マラソンに挑戦しようと決意した初心者の方にとって、「一体どれくらい走ればいいの?」という疑問は最初の壁かもしれません。特に「月間走行距離」は、練習の目安としてよく耳にする言葉ですが、いきなり長い距離を走るのは不安ですよね。
この記事では、マラソン初心者が無理なくフルマラソン完走を目指すための、月間走行距離の目安を段階的に解説します。ご自身のレベルに合わせた練習計画を立て、怪我なく楽しく走り続けるためのポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。さあ、一緒に完走への第一歩を踏み出しましょう。
マラソン初心者が知るべき月間走行距離の基本

マラソン完走という目標を達成するためには、計画的なトレーニングが不可欠です。その計画を立てる上で重要な指標となるのが「月間走行距離」です。しかし、なぜこの月単位での走行距離が重視されるのでしょうか。また、初心者が陥りがちな失敗とは何でしょうか。ここでは、月間走行距離の基本的な考え方と、無理なくトレーニングを続けるための目標設定のコツについて解説します。
なぜ月間走行距離が重要なのか?
月間走行距離は、あなたのトレーニング量を示す客観的な指標です。日々の練習は天候や体調によって変動しやすいですが、1ヶ月という長いスパンで見れば、どれだけ走れているかを安定して評価できます。この数値を把握することで、練習が順調に進んでいるのか、あるいは負荷が足りないのか、またはかけ過ぎているのかを判断しやすくなります。
例えば、フルマラソン完走の一つの目安として月間100kmが挙げられることがあります。 しかし、これはあくまで目安であり、この数字に到達すること自体が目的ではありません。大切なのは、月間走行距離を意識することで、自身の走力を客観的に把握し、次のステップへと計画的に進むことです。また、練習記録として残しておくことで、レース本番に向けた調整や、万が一怪我をした際の原因分析にも役立ちます。月間走行距離は、あなたのランニング生活を支える、信頼できるパートナーのような存在なのです。
初心者が陥りやすい走行距離の罠
マラソン初心者が最も陥りやすい罠の一つが、「走りすぎ(オーバートレーニング)」です。 早く走れるようになりたいという気持ちが先行し、急に長い距離を走ったり、毎日のように走り続けたりすると、体への負担が大きくなりすぎてしまいます。特に、走り始めたばかりの頃は、筋肉や関節がまだランニングの衝撃に慣れていません。 その状態で無理をすると、ランナー膝やシンスプリントといった怪我を引き起こす原因となります。
また、「月間走行距離◯◯km」という目標に縛られすぎるのも危険です。 目標達成を焦るあまり、月の終わりに慌てて走りだめをするような行為は、体に大きな負担をかけるだけで、効果的なトレーニングとは言えません。 大切なのは、日々の積み重ねです。痛みや強い疲労を感じたときは、無理をせず休む勇気も必要です。 焦らず、自分の体の声に耳を傾けながら、一歩一歩着実に距離を伸ばしていくことが、結果的に目標達成への一番の近道となります。
無理なく続けるための目標設定のコツ
マラソンへの挑戦は、長期的な視点で取り組むことが成功の秘訣です。そのためには、無理なく継続できる目標を設定することが何よりも重要になります。いきなり「フルマラソン完走」という大きな目標だけを掲げるのではなく、達成可能な小さな目標をいくつも設定しましょう。
例えば、最初の1ヶ月は「週に2回、30分歩く・走る」といった、ごく簡単な目標からスタートします。 そして、それをクリアできたら、次は「週に3回走る」「1回で5km走ってみる」というように、少しずつ目標のレベルを上げていきます。 ランニング初心者の方は、走る「距離」よりも「時間」を目標にするのもおすすめです。 「今日は30分走ろう」と決めれば、ペースを気にすることなく、走る行為そのものに集中できます。 小さな成功体験を積み重ねることで、モチベーションを維持しやすくなり、走ることが自然と習慣になっていくでしょう。最終的な目標までの道のりを、楽しみながら進んでいくことが大切です。
【目的別】マラソン初心者の月間走行距離の目安

マラソン初心者の月間走行距離は、その目的によって大きく異なります。「まずは楽しく走る習慣をつけたい」という方と、「フルマラソンを絶対に完走したい」という方では、目指すべき走行距離も練習内容も変わってきます。ここでは、具体的な目的別に月間走行距離の目安を解説します。ご自身の目標と照らし合わせながら、最適なプランを見つけてください。
まずは楽しく走る習慣をつける(月間〜50km)
ランニングを始めたばかりの初心者にとって、最も大切なのは「走ることを楽しむ」そして「継続する」ことです。 この段階では、走行距離を気にする必要はほとんどありません。まずは、週に2〜3回、1回あたり20分〜30分程度のウォーキングから始めてみましょう。 体が慣れてきたら、ウォーキングの途中に短いジョギングを挟むなど、少しずつ走る時間を増やしていきます。
この時期の月間走行距離の目安は、およそ30km〜50km程度です。 1回に3km走る練習を週に3回行えば、月間走行距離は約36kmになります。無理のないペースで、気持ちよく走れる範囲で続けることが重要です。まずはランニングウェアやシューズを揃え、形から入るのもモチベーションアップに繋がります。 この時期は、距離やタイムを追い求めるのではなく、体を動かす爽快感を味わい、ランニングを生活の一部にしていくことを第一に考えましょう。
ハーフマラソン完走を目指す(月間50km~100km)
走る習慣が身につき、体力もついてきたら、次のステップとしてハーフマラソン(約21km)の完走を目指してみるのも良いでしょう。フルマラソンを完走するためには、その半分の距離であるハーフマラソンを走りきる走力が必要とされています。 このレベルを目指すランナーの月間走行距離の目安は、50kmから100km程度です。
具体的には、週に3回程度のランニングを継続し、そのうち1回は少し長めの距離(10km程度)を走る日を設けると効果的です。 毎回同じペースで走るだけでなく、ゆっくり長く走るLSD(Long Slow Distance)トレーニングを取り入れるのもおすすめです。LSDは、おしゃべりできるくらいのゆっくりとしたペースで長い時間走り続ける練習法で、持久力の向上に非常に効果があります。この段階では、一度に走れる距離を少しずつ伸ばしていくことを意識し、ハーフマラソンへの自信をつけていきましょう。
フルマラソン完走を目指す(月間100km~150km)
いよいよフルマラソン(42.195km)の完走が現実的な目標となってきたら、月間走行距離もさらに伸ばしていく必要があります。フルマラソン完走を目指す初心者の場合、一般的に月間100km〜150km程度の走行距離が一つの目安とされています。 月に100km走る体力がつけば、完走できる可能性はかなり高まります。
このレベルになると、週3〜4回の練習をコンスタントに行うことが理想です。 平日は5km〜10kmのジョギングを行い、週末には15km〜20kmといった長めの距離を走る「距離走」を取り入れましょう。 レース本番の2ヶ月前までには、20kmを無理なく走りきれる力をつけておきたいところです。 ただし、急に走行距離を増やすと怪我のリスクが高まるため、計画的に少しずつ距離を伸ばしていくことが重要です。 この時期は、距離への耐性をつけるとともに、本番さながらの状況で走る経験を積むことが大切になります。
サブ5(5時間切り)を目指すなら(月間150km~200km)
単なる完走だけでなく、「5時間切り(サブ5)」という具体的なタイムを目標にする場合、さらに計画的なトレーニングと相応の走行距離が必要になります。サブ5を目指すランナーの月間走行距離の目安は、150kmから200km程度と言われています。 この目標を達成するためには、1kmを約7分ペースで走り続ける走力が必要です。
練習メニューも、ただ長く走るだけでなく、質を意識したものを取り入れる必要があります。例えば、設定したペースを維持して走る「ペース走」や、徐々にペースを上げていく「ビルドアップ走」などが効果的です。 これらの練習は、心肺機能やスピード持久力を高めるのに役立ちます。また、定期的にハーフマラソンの距離を走ることで、自分の実力を確認し、レース本番でのペース配分の感覚を養うことも重要です。 ここまでくると立派な中級ランナー。計画性と実行力が、目標達成の鍵となります。
マラソン初心者のための月間走行距離の賢い増やし方

マラソン完走という目標に向けて、月間走行距離を伸ばしていくことは不可欠です。しかし、焦りは禁物。初心者が無理に距離を伸ばそうとすると、怪我につながり、かえって遠回りになってしまいます。ここでは、体に負担をかけず、賢く月間走行距離を増やしていくためのステップと、怪我を防ぐための重要なルールについて解説します。
最初の1ヶ月:まずは「歩く」ことから
ランニング経験が全くない初心者の場合、いきなり走り始めるのではなく、まずはウォーキングからスタートするのが最も安全で効果的な方法です。 最初の1ヶ月は、「走るための体作り」の期間と位置づけましょう。目標は、運動する習慣を身につけ、基礎的な体力を養うことです。
まずは、週に2〜3回、1回30分程度のウォーキングから始めてみてください。背筋を伸ばし、腕をしっかり振って、少し早歩きを意識するのがポイントです。 慣れてきたら、徐々に時間を40分、50分と伸ばしていきましょう。ウォーキングに物足りなさを感じるようになったら、それは体が次のステップに進む準備ができたサインです。この段階では走行距離を気にする必要はありません。まずは体を動かすことに慣れ、楽しむことから始めましょう。
2〜3ヶ月目:少しずつ走る時間を増やす
ウォーキングに慣れ、体力がついてきたら、いよいよランニングを取り入れていきます。しかし、ここでも焦らず、少しずつ進めることが大切です。おすすめなのが、「ウォーク&ラン」という方法です。これは、ウォーキングとジョギングを交互に繰り返すトレーニングです。
例えば、「5分歩いて、1分走る」というセットを5回繰り返すことから始めてみましょう。合計で30分間の運動になります。体が慣れてきたら、「3分歩いて、3分走る」というように、徐々に走る時間の割合を増やしていきます。最終的には、30分間休まずにゆっくりと走り続けられるようになるのが目標です。 この時期も、距離ではなく「時間」を目安に練習するのがおすすめです。 自分の体力と相談しながら、無理のない範囲で走る時間を伸ばしていきましょう。
4〜6ヶ月目:距離を意識したトレーニングへ
30分程度のジョギングが楽にできるようになったら、いよいよ「距離」を意識したトレーニングに移行していきます。この段階の目標は、フルマラソン完走の土台となる持久力を本格的に養うことです。月間走行距離としては、100kmを目指していくフェーズになります。
まずは、5kmを無理なく走れるようになることを目指しましょう。 5kmをクリアしたら、次は10km、そして15kmと、週末などを利用して少しずつ長い距離に挑戦します。 この長距離走は、週に1回程度で十分です。平日は、これまで通り30分〜60分程度のジョギングを週に2〜3回行い、走る習慣を維持しましょう。この時期にハーフマラソン(約21km)を一度経験しておくと、フルマラソンへの大きな自信につながります。
10%ルールを意識して怪我を防ぐ
走行距離を伸ばしていく過程で、常に心に留めておきたいのが「10%ルール」です。これは、1週間の総走行距離を、前の週に比べて10%以上は増やさないという、怪我予防のための基本的な考え方です。
例えば、ある週に合計20km走ったとしたら、次の週に増やす距離は最大でも2km、合計22kmまでにとどめる、ということです。ランニングは、思った以上に体へ負担がかかるスポーツです。 特に初心者の体は、まだその負荷に慣れていません。やる気に満ちている時ほど、「もっと走りたい」「もっと速く」という気持ちになりがちですが、その気持ちをぐっとこらえ、このルールを守ることが重要です。 急激な負荷の増加は、筋肉や関節を痛める最大の原因です。 地道で退屈に感じるかもしれませんが、10%ルールを守ることが、結果的に中断することなく走り続けるための最も賢い方法なのです。
月間走行距離と合わせて意識したい!マラソン初心者の練習の質

マラソン完走を目指す上で、月間走行距離は重要な指標ですが、ただやみくもに距離を走れば良いというわけではありません。特に初心者の方は、練習の「質」を高めることで、より効率的に、そして安全に走力を向上させることができます。ここでは、走行距離と合わせて意識したい、練習の質を高めるための3つの重要なポイントと、トレーニングの基本となる休息の重要性について解説します。
フォームを意識して効率的に走る
楽に、そして長く走り続けるためには、効率の良いランニングフォームを身につけることが非常に重要です。 無駄な力みのあるフォームで走り続けると、エネルギーを余計に消費するだけでなく、膝や腰など特定の部分に負担が集中し、怪我の原因にもなります。
初心者の方が意識したいフォームのポイントは、「背筋をまっすぐ伸ばし、目線は前方に」「肩の力を抜き、リラックスする」「腕は軽く曲げ、肘を後ろに引くようにリズミカルに振る」といった点です。 最初は窮屈に感じるかもしれませんが、正しいフォームを意識して走ることで、一歩一歩の推進力が大きくなり、結果的に少ない力で楽に前へ進めるようになります。自分の走る姿を動画で撮影してみたり、経験豊富なランナーに見てもらったりするのも良いでしょう。
ペース配分の重要性
フルマラソンという長丁場を走りきるためには、ペース配分が極めて重要になります。 初心者にありがちな失敗が、スタート直後の高揚感から、自分の実力以上の速いペースで突っ込んでしまい、後半にエネルギー切れを起こして大失速してしまうパターンです。これを避けるためには、普段の練習から自分のペースを把握し、レース本番で目標とするペースを維持する練習を積むことが大切です。
おすすめの練習法が「ペース走」です。これは、あらかじめ決めた一定のペースで、一定の距離を走り続けるトレーニングです。 例えば、「1kmを7分のペースで5km走る」といった目標を設定します。この練習を繰り返すことで、体内時計がそのペースを覚え、レース本番でも冷静にペースをコントロールできるようになります。最初は短い距離から始め、徐々にペース走の距離を伸ばしていきましょう。
休息日(レスト)も大切なトレーニング
強くなるためには毎日走らなければいけない、と考えている初心者の方もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。トレーニングと同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが「休息」です。 ランニングによって傷ついた筋繊維は、休息している間に修復され、以前よりも強くなります。これを「超回復」と呼び、このサイクルを繰り返すことで走力は向上していくのです。
そのため、毎日走るのではなく、週に2〜3日は必ず休養日(レスト)を設けましょう。 練習頻度は週3〜4日が理想的です。 疲れや筋肉の張りを感じるときは、無理せず休む勇気が大切です。休息を疎かにしてトレーニングを続けると、疲労が蓄積し、オーバートレーニングとなって怪我や不調を引き起こす原因になります。 「休むこともトレーニングのうち」と心得て、計画的に休みを取り入れましょう。
ランニング以外の補強トレーニング
マラソンを走りきるためには、走る練習だけでなく、体を支えるための筋力トレーニング(補強トレーニング)を取り入れることが非常に効果的です。 安定したフォームを維持するためには、体幹(腹筋や背筋)の強さが不可欠です。また、着地の衝撃を吸収し、力強く地面を蹴り出すためには、お尻や太ももの筋力も重要になります。
初心者でも自宅で簡単にできる補強トレーニングとしては、「プランク」「スクワット」「ヒップリフト」などがおすすめです。 プランクは体幹を、スクワットは下半身全体を効率よく鍛えることができます。これらのトレーニングを週に1〜2回、ランニングをしない日に行うだけでも、走りの安定性が格段に向上し、怪我の予防にも繋がります。 走る練習と補強トレーニングを組み合わせることで、よりバランスの取れた、故障しにくい体を作ることができるのです。
まとめ マラソン初心者の月間走行距離、成功へのロードマップ

この記事では、マラソン初心者が完走を目指す上での「月間走行距離」の考え方について、多角的に解説してきました。重要なのは、数字に縛られるのではなく、月間走行距離をあくまで「目安」として捉え、ご自身の目的やレベルに合わせて、無理なく計画的にトレーニングを積み重ねていくことです。
まずはウォーキングから始め、徐々に走る時間を増やし、最終的にフルマラソン完走の目安となる月間100km〜150kmを目指していくのが王道のステップです。 その過程では、急激に距離を増やさない「10%ルール」を守り、怪我を防ぐことが何よりも大切です。 また、効率的なフォームの習得、ペース配分の練習、そして適切な休息と補強トレーニングといった「練習の質」を高める視点も忘れてはいけません。
マラソンへの挑戦は、一朝一夕にはいきません。しかし、今回ご紹介したポイントを踏まえ、焦らず、楽しみながら一歩一歩進んでいけば、42.195km先の感動のゴールは、決して夢物語ではないはずです。



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