう。
怪我を防ぎパフォーマンスを上げるコンディショニング

練習と同じくらい重要なのが、体のケアと準備です。4時間半走り続けるためには、それ相応の負担が体に掛かります。怪我を未然に防ぎ、ベストな状態で当日を迎えるためのポイントを確認しましょう。
疲労を残さないためのストレッチと筋膜リリース
練習後のストレッチは、翌日に疲労を残さないための必須作業です。特にふくらはぎ、太もも、お尻の筋肉は硬くなりやすいため、念入りに伸ばしましょう。反動をつけず、呼吸を止めずに20秒から30秒キープします。
最近では「筋膜リリース」という、フォームローラーを使って筋肉をほぐす方法も注目されています。ローラーの上で体を転がすだけで、手では届かない深部のコリが解消され、足の軽さが劇的に変わります。
お風呂上がりの体が温まっている時に行うのが最も効果的です。日々のケアを怠らないことで、練習の質が上がり、怪我による長期離脱という最大のリスクを避けることができます。
4時間半の走行に耐えられるシューズ選び
シューズ選びは、マラソンの結果を左右する重要な要素です。サブ4.5を目指すランナーにおすすめなのは、「クッション性」と「安定性」を兼ね備えた初心者〜中級者向けモデルです。
エリートランナーが履くような超軽量で底の薄いシューズは、脚力が十分でないと後半に足首や膝を痛める原因になります。適度な厚みがあり、着地の衝撃をしっかり吸収してくれるタイプを選びましょう。
また、シューズは必ず店頭で試着し、自分の足の形に合っているか確認してください。夕方に試着すると、足のむくみを考慮したサイズ選びがしやすくなります。信頼できるショップの店員さんに相談するのも良い方法です。
本番直前の1週間で意識すべき食事と睡眠
レースの1週間前からは、練習量を落としてエネルギーを蓄える「テーパリング」の時期に入ります。ここでは激しい練習は控え、食事と睡眠に集中しましょう。
食事については、3日前くらいから炭水化物(ご飯、パン、パスタなど)を多めに摂る「カーボローディング」を意識してください。体にエネルギー源であるグリコーゲンを貯め込み、後半のスタミナ切れを防ぎます。
睡眠は、毎日7時間以上確保することを目指しましょう。特に2日前、3日前の睡眠が重要です。前夜は緊張で眠れないこともありますが、それまでの蓄えがあれば大丈夫ですので、リラックスして過ごしてください。
直前の新しい習慣は避けるのが無難です。新しいサプリメントや、食べ慣れないものを「体に良いから」と急に試すのは、胃腸トラブルの原因になるため控えましょう。
初心者が陥りやすい失敗例と対策

どんなに練習を積んでも、予期せぬ落とし穴で目標を逃してしまうことがあります。ここでは、サブ4.5を目指すランナーがやってしまいがちな失敗と、その回避策について解説します。
周囲に流されてオーバーペースになるリスク
大会当日、スタート直後はアドレナリンが出ており、疲れを感じにくい状態にあります。また、周りのランナーが一斉に飛び出すため、ついつい自分も釣られてペースが上がってしまいがちです。
しかし、最初の数キロでの10秒の無理は、後半の数分の遅れとなって跳ね返ってきます。最初の5kmは「ウォーミングアップ」と割り切り、設定ペースを守る、あるいは少し抑えるくらいの自制心が求められます。
自分の時計をこまめにチェックし、ペースが速すぎる場合は意図的にスピードを落としてください。周囲の人を気にするのではなく、自分の体との対話を楽しみながら走ることが成功の秘訣です。
練習不足を補おうとして直前に追い込みすぎる
仕事が忙しくて練習が計画通り進まなかった時、レースの1〜2週間前に慌てて長い距離を走ってしまう人がいます。これは非常に危険な行為で、怪我の最大の原因となります。
直前の練習で走力が劇的に上がることはありません。むしろ、溜まった疲労が抜けきらないまま本番を迎えることになり、本来の力すら出せなくなってしまいます。
「やってしまった練習不足は取り戻せない」と潔く諦め、その分を「体調の良さ」でカバーする方向へ切り替えましょう。万全の体調でスタートラインに立つことこそが、最も大切なことなのです。
当日の天候や体調の変化への対応策
マラソンは自然の中で行われるスポーツです。当日の気温が高かったり、強い風が吹いたりすることもあります。想定外のコンディションになった時は、目標タイムに固執しすぎない勇気が必要です。
例えば、夏日のような暑さであれば、設定ペースをキロ10〜20秒落とす判断をしてください。無理に4時間半を狙い続けると、脱水症状や熱中症でリタイアするリスクが高まります。
天候に合わせて給水の回数を増やしたり、風が強い時は他のランナーの後ろについて体力を温存したりするなど、臨機応変に対応しましょう。どんな状況でも「今のベストを尽くす」という姿勢が、良い結果を導きます。
マラソンで4時間半を達成して次のステップへ進むためのまとめ
マラソンで4時間半を切るサブ4.5は、継続的な練習と戦略的な走りがあれば、必ず達成できる目標です。1キロ6分23秒というペースを意識し、日々のジョギングからコツコツと積み上げていきましょう。
大切なポイントを振り返ります。まず、練習では週3回をベースに、LSDやビルドアップ走を組み合わせて基礎体力とスピード持久力を養ってください。次に、レース当日は前半を抑えるネガティブスプリットを心がけ、補給を計画的に行います。
そして、何よりも自分自身の体を大切にケアすること。怪我をせず、健康に走り続けることが、結果として最も早く目標に到達する道です。4時間半を切り、ゴールテープを切った時の達成感は、何物にも代えがたい喜びとなります。
この記事で紹介した内容を参考に、一つひとつ準備を進めてみてください。あなたの挑戦を心から応援しています。サブ4.5を達成した先には、きっとこれまで見たことのない新しい景色が広がっているはずです。




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