マラソンや日々のランニングにおいて、シューズやウェアにはこだわるけれど、サングラスは「まぶしい時だけかければいい」と考えていませんか?実は、サングラスは単なる日よけアイテムではなく、疲労を軽減し、パフォーマンスを維持するための重要なギアです。
特に長時間のレースや、日差しの強い季節のトレーニングでは、目から受けるダメージが全身の疲れに直結します。自分に合ったサングラスを選ぶことで、走りの快適さは劇的に変わります。
この記事では、初心者の方にもわかりやすく、マラソン用サングラスの効果や選び方、おすすめの機能について徹底解説します。フィット感やレンズの種類の違いを理解して、あなたのランニングライフをより充実させる1本を見つけましょう。
マラソンにサングラスは必要?おすすめする4つの理由

「プロランナーはかけているけれど、市民ランナーにも本当に必要なの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。結論から言えば、レベルに関係なく、すべてのランナーにおすすめしたいアイテムです。
サングラスを着用することで得られるメリットは、単に「まぶしくない」ということだけではありません。ここでは、ランニングの質を向上させるための4つの重要な効果について解説します。
紫外線による全身の疲労を軽減する
意外に知られていない事実ですが、目は紫外線を浴びると、その情報を脳に伝達します。すると、脳は身体を守るために「メラニンを作れ」という指令を出すと同時に、ストレスホルモンを分泌し、疲労を感じるようになります。
つまり、直接肌に日差しを浴びていなくても、目が紫外線のダメージを受けるだけで、身体全体が「疲れた」と感じてしまうのです。フルマラソンのような長時間に及ぶ運動では、この蓄積された疲労が後半の失速につながることもあります。
UVカット機能のあるサングラスで目を保護することは、単なる眼病予防だけでなく、スタミナを温存して完走を目指すための有効な戦略といえます。
まぶしさを抑えて集中力を維持する
強い日差しの中で走っていると、無意識のうちに目を細めたり、眉間にシワを寄せたりしてしまいます。この「見るための努力」は、顔や首、肩の筋肉に余計な緊張を与え、フォームの乱れや肩こりの原因になることがあります。
サングラスで過度な光をカットすることで、表情筋をリラックスさせたまま走ることができます。リラックスした状態は、深い呼吸やスムーズな腕振りにつながり、結果としてランニングへの集中力を長時間維持することに役立ちます。
また、冬場の低い太陽や、雨上がりの路面の照り返しなど、視界を妨げる光を遮断することで、ストレスのないクリアな視界を確保できます。
風・ホコリ・虫などの物理的刺激から目を守る
ランニング中は、紫外線以外にもさまざまな飛来物が目を襲います。特に河川敷や公園などの自然豊かなコースでは、小さな虫が目に入って痛みを感じたり、集中力が途切れたりした経験がある方も多いのではないでしょうか。
また、風が直接目に当たり続けると、涙が乾いてドライアイの状態になり、目がショボショボして開けていられなくなることもあります。逆に、冷たい風で涙が止まらなくなるケースもあります。
サングラスはこれらの物理的な障害物をブロックする防護壁の役割を果たします。コンタクトレンズを使用しているランナーにとっては、レンズの乾きやズレを防ぐためにも必須のアイテムです。
路面の凹凸を把握し転倒を防ぐ
マラソンコースや練習場所のアスファルトは、必ずしも平坦ではありません。小さな段差や窪み、マンホールのふたなどが存在し、疲れて足が上がらなくなってくる後半には、これらが転倒のリスクになります。
裸眼では、強い直射日光と影のコントラストが強すぎて、路面の状況が見えにくいことがあります。適切なカラーのレンズ(特にコントラストを高める色)を通してみることで、路面の凹凸がくっきりと浮かび上がり、着地する場所を瞬時に判断しやすくなります。
安全に走り続けるためにも、視覚情報の質を高めるサングラスは大きな助けとなります。
失敗しない選び方!フィット感と軽さを重視しよう

いざサングラスを選ぼうとすると、デザインや価格ばかりに目が行きがちですが、ランニング用として最も重視すべきなのは「揺れないこと」と「軽いこと」です。
走っている最中にサングラスがズレてくると、それを手で直す動作が大きなストレスになります。ここでは、快適に走り続けるための基本的な選び方のポイントを紹介します。
「アジアンフィット」で頬やまつ毛の接触を防ぐ
海外ブランドのサングラスは、欧米人の骨格に合わせて作られていることが多く、鼻が低めで頬骨が高い日本人がかけると、フィットしないことがあります。これを解消するために設計されたのが「アジアンフィット」や「ジャパンフィット」と呼ばれるモデルです。
これらはノーズパッド(鼻あて)が高めに設定されていたり、フレームのカーブが緩やかになっていたりするため、サングラスが頬に当たったり、まつ毛がレンズに触れたりするのを防ぎます。頬にフレームが当たると、着地衝撃のたびにサングラスが動いて不快なだけでなく、レンズが曇る原因にもなります。
購入の際は、必ずパッケージや説明文で、日本人向けの設計になっているかを確認しましょう。
調整可能なノーズパッドでズレを防止
顔の形は人それぞれ異なります。そのため、ノーズパッド(鼻あて)の部分が指で動かして角度や幅を調整できるタイプが非常におすすめです。
自分の鼻筋に合わせて微調整ができれば、汗をかいて肌が滑りやすくなっても、サングラスがずり落ちるのを最小限に抑えられます。また、レンズと目の距離を適切に保つことで、風の巻き込みを防いだり、通気性を確保して曇りを防いだりといったコントロールも可能になります。
ラバー素材などの滑り止め加工が施されているものであれば、激しい動きの中でも高い安定感を得られます。
長時間かけても痛くならない軽さをチェック
フルマラソンであれば4時間から5時間、ウルトラマラソンであればそれ以上の時間、サングラスをかけ続けることになります。わずかな重さの違いでも、長時間になると耳の上や鼻への圧迫感となり、頭痛の原因になることさえあります。
ランニング用のサングラスを選ぶ際は、できるだけ軽量なモデルを選びましょう。一般的に20g〜30g程度の重さであれば、軽量モデルと言えます。中には20gを切る超軽量モデルも存在します。
試着ができる場合は、かけた瞬間の軽さだけでなく、少し頭を振ってみて重さを感じないかチェックすることをおすすめします。
レンズの機能とカラーで差がつく!シーン別の正解

フレームのフィット感が決まったら、次はレンズ選びです。レンズにはさまざまな機能や色があり、走る時間帯や天候によって最適なものが異なります。
「いつ、どこで走ることが多いか」をイメージしながら、自分に合ったレンズを見つけましょう。ここでは代表的な機能とカラーについて詳しく解説します。
可視光線透過率(VLT)を目安にする
レンズの明るさや暗さを表す数値として「可視光線透過率」があります。これは、レンズがどれくらいの光を通すかをパーセンテージで示したものです。
数値が低いほど光を通さず(暗く)、数値が高いほど光を通します(明るく)。ランニングシーンに合わせた目安は以下の通りです。
【透過率の目安】
・10%〜20%(快晴・真夏):強い日差しをしっかりカット。目が透けて見えないくらいの濃さ。
・20%〜40%(晴れ〜曇り):日中のランニングで万能に使える範囲。少し目が透ける程度。
・50%〜80%(曇り・夕方・雨):薄暗い環境でも視界を確保できる明るさ。
・90%以上(夜間):ほぼ透明。風や虫よけとして使用。
最初の一本として選ぶなら、晴天から曇りまで幅広く対応できる20%〜30%程度のものが使いやすくおすすめです。
ギラつきをカットする「偏光(へんこう)レンズ」
偏光レンズは、レンズの中に特殊なフィルムを挟み込むことで、特定方向からの反射光をカットする機能を持っています。
通常の日差しだけでなく、アスファルトからの照り返し、車のフロントガラスの反射、ビルの窓ガラスの光などを効果的に抑えてくれます。これにより、路面の白線がくっきりと見えたり、景色の色彩が鮮やかに見えたりする効果があります。
「ポラライズド(Polarized)」とも表記されます。日中のロードランニングにおいて、目の疲れを最も軽減してくれる高機能レンズの一つです。
環境に合わせて色が変化する「調光(ちょうこう)レンズ」
調光レンズは、紫外線(UV)の量に反応して、レンズの色濃度が自動的に変化するレンズです。
太陽が出ている屋外では色が濃くなってサングラスになり、屋内や夜間、トンネルの中など紫外線が届かない場所では色が薄くなってメガネのようになります。スタート時は明るくてもゴール時には暗くなっているような長時間のレースや、天候が変わりやすい山間部を走るトレイルランニングに最適です。
1本で昼夜問わず使えるため、通勤ラン(行きは夜、帰りは朝など)をする人にも非常に人気があります。
【グレー系】自然な見え方で疲れにくい
レンズカラーの中で最もポピュラーなのがグレー(スモーク)系です。この色の最大の特徴は、裸眼で見た時と景色の色味がほとんど変わらないことです。
光の量だけを均一に落としてくれるため、違和感が少なく、長時間かけていても脳が色補正をする必要がないため、目が疲れにくいと言われています。特定の色を強調する効果はありませんが、晴天時のまぶしさを防ぐ能力に優れています。
初めてサングラスを買う方や、色のついた視界に慣れていない方は、まずグレー系を選ぶと失敗がありません。
【ブラウン・ピンク系】コントラストを高める
ブラウン、レッド、ピンクなどの暖色系のレンズは、青色光(ブルーライト)をカットする効果があり、コントラスト(明暗の差)をはっきりさせる機能に優れています。
曇りの日や、木陰の多いコースなどで、路面の凹凸や白線、障害物を際立たせて見やすくしてくれます。視界全体が少し明るく感じるため、気分を高揚させる効果も期待できます。
特に動くものを捉えやすくなるため、ボールスポーツなどでも使われますが、マラソンにおいても足元の安全確保に役立つカラーです。
ランナーに愛される人気ブランドの特徴を解説

スポーツサングラスには、多くのランナーから信頼を得ている定番ブランドがあります。それぞれのブランドには独自の強みや特徴があります。
ここでは、マラソン会場でよく見かける人気ブランドをいくつかピックアップし、その魅力をご紹介します。
Oakley(オークリー):圧倒的な技術力とシェア
スポーツサングラス界の絶対王者ともいえるのがアメリカの「オークリー」です。トップアスリートの着用率が非常に高く、デザインのかっこよさと機能性の高さで知られています。
最大の特徴は「PRIZM(プリズム)」と呼ばれる独自のレンズ技術です。色を調整してコントラストを最大化し、路面の状況を詳細に視認できるように設計されています。また、レンズの強度が非常に高く、飛び石などが当たっても割れにくいという安全性の高さも魅力です。
「Radar(レーダー)」や「Flak(フラック)」シリーズなどがランナーに特に人気があります。
SWANS(スワンズ):日本人のためのフィット感
日本の山本光学が展開する「スワンズ」は、100年以上の歴史を持つアイウェアブランドです。日本人の頭部形状データを基に設計されているため、海外ブランドで「どうしてもズレる」「こめかみが痛い」と悩んでいた人でも、驚くほどフィットすることが多いのが特徴です。
「ペトロイドレンズ」という耐衝撃性に優れたレンズや、走っていても揺れにくい「E-NOX(イーノックス)」シリーズなど、日本のランナーに寄り添った製品開発が行われています。
品質に対して価格が比較的抑えられているモデルもあり、コストパフォーマンスの良さでも支持されています。
goodr(グダー):おしゃれで低価格な新定番
「ランニングサングラスは高価でスポーティーすぎる」というイメージを覆したのが、L.A.発のブランド「グダー」です。数千円で購入できる手頃な価格設定と、普段使いもできるポップでファッショナブルなデザインが特徴です。
安いだけでなく、「特殊な滑り止めコーティングで汗をかいても滑らない」「偏光レンズを標準装備」など、ランニングに必要な機能をしっかり備えています。
ウェアに合わせて色違いで何本も持てる楽しさがあり、ファンランナーを中心に爆発的な人気を誇っています。
メガネユーザーや雨天時の対策はどうする?

視力が悪い方や、悪天候時のランニングなど、通常のサングラスでは対応しきれない悩みを持つ方もいるでしょう。
ここでは、特定のニーズに応えるための解決策やアイテムについて解説します。
度付きサングラスにする3つの方法
普段メガネをかけているランナーがサングラスを使用する場合、主に以下の3つの選択肢があります。
最近では、眼鏡の上からかけられる「オーバーグラス」タイプも、軽量でスタイリッシュなものが増えてきています。
雨の日や夜間はクリアレンズを活用
雨の日や夜間のランニングでは、暗い色のレンズをかけると視界が悪くなり危険です。しかし、雨粒が目に入るのを防いだり、夜間の虫や風を防いだりするために、アイウェア自体は必要です。
このようなシーンでは、「クリア(透明)レンズ」や、薄い黄色などの「ハイコントラストレンズ」が活躍します。これらは光をほとんど遮らずに、物理的なプロテクターとしての機能を果たしてくれます。
レンズ交換が可能なモデルであれば、晴れの日用と雨の日用のレンズを使い分けることで、1本のフレームで全天候に対応できます。
サングラスを長持ちさせる正しいお手入れ方法

お気に入りのサングラスを見つけたら、長く使い続けるために日々のお手入れが大切です。間違ったケアをしていると、レンズのコーティングが剥がれたり、フレームが劣化したりする原因になります。
ランニング後の適切なメンテナンス方法を覚えておきましょう。
汗や皮脂は水洗いでしっかり落とす
ランニング後のサングラスには、汗や皮脂、ホコリが付着しています。特に汗に含まれる塩分は、レンズのミラーコーティングや金属パーツを腐食させる大敵です。
使用後は必ず、真水(流水)で全体の汚れを洗い流しましょう。汚れがひどい場合は、薄めた中性洗剤(食器用洗剤など)を指につけて優しく洗います。この時、酸性やアルカリ性の洗剤(石鹸やボディソープなど)はコーティングを傷める可能性があるため使用を避けてください。
洗った後は、メガネ拭きなどの柔らかい布で水分を優しく拭き取ります。
高温になる場所への放置はNG
サングラスのレンズやフレームに使用されている樹脂素材は、熱に弱いという弱点があります。60度を超えるような高温環境に置かれると、レンズが熱膨張してコーティングにひび割れ(クラック)が生じたり、フレームが歪んだりしてしまいます。
特に注意したいのが、夏場の車の中です。ダッシュボードなどに放置すると、短時間で高温になり、一発でサングラスがダメになってしまうことがあります。
保管する際は、付属のケースに入れ、直射日光の当たらない常温の場所で保管するようにしましょう。
マラソン用サングラスのおすすめポイントを押さえて快適なランニングを
今回は、マラソン用サングラスの選び方やおすすめの機能について解説してきました。サングラスは単にかっこよく見せるためのものではなく、紫外線や疲労から身体を守り、安全に走り続けるための必須アイテムです。
選び方のポイントをおさらいすると、まずは日本人の顔に合う「フィット感」と、長時間の使用でも負担にならない「軽さ」を確認することが最優先です。その上で、走る場所や時間帯に合わせて「偏光レンズ」や「調光レンズ」などの機能を選んでいくのが失敗しない近道です。
お気に入りの1本が見つかれば、日差しが強い日のランニングも苦にならず、むしろ景色を楽しむ余裕が生まれるはずです。ぜひ自分にぴったりのサングラスを見つけて、より快適で充実したランニングライフを楽しんでください。





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