マラソンのピーキング完全ガイド!レース当日に最高のパフォーマンスを発揮する方法

【トレーニング・練習】目標達成への道筋

マラソン完走や自己ベスト更新という目標に向かって日々トレーニングに励むランナーにとって、レース本番で練習の成果を最大限に発揮することは何よりも重要です。そのために欠かせないのが、レース直前の調整期間である「ピーキング」です。

しかし、「ピーキングって具体的に何をすればいいの?」「練習量を減らすと走力が落ちてしまいそうで不安…」といった悩みを抱えている方も少なくないでしょう。この記事では、マラソンにおけるピーキングの基本的な考え方から、具体的なトレーニングメニュー、食事、休養の取り方まで、初心者にも分かりやすく徹底解説します。正しいピーキングを実践し、万全の状態でスタートラインに立ち、目標を達成しましょう。

目次

マラソンのピーキングとは?基本を理解しよう

マラソンで目標を達成するためには、計画的なトレーニングだけでなく、レース当日に心身の状態を最高潮に持っていくための調整が不可欠です。 この調整作業こそが「ピーキング」です。まずは、ピーキングの基本的な目的や期間、理想的な状態について理解を深めていきましょう。

ピーキングの目的:なぜレース前に練習量を落とすの?

ピーキングの最大の目的は、トレーニングで蓄積した疲労を抜き、心身ともにフレッシュな状態でレース本番を迎えることです。 長期間にわたるマラソントレーニングでは、知らず知らずのうちに体に疲労が蓄積しています。そのままの状態でレースに臨んでも、本来の力は発揮できません。

そこで、意図的にトレーニング量を減らすことで、筋肉の微細な損傷を修復し、エネルギーを体に満たし、最高のパフォーマンスを発揮できる状態を作り出すのです。 練習量を減らすことに不安を感じるかもしれませんが、これは走力を落とすためではなく、むしろトレーニングで培った能力を100%引き出すための戦略的な休養なのです。

ピーキングの期間はどれくらい?:レース3週間前からが目安

ピーキングを行う期間は、一般的にフルマラソンの場合、レースの2週間から3週間前が推奨されています。 この期間に入ったら、徐々に練習の量(走行距離)を減らしていきます。例えば、3週間前は通常の20〜30%減、2週間前は40〜50%減といった具合に段階的に調整します。

そして、レース直前の1週間は、軽いジョギングなどでコンディションを維持する程度にとどめます。 もちろん、これはあくまで一般的な目安であり、個人の走力や疲労度によって最適な期間は異なります。 これまでの練習量が多いランナーほど、疲労を抜くためにより長い調整期間が必要になる場合があります。自分の体の声に耳を傾けながら、最適な期間を見つけることが大切です。

ピーキングの理想的な状態とは?:疲労が抜けて心身ともに充実

ピーキングがうまくいった理想的な状態とは、まず身体的な疲労が完全に抜けていることです。朝、すっきりと目覚められ、体にだるさや重さを感じない状態が目安となります。筋肉の張りや痛みもなく、いつでも走り出せるような軽やかさを感じられるでしょう。

さらに、精神的にも充実していることが重要です。レースに対する過度な緊張や不安がなく、むしろ「早く走りたい」というポジティブな気持ちで満たされている状態です。 トレーニング量が減ることで、心にも余裕が生まれ、レースへのモチベーションが高まります。 このように、体だけでなく心も最高の状態に整えることが、ピーキングの最終的なゴールと言えるでしょう。

マラソンのピーキング期に行うべきトレーニング

ピーキング期間中は、ただ休むだけではありません。練習の「量」を減らしつつも、「質」は維持することが成功のポイントです。 このトレーニング量の調整方法を「テーパリング」と呼びます。 ここでは、テーパリングの基本から具体的な練習メニューまで、ピーキング期に行うべきトレーニングについて解説します。

テーパリングの基本:徐々に練習量を減らす

テーパリングの基本は、レースに向けてトレーニングの量を段階的に減らしていくことです。 何ヶ月もかけて積み上げてきた練習によって、体には疲労が蓄積しています。レース直前までハードなトレーニングを続けると、その疲労が抜けきらず、本番で最高のパフォーマンスを発揮することが難しくなります。

そこで、レースの2〜3週間前から走行距離を減らし始め、筋肉を回復させ、エネルギーを十分に蓄える時間を作ります。 急激に練習量をゼロにするのではなく、徐々に減らしていくのがポイントです。極端な変化は体にストレスを与えかねません。 これまで積み重ねてきた努力を無駄にしないためにも、計画的なテーパリングで体を最高の状態に仕上げていきましょう。

練習強度の考え方:ペースは維持し、距離を短く

テーパリング期間中に最も注意すべき点は、練習の「量」は減らしても「質(強度)」は落とさないということです。 つまり、走るペースはレース本番で目標とするペースか、それより少し速いペースを維持し、走る距離や時間を短くします。

例えば、毎週行っているインターバル走などのポイント練習は、本数を減らして継続します。 なぜなら、練習の強度まで落としてしまうと、スピード感覚が鈍り、心肺機能や筋力が低下してしまう恐れがあるからです。 距離が短くなる分、質の高い練習に集中しやすくなり、レースペースへの自信にも繋がります。 「量は減らす、質は維持する」この原則をしっかりと守ることが、テーパリング成功の秘訣です。

具体的な練習メニュー例:ポイント練習とつなぎジョグの組み合わせ

それでは、具体的な練習メニューの例を見ていきましょう。これはあくまで一例なので、ご自身の走力や普段の練習内容に合わせて調整してください。

レース2週間前:
・ ポイント練習:レースペースでのペース走を、普段の半分程度の距離(例:10km)で実施。または、1000mのインターバル走を、本数を減らして(例:5本→2〜3本)行う。
・ つなぎジョグ:普段60分走っているなら40分程度に短縮。 疲労を抜きながらも、走る習慣は維持します。
・ 週末のロング走:距離を大幅に短縮し、10km〜12km程度にします。

レース1週間前:
・ ポイント練習:レースの3〜4日前に、短い距離(例:2〜3km)のペース走や、1km程度の刺激入れを行い、レースペースの感覚を体に覚えさせます。
・ つなぎジョグ:20〜30分程度の軽いジョギングを1〜2回行う程度にします。
・ 休養:レース2日前からは完全休養、もしくはごく軽いストレッチ程度にとどめ、回復に専念します。

この時期は、走りすぎによる疲労の蓄積が最も避けたいことです。物足りなさを感じるくらいが丁度良いと考え、勇気をもって休むことを心がけましょう。

食事も重要なマラソンのピーキング戦略

ピーキング期間中は、トレーニングと同様に食事も非常に重要です。レース当日にエネルギー切れ(ガス欠)を起こさず、42.195kmを走り切るためには、体内にエネルギー源となるグリコーゲンを最大限に蓄えておく必要があります。そのための食事法が「グリコーゲンローディング」です。

グリコーゲンローディングとは?:エネルギーを体に満タンにする食事法

グリコーゲンローディング(またはカーボローディング)とは、レースの数日前から炭水化物(糖質)の摂取量を意図的に増やし、筋肉や肝臓に蓄えられるエネルギー源「グリコーゲン」の貯蔵量を通常以上に高める食事法です。 マラソンのような長時間の運動では、このグリコーゲンが主なエネルギー源として使われます。体内のグリコーゲンが枯渇すると、急に体が動かなくなり、ペースダウンを余儀なくされます。

グリコーゲンローディングを適切に行うことで、体内のエネルギータンクを満タンにし、レース後半のスタミナ切れを防ぐことができるのです。 一般的には、レースの3日前から高糖質食に切り替える方法が推奨されています。

レース3日前からの食事メニュー例

レース3日前からは、食事全体の70%以上を高糖質の食事に切り替えていきます。 ここで大切なのは、「高糖質・低脂肪」を意識することです。 脂質は消化に時間がかかり、胃腸に負担をかける可能性があるため、揚げ物や脂身の多い肉、クリームを使った料理などは避けるようにしましょう。

・ 主食:ごはん、うどん、パスタ、もち、パンなどを中心に、普段より多めに摂取します。特に、消化が良くエネルギーに変換されやすい「うどん」や「もち」はおすすめです。
・ 主菜:脂質の少ない鶏むね肉、ささみ、白身魚、豆腐、納豆などを選びましょう。調理法も焼く、蒸す、煮るといった油を使わない方法が適しています。
・ 副菜・その他:芋類やかぼちゃ、果物(特にバナナ)なども糖質が豊富です。ただし、食物繊維の多い生野菜やきのこ類は、お腹が張りやすくなるため、摂りすぎに注意が必要です。

食事の例としては、「力うどん(うどんに餅を入れたもの)+おにぎり」や「ごはんに納豆、具沢山の味噌汁」といった組み合わせが考えられます。

水分補給の重要性と注意点:カーボローディング中の水分摂取

グリコーゲンローディング中は、水分補給もいつも以上に意識する必要があります。グリコーゲンは体内に貯蔵される際に、多くの水分と結合する性質があります(グリコーゲン1gあたり約3gの水分)。 そのため、糖質を多く摂ると同時に、十分な水分を摂取しないと、脱水状態に陥りやすくなります。また、水分が不足すると効率的にグリコーゲンを蓄えることができません。こまめに水やお茶などを飲むように心がけましょう。

この影響で、一時的に体重が増加することがありますが、これは水分とグリコーゲンが増えた証拠であり、良い兆候と捉えましょう。 ただし、体重が増えすぎると体の重さに繋がる可能性もあるため、甘いジュースなどの過剰摂取は控え、水やお茶を中心に水分補給を行うのが賢明です。

ピーキングを成功させる休養とコンディショニング

トレーニング量を減らし、食事に気を配るだけでなく、質の高い休養を取り入れて心身のコンディションを整えることも、ピーキングを成功させる上で欠かせない要素です。ここでは、睡眠やストレッチ、メンタル面の調整について解説します。

睡眠の重要性:質の高い睡眠で回復を促す

ピーキング期間中、最も重要なコンディショニングは質の高い睡眠を十分にとることです。睡眠中には、成長ホルモンが分泌され、トレーニングで傷ついた筋繊維の修復を促してくれます。 疲労回復はもちろん、体調を整え、免疫機能を維持するためにも睡眠は不可欠です。レースが近づくと緊張や興奮で寝つきが悪くなる人もいるかもしれませんが、できるだけリラックスできる環境を整えましょう。

具体的には、寝る前にスマートフォンやパソコンの画面を見るのを避ける、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる、カフェインの摂取を控えるなどの工夫が挙げられます。個人差はありますが、1日7〜8時間の睡眠時間を確保することが推奨されています。 質の高い睡眠で心身ともにリフレッシュし、最高の状態で朝を迎えられるようにしましょう。

ストレッチやマッサージの効果的な取り入れ方

トレーニング量が減るピーキング期間中も、ストレッチは毎日続けることをおすすめします。 ストレッチには、筋肉の柔軟性を高め、血行を促進する効果があり、疲労回復を助けてくれます。 特に、股関節周りやお尻、太ももの裏側(ハムストリングス)、ふくらはぎなど、ランニングで酷使する部分を重点的に、ゆっくりと時間をかけて伸ばしましょう。痛みを感じない、気持ち良いと感じる範囲で行うのがポイントです。

また、セルフマッサージやフォームローラーを使って筋肉をほぐすのも効果的です。 血行が改善され、筋肉の回復がさらに促進されます。ただし、レース直前の強いマッサージは、筋肉を傷つけるリスク(もみ返しなど)があるため避けた方が無難です。あくまでリラックスと疲労回復を目的とした、優しいケアを心がけましょう。

メンタル面の調整:リラックスして本番を迎える

レース本番で力を発揮するためには、メンタル面の調整も非常に重要です。 ピーキング期間は練習量が減るため、「本当に大丈夫だろうか」「走力が落ちてしまうのではないか」といった不安な気持ちが生まれやすい時期でもあります。しかし、この期間の目的は疲労を抜くことであると再認識し、自信を持つことが大切です。これまでのトレーニングの成果を信じ、リラックスして過ごしましょう。

好きな音楽を聴いたり、読書をしたり、友人と会って話したりと、ランニング以外のことで気分転換を図るのも良い方法です。レース当日のシミュレーションを頭の中で行い、スタートからゴールまでの流れをイメージしておくことも、不安を和らげ、自信を高めるのに役立ちます。ポジティブな気持ちでスタートラインに立つことが、成功への第一歩です。

こんな時どうする?マラソンのピーキング期間中の悩みと対策

計画通りにピーキングを進めていても、予期せぬトラブルや悩みに直面することは少なくありません。ここでは、ピーキング期間中によくある悩みとその対策について解説します。焦らず、適切に対処することで、レース本番への影響を最小限に抑えましょう。

体重が増えてしまった場合:適切な増加は問題なし

ピーキング期間中、特にグリコーゲンローディングを始めると体重が増えることがあります。 これは、体内にエネルギー源であるグリコーゲンが水分とともに蓄えられるために起こる自然な現象です。 グリコーゲン1gあたり約3gの水分が結合するため、1〜2kg程度の体重増加は、エネルギーが満タンになっている証拠であり、むしろ順調なピーキングのサインと捉えるべきです。

そのため、この程度の体重増加であれば心配する必要はありません。ただし、明らかに食べ過ぎによる脂肪の増加が原因である場合は注意が必要です。ピーキング期間中は運動量が減るため、消費カロリーも減少します。高糖質な食事は意識しつつも、お菓子や脂っこいものの食べ過ぎには気をつけ、全体のカロリーが過剰にならないようにバランスを考えることが大切です。

風邪をひいてしまった場合:勇気をもって休む判断

レース直前に風邪をひいてしまうのは、ランナーにとって最も避けたい事態の一つです。ピーキング期間は、トレーニングの負荷が減る一方で、環境の変化などから免疫力が低下し、体調を崩しやすくなることがあります。もし風邪の症状(発熱、喉の痛み、倦怠感など)が出た場合は、無理に走ろうとせず、勇気を持って休養を優先してください。

焦る気持ちは分かりますが、この時期に無理をすると回復が遅れ、レース本番に万全の状態で臨めなくなる可能性が高まります。まずは体を温かくし、十分な睡眠と栄養を摂ることに専念しましょう。軽い風邪であれば、数日の休養で回復することも多いです。体調が戻ってから、レースに影響のない範囲でごく軽いジョギングなどで最終調整を行いましょう。

不安で走りすぎてしまう場合:オーバーワークのリスクを理解する

ピーキング期間に入り練習量を減らすと、「走力が落ちるのではないか」「休んでいていいのだろうか」という不安から、ついつい走りすぎてしまうランナーがいます。しかし、これはピーキングの目的とは逆行する行為であり、絶対に避けなければなりません。

この時期の走りすぎは、せっかく抜けかけていた疲労を再び溜め込むことになり、レース当日に最も疲れた状態で臨むという最悪の事態を招きかねません。 ピーキングは、これまでの練習で積み上げてきた走力を最大限に発揮するための「積極的休養」の期間です。 不安な気持ちになった時は、ピーキングの目的を再確認し、「休むこともトレーニングの一部」と自分に言い聞かせましょう。計画を信じ、リラックスして過ごすことが、結果的に最高のパフォーマンスに繋がります。

まとめ マラソンのピーキングを成功させて自己ベスト更新へ

この記事では、マラソンレースで最高のパフォーマンスを発揮するための調整法「ピーキング」について、その目的から具体的な方法まで詳しく解説しました。

ピーキングの核心は、レースの2〜3週間前からトレーニングの「量」を戦略的に減らし、蓄積した疲労を完全に抜くことにあります。 その際、練習の「質(強度)」は維持することが重要です。 また、トレーニング調整と並行して、レース3日前からは「グリコーゲンローディング」と呼ばれる高糖質・低脂肪の食事を心がけ、体内のエネルギータンクを満タンにしましょう。 さらに、十分な睡眠やストレッチを取り入れ、心身ともにリフレッシュした状態で本番を迎えることが理想です。

練習量を減らすことに不安を感じるかもしれませんが、ピーキングはこれまでの努力をゴールで結実させるための、非常に重要な最終準備段階です。計画を信じ、自分の体を労わる時間だと前向きに捉えましょう。正しいピーキングを実践し、万全のコンディションでスタートラインに立ち、笑顔でフィニッシュテープを切ることを目指してください。

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