「いつかはフルマラソンを走ってみたい!」そう思い立ったものの、何から練習を始めればいいのか、どんな準備が必要なのか、不安や疑問を抱えているマラソン初心者の方も多いのではないでしょうか。42.195kmという長い道のりは、決して楽なものではありませんが、正しい知識と計画的な練習があれば、誰にでも完走できる可能性は十分にあります。
この記事では、そんなマラソン初心者の皆さんのために、練習を始める前の準備から、具体的な練習メニュー、大会本番までの流れを、やさしく、わかりやすく解説します。運動習慣がまったくない方でも無理なく始められるステップから紹介しているので、安心して読み進めてください。この記事を読めば、フルマラソン完走という大きな目標に向かって、自信を持って第一歩を踏み出せるはずです。
マラソン初心者が練習を始める前に知っておきたいこと

マラソンへの挑戦を決意したら、すぐに走り出したくなる気持ちはわかりますが、まずは落ち着いて準備を整えることが大切です。事前の準備が、怪我の予防やモチベーションの維持につながり、結果として完走の可能性を大きく高めてくれます。
まずは目標を具体的に設定しよう
何事も、具体的な目標があると計画が立てやすく、モチベーションも維持しやすくなります。 マラソン初心者の方にとって、最初の大きな目標は「制限時間内での完走」でしょう。 多くの市民マラソン大会では、制限時間が6時間から7時間に設定されています。 まずは、自分がエントリーする大会の制限時間を確認し、それをクリアすることを目標にしましょう。
さらに、具体的な目標タイムを設定するのもおすすめです。 例えば、「1kmを約7分のペースで走り、5時間での完走を目指す」といった目標です。 このように具体的な数値を掲げることで、練習でのペース配分が明確になります。 最初は無理のない目標を立て、練習の進捗に合わせて見直していくのが良いでしょう。
完走に欠かせない!道具をしっかり揃えよう
マラソンは手軽に始められるスポーツですが、最低限の道具を揃えることは、快適なランニングと怪我の予防に不可欠です。
ランニングウェア: 汗を吸って素早く乾く「吸汗速乾性」のある素材を選びましょう。 綿100%のTシャツは汗で重くなり体を冷やす原因になるため、避けた方が無難です。
ランニングソックス: 5本指ソックスなどは、マメの予防に効果的です。
ランニングウォッチ: 走った時間や距離、ペースなどを記録できるため、練習の管理に非常に役立ちます。
その他: 日差し対策のキャップやサングラス、寒い時期のアームカバー、雨天時のレインウェアなど、必要に応じて揃えていくと良いでしょう。
自分の体の状態を把握しよう
練習を始める前には、自分の体の状態を把握しておくことも重要です。しばらく運動から離れていた方や、健康に不安がある方は、健康診断を受けて医師に相談することをおすすめします。
また、走り始めると思った以上に体に負担がかかることがあります。特に膝や足首などは痛めやすい部位です。 練習中に痛みを感じたら、無理をせず休息をとることが大切です。自分の体と対話しながら、焦らずに進めていきましょう。
マラソン初心者のための基本的な練習メニュー

いきなり長い距離を走ろうとすると、怪我の原因になったり、辛さから挫折してしまったりする可能性があります。特に運動習慣がなかった方は、体を走ることに少しずつ慣らしていくことが大切です。
まずはウォーキングからスタート!
ランニング経験が全くない、あるいはほとんどないという方は、まずウォーキングから始めるのがおすすめです。 運動する習慣を身につけ、基礎的な体力を作ることが目的です。
最初は1日30分程度、週に3~4日を目安に始めてみましょう。 歩くときは、ただダラダラと歩くのではなく、腕をしっかりと振り、少し大股で、普段より速いペースを意識するのがポイントです。 ウォーキングに慣れてきたら、徐々に時間を延ばしたり、コースの途中に軽いジョギングを挟んだりして、少しずつ体に刺激を与えていきましょう。 この段階で重要なのは、「継続すること」です。無理のない範囲で、まずは体を動かす楽しさを感じるところからスタートしてください。
ゆっくり長く走る「スロージョギング」を取り入れよう
ウォーキングに慣れ、運動する習慣が身についてきたら、次は「スロージョギング」を取り入れてみましょう。スロージョギングとは、その名の通り、おしゃべりしながらでも走れるくらいのゆっくりとしたペースで走ることです。
この練習の目的は、走るという動作に体を慣れさせることです。 速く走る必要は全くありません。もし30分間走り続けるのが難しければ、途中でウォーキングを挟んでも大丈夫です。 大切なのは、止まらずに動き続けることです。ペースは歩くのと同じくらいか、それより少し速いくらいで構いません。周りのランナーと比べる必要はないので、自分の心地よいペースを見つけることに集中しましょう。このゆっくりとしたペースでのランニングは、今後の練習の基礎となります。
焦らずに走る時間と距離を伸ばしていく
スロージョギングで30分間、無理なく走り続けられるようになったら、次のステップとして、少しずつ走る時間や距離を伸ばしていきます。 ここでも焦りは禁物です。
例えば、今週は30分走れたから、来週は35分、再来週は40分というように、週に5分から10分程度を目安に少しずつ時間を増やしていくのが良いでしょう。距離で目標を設定する場合も同様に、今週5km走れたら来週は6kmというように、徐々に負荷を上げていきます。急激に練習量を増やすと、膝や足首などを痛めるリスクが高まります。 体の調子を確認しながら、一歩一歩着実にステップアップしていくことが、結果的にマラソン完走への一番の近道になります。
完走へ導く!マラソン初心者のための練習計画

フルマラソン完走という目標を達成するためには、計画的なトレーニングが不可欠です。 一般的に、マラソン初心者が完走を目指すには、最低でも3ヶ月、できれば6ヶ月程度の練習期間があると安心です。 ここでは、大会6ヶ月前から始める練習計画のモデルケースを紹介します。
【6ヶ月前~】準備期間:運動する習慣を身につける
この期間の最大の目標は、定期的に運動する習慣を身につけ、走るための基礎体力を作ることです。
ポイント: この段階では、走る距離や速さよりも「継続すること」を最優先してください。 「今日は疲れているな」と感じたら無理せずウォーキングに切り替えるなど、柔軟に対応しましょう。まずは、体を動かすことを生活の一部にすることが大切です。
【4~5ヶ月前】走り込み期:少しずつ距離を伸ばす
走ることに体が慣れてきたら、少しずつ走る時間と距離を伸ばしていく段階に入ります。
ポイント: 距離を伸ばす際は、ペースを上げる必要はありません。あくまでゆっくりとしたペースで、心地よく走れる範囲で時間を延ばしていくことを意識してください。この時期に持久力の基礎が作られていきます。
【2~3ヶ月前】実践期:長い距離(LSD)に挑戦
この時期には、マラソンを走り切るための脚を作るために、LSD(ロング・スロー・ディスタンス)という練習を取り入れます。 LSDとは、おしゃべりできるくらいのゆっくりとしたペースで、長い時間(90分~120分など)を走り続けるトレーニングです。
ポイント: LSDは心肺機能の向上や、長時間動き続けるための筋持久力を養うのに非常に効果的です。 途中で歩いても構いませんので、長い時間体を動かし続ける経験を積むことが重要です。 また、この時期に一度ハーフマラソン(約21km)の距離を走っておくと、大きな自信につながります。
【1ヶ月前~大会直前】調整期(テーパリング):本番で最高のパフォーマンスを
レースが近づいてきたら、練習量を徐々に減らしていく「テーパリング」という調整期間に入ります。 これは、トレーニングで蓄積した疲労を抜き、大会当日にベストなコンディションで臨むための重要な期間です。
3~4週間前: 練習の総距離を少しずつ減らし始めます。この時期に、本番を見据えて20km~30kmの距離を一度走っておくと良いでしょう。 ただし、初心者の方は30km走のダメージが大きい場合もあるので、20km程度でも十分です。
1~2週間前: 練習量(走行距離)を普段の半分程度まで減らします。 走る頻度は維持しつつ、一回あたりの距離を短くするのがポイントです。
大会前日: 軽いストレッチ程度にとどめ、しっかりと体を休ませましょう。
ポイント: 練習量を減らすことに不安を感じるかもしれませんが、疲労を抜くことが本番でのパフォーマンス向上につながります。 この期間は、十分な睡眠と栄養を摂ることを心がけましょう。
マラソン初心者の練習を支える補強トレーニングとケア

マラソンを完走するためには、走る練習だけでなく、体を支えるための筋力トレーニング(補強トレーニング)や、体を整えるためのケアも非常に重要です。これらを練習に組み込むことで、怪我のリスクを減らし、より効率的に走れるようになります。
安定した走りにつながる体幹トレーニング
体幹とは、胴体部分の筋肉のことを指し、ランニングフォームを安定させる上で非常に重要な役割を担っています。 体幹がしっかりしていると、長時間のランニングでもフォームが崩れにくくなり、無駄なエネルギー消費を抑えることができます。
おすすめの体幹トレーニングは「プランク」です。うつ伏せになり、肘とつま先で体を支え、頭からかかとまでが一直線になるように姿勢をキープします。まずは30秒キープから始め、慣れてきたら徐々に時間を延ばしていきましょう。このほか、腹筋や背筋をバランスよく鍛えることも、安定した走りにつながります。 これらのトレーニングは、走る練習がない日や、練習後に行うのが効果的です。
怪我を防ぎ力強い走りを作る下半身の筋トレ
ランニングは主に下半身の筋肉を使って行われます。特に、着地の衝撃を吸収し、体を前に進めるためには、太ももやお尻の筋肉が重要です。 これらの筋肉を筋トレで強化することで、怪我の予防だけでなく、走りの力強さや安定性が増します。
初心者におすすめなのが「スクワット」です。 肩幅に足を開き、背筋を伸ばしたまま、椅子に座るようにお尻をゆっくりと下ろしていきます。太ももが床と平行になるまで下ろしたら、元の姿勢に戻ります。 膝がつま先より前に出ないように注意するのがポイントです。10回を1セットとし、2~3セットを目安に行いましょう。筋トレは週に2回程度、休息日を挟んで行うのが効果的です。
練習効果を高めるストレッチの重要性
練習前後のストレッチは、怪我の予防と疲労回復のために欠かせません。
練習後のストレッチ(静的ストレッチ): 使った筋肉をゆっくりと伸ばし、クールダウンさせることを目的とします。 太ももの前側、裏側(ハムストリングス)、ふくらはぎ、お尻など、ランニングで特に使った部分を中心に、息を吐きながら20~30秒かけてじっくりと伸ばしましょう。
ストレッチを習慣にすることで、筋肉の柔軟性が高まり、疲労が残りにくくなります。 これにより、次の練習にも良いコンディションで臨むことができるようになります。
マラソン初心者が練習で注意すべき5つのポイント

マラソン完走という目標に向かって練習を続ける中で、いくつか注意すべき点があります。これらのポイントを押さえておくことで、怪我を防ぎ、安全に、そして楽しくトレーニングを継続することができます。
無理は禁物!休養も大切な練習の一部
「早く走れるようになりたい」という気持ちから、毎日走り込んでしまう初心者の方がいますが、これは逆効果になる可能性があります。筋肉は、トレーニングによって傷つき、休息をとることで修復され、より強くなっていきます。 そのため、練習と同じくらい休養が重要です。
週に2~3日は、ランニングをしない休養日を設けましょう。 体が疲れていると感じる日や、筋肉痛がひどい日は、無理せず休む勇気も必要です。計画通りにいかなくても焦らず、自分の体の声に耳を傾けながら進めていきましょう。
疲れにくい正しいランニングフォームを意識する
腕振り: 肩の力を抜き、肘を約90度に曲げて、リズミカルに後ろに引くことを意識します。
着地: 足裏全体で着地するイメージを持つと、衝撃が和らぎます。
最初は意識するのが難しいかもしれませんが、練習を重ねるうちに自然と身についていきます。 時々、ガラスなどに映る自分のフォームをチェックしてみるのも良いでしょう。
パフォーマンスを支える栄養補給と水分摂取
長距離を走るためには、エネルギー源となる炭水化物(糖質)が欠かせません。 練習前には、おにぎりやバナナなど、消化の良い炭水化物を摂ってエネルギーを補給しておきましょう。練習後には、傷ついた筋肉を修復するために、タンパク質と炭水化物をバランス良く摂取することが大切です。
また、水分補給も非常に重要です。 走る前、走っている最中、走った後と、こまめに水分を摂ることを心がけましょう。特に夏場は脱水症状になりやすいので注意が必要です。スポーツドリンクは、水分と同時にミネラルも補給できるのでおすすめです。
夏場や冬場の練習で気をつけること
季節によって練習環境は大きく変わるため、それぞれ注意が必要です。
冬場: 寒さで筋肉が硬くなり、怪我をしやすい季節です。練習前にはウォーミングアップを念入りに行い、体をしっかり温めてから走り始めましょう。ウェアは、保温性がありながらも汗で体が冷えないように、重ね着で調整するのがおすすめです。
痛みを感じたら勇気を持って休む
練習中に膝や足首、腰などに痛みを感じた場合は、無理して走り続けないでください。 それは体が発している危険信号です。軽い痛みであっても、一度立ち止まって様子を見たり、その日の練習を切り上げたりする判断が重要です。痛みが続く場合は、我慢せずに整形外科などの医療機関を受診しましょう。 早めに対処することで、長期的な離脱を防ぐことにつながります。
まとめ マラソン初心者の練習は、計画的に楽しむことが完走への一番の近道

この記事では、マラソン初心者が完走を目指すための練習方法や準備について、網羅的に解説してきました。
まず、練習を始める前には、具体的な目標設定、自分の足に合ったシューズ選びなどの準備が大切です。 練習は、いきなり走り出すのではなく、ウォーキングから始め、徐々にスロージョギングへと移行し、体を慣らしていくことが怪我を防ぐポイントです。
フルマラソン完走のためには、少なくとも3ヶ月から6ヶ月の計画的な練習が推奨されます。 練習計画には、持久力を養うLSD(ロング・スロー・ディスタンス)や、フォームを安定させるための体幹トレーニング、下半身の筋トレなどをバランス良く取り入れましょう。 そして、大会直前にはテーパリングと呼ばれる調整期間を設け、疲労を抜いて本番に備えることが重要です。
練習中は、正しいフォームを意識し、栄養補給と水分摂取を怠らないこと、そして何よりも無理をせず、休息をしっかりとることが不可欠です。
42.195kmという道のりは決して短くありませんが、一歩一歩着実に練習を積み重ねていけば、ゴールテープを切る感動は必ず味わえます。この記事で紹介した内容を参考に、ぜひ楽しみながらマラソンへの挑戦を続けてください。



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