「フルマラソンに出てみたいけど、何から始めたらいいの?」「42.195kmなんて、自分に走れるわけがない…」そんな風に思っていませんか?
フルマラソンへの挑戦は、多くの人にとって大きな目標です。しかし、その長い距離を前に、どんな練習をすれば良いのか分からず、一歩を踏み出せない方も少なくないでしょう。特に運動経験が少ない初心者の方であれば、不安はさらに大きいかもしれません。
この記事では、そんなフルマラソン初心者の方々に向けて、完走を現実的な目標にするための具体的な練習メニューを、準備段階からレース本番まで、時期に合わせてやさしく解説していきます。特別な体力や経験は必要ありません。大切なのは、正しい知識を身につけ、自分に合ったペースで継続することです。
この記事を読めば、フルマラソン完走までの道のりが明確になり、明日からの練習にすぐ取り組めるようになるはずです。さあ、一緒に完走という大きな達成感を目指して、第一歩を踏み出しましょう!
フルマラソン初心者が練習メニューを始める前に知っておきたい基礎知識

本格的な練習をスタートする前に、いくつか知っておきたい大切なポイントがあります。やみくもに走り始めるのではなく、まずは目標設定や必要な道具、そして自身の体と向き合うことの重要性を理解しましょう。これらを事前に把握しておくことで、ケガのリスクを減らし、モチベーションを維持しながら、より効果的に練習を進めることができます。
目標設定の重要性:なぜ完走が最初の目標なのか
フルマラソンへの挑戦を決意したら、最初にすべきことは明確な目標設定です。初心者の方にとって、最もおすすめしたい目標は「制限時間内での完走」です。
なぜなら、タイムを意識しすぎると、自分のペースを見失い、体に過度な負担をかけてしまう可能性があるからです。特にレース後半での失速や、最悪の場合、ケガにつながることも考えられます。まずは42.195kmという長い距離を自分の力で走り切ることに集中しましょう。
多くの市民マラソン大会では、制限時間が6時間から7時間に設定されています。6時間で完走する場合、1kmあたり約8分30秒のペースです。これは、早歩きより少し速い程度のペースなので、決して非現実的な目標ではありません。まずはこの「完走」という大きな目標を達成することが、自信につながり、次のステップへの意欲を掻き立ててくれるはずです。
目標とする大会を決めるのも、モチベーション維持に効果的です。練習期間としては、運動習慣のない方なら少なくとも6ヶ月以上前から準備を始めると、無理なく体を慣らしていくことができます。また、気候が穏やかな春や秋に開催される大会を選ぶと、体への負担も少なく、気持ちよくレースに臨めるでしょう。
必要な道具と選び方:シューズ・ウェア・GPSウォッチ
快適で安全なランニングのためには、適切な道具を揃えることが不可欠です。特に、体に直接触れるものは慎重に選びましょう。
- ランニングシューズ: 最も重要なアイテムです。自分の足に合わないシューズは、ケガの直接的な原因になります。初心者の方は、クッション性が高く、足への負担を軽減してくれるモデルを選びましょう。必ずスポーツ用品店で専門のスタッフに相談し、実際に履いてみて、自分の足の形やレベルに合った一足を見つけることが大切です。
- ランニングウェア: 吸湿性・速乾性に優れた素材を選びましょう。季節に合わせて、半袖、長袖、タイツ、ショーツなどを組み合わせます。汗で体が冷えるのを防ぎ、快適なランニングをサポートしてくれます。
- GPSウォッチ: 走行距離、ペース、時間などを記録できるGPSウォッチは、練習の成果を可視化し、モチベーションを維持するのに役立ちます。自分の走りを客観的に把握することで、ペース配分や練習計画の改善にもつながります。
- その他: 大会によっては、ゼッケンや計測チップの他に、補給食や飲み物を入れるポーチ、日差しを防ぐキャップやサングラス、雨対策のレインウェアなどがあると便利です。
練習場所の選び方:公園・河川敷・ジムなど
練習を継続するためには、通いやすい場所を見つけることも大切です。自宅からのアクセスや、その日の気分、練習内容に合わせて場所を選びましょう。
- 公園・緑道: 緑が多く、景色を楽しみながら走ることができます。周回コースが設定されている公園も多く、距離の計算がしやすいのがメリットです。
- 河川敷: 信号がなく、平坦な道が続くため、ペースを維持した練習に適しています。開放的な空間で気持ちよく走れるでしょう。
- 陸上競技場: トラックは1周の距離が正確なため、ペース走やインターバル走など、タイムを意識した練習に向いています。地面が柔らかく、足への負担が少ないのも利点です。
- ランニングマシン(ジム): 天候に左右されずに練習できるのが最大のメリットです。ペースや傾斜を自由に設定できるため、計画的なトレーニングが可能です。
体調管理と食事の基本:ケガを防ぎ、効果を高めるために
フルマラソン完走には、練習だけでなく、日々の体調管理と食事が非常に重要です。せっかくのトレーニング効果も、体が資本となります。
- 十分な休息: 練習で疲労した筋肉は、休息をとることで回復し、強くなります。オーバーワークはケガの原因になるため、トレーニングと同じくらい休息を大切にしましょう。特に、練習と練習の間には休養日を設けるのが理想的です。
- バランスの取れた食事: 体を作る基本は食事です。炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルをバランス良く摂取することを心がけましょう。特に、走るエネルギー源となる炭水化物(ごはん、パン、麺類など)と、筋肉の修復を助けるタンパク質(肉、魚、大豆製品など)は意識して摂るようにしましょう。
- 水分補給: 練習中はもちろん、日常生活でもこまめな水分補給を忘れないでください。脱水はパフォーマンスの低下だけでなく、熱中症などのリスクも高めます。
【初心者向け】フルマラソン完走を目指す基本の練習メニュー

フルマラソン完走に向けた体づくりは、決して難しいものではありません。大切なのは、段階を踏んで、少しずつ体に走ることを覚えさせていくことです。ここでは、運動経験がほとんどない方でも安心して始められる、基本的な練習メニューを4つのステップで紹介します。
まずは歩くことから!ウォーキングのすすめ
「いきなり走るのはハードルが高い」と感じる方は、ウォーキングから始めるのがおすすめです。普段運動をしていない場合、急に走り出すと膝や足首を痛める原因になりかねません。まずは「運動する習慣」を身につけ、長時間の運動に耐えられる基礎的な体力を作ることが目標です。
ウォーキングの際は、ただ歩くのではなく、少しだけ意識を変えてみましょう。背筋を伸ばし、腕をしっかり振ることを心がけてください。歩幅は少し大きめにとり、普段より少し速いペースで歩くと、より効果的です。まずは週に2〜3回、1回30分程度から始めてみましょう。これに慣れてきたら、徐々に時間を延ばしたり、頻度を増やしたりしていきます。ウォーキングは、ランニングに必要な筋肉を安全に鍛えるための、とても重要な準備運動なのです。
ウォーキングに慣れたらスロージョギングへ移行
ウォーキングに慣れ、30分以上続けても苦にならなくなったら、いよいよジョギングへとステップアップします。ここでのポイントは、「スロージョギング」を意識することです。ペースは、隣の人と会話ができるくらい、あるいは「歩くより少し速いかな?」と感じる程度で十分です。速く走ることよりも、まずは「止まらずに走り続けること」を目標にしましょう。
最初は10分走るだけでもきつく感じるかもしれません。もし30分走り続けるのが難しい場合は、ウォーキングとジョギングを交互に繰り返す「ウォークブレイク」を取り入れるのがおすすめです。例えば、「5分ジョギング+2分ウォーキング」を4セット繰り返す、といった形です。無理なく続けるうちに、徐々に走れる時間が延びていきます。この段階では、週に3回、1回30分程度のジョギングを目標に、走る楽しさを感じることが大切です。
LSDトレーニングで長い距離を走る脚を作る
ある程度走り続けることに慣れてきたら、LSD(ロング・スロー・ディスタンス)トレーニングを取り入れてみましょう。LSDとは、その名の通り「長く(Long)、ゆっくり(Slow)、距離(Distance)を走る」トレーニング方法です。
目的は、フルマラソンを走り切るための持久力(スタミナ)を養うことです。ペースはスロージョギングよりもさらに遅く、息が全く上がらない、景色を楽しむ余裕があるくらいでOKです。時間は、まず60分を目標に始め、慣れてきたら90分、120分と徐々に延ばしていきます。このトレーニングは、心肺機能の向上はもちろん、長時間動き続けるための筋肉、特に毛細血管を発達させ、全身に酸素を運ぶ能力を高める効果が期待できます。週に1回、週末など時間に余裕がある時に取り組むのがおすすめです。
ビルドアップ走でペース感覚を養う
LSDで持久力の土台ができたら、次は少しだけペースに変化をつける練習にも挑戦してみましょう。そこでおすすめなのが「ビルドアップ走」です。
ビルドアップ走とは、設定した距離や時間を、後半になるにつれて徐々にペースアップしていく練習方法です。例えば、10kmを走る場合、最初の5kmはゆっくりしたジョギングペースで入り、次の3kmは少しペースを上げ、最後の2kmはさらにペースを上げて気持ちよく終える、といった形です。
この練習の目的は、レース後半の苦しい場面でもペースを維持、あるいは上げていくためのスタミナと精神力を鍛えることです。また、自分のペース感覚を養うのにも非常に効果的です。最初は短い距離から始め、無理のない範囲でペースアップを試してみましょう。レース本番で後半にバテてしまうことを防ぎ、粘り強い走りを身につけることができます。
時期別!フルマラソン初心者におすすめの練習メニュー(6ヶ月前〜)

フルマラソン完走という目標を達成するためには、計画的な練習が不可欠です。ここでは、本番の6ヶ月前から始めることを想定した、時期別の具体的な練習メニューを紹介します。自分の体力レベルに合わせて、無理のない範囲で取り組んでいきましょう。
【6〜4ヶ月前】土台作り期:走る習慣を身につける
この時期の最大の目標は、「走ることを生活の一部にする」ことです。まだ走り慣れていない体で、いきなり距離やスピードを追求すると、ケガにつながりやすくなります。焦らず、じっくりと体作りに取り組みましょう。
- 練習頻度: 週に2〜3回。
- 練習内容:
- ウォーキング(最初の1ヶ月): まずは運動に体を慣らすため、1回30分程度のウォーキングから始めましょう。
- スロージョギング: ウォーキングに慣れたら、1回30分〜40分のスロージョギングに移行します。ペースは気にせず、おしゃべりできるくらいの余裕を持つことが大切です。走り続けるのが辛い場合は、途中で歩いても構いません。
- ポイント: この時期は「楽しい」と感じることが継続の秘訣です。音楽を聴きながら、景色の良いコースを選ぶなど、自分なりに楽しめる工夫をしてみましょう。練習日以外はしっかりと休息をとり、体を回復させることも忘れずに行いましょう。
【3〜2ヶ月前】走り込み期:距離と時間を延ばす
走る習慣が身につき、体力がついてきたら、いよいよ本格的な走り込み期に入ります。この時期は、フルマラソンを走り切るためのスタミナを養成することが主な目的です。
- 練習頻度: 週に3回程度。
- 練習内容:
- 平日: 45分〜60分のジョギングを2回行います。そのうち1回は、後半に少しペースを上げる「ビルドアップ走」を取り入れると、心肺機能の強化に効果的です。
- 週末: 週に1回、LSDトレーニングを取り入れます。90分〜120分を目安に、ゆっくりとしたペースで長い時間走り続けましょう。この時期に20km程度の距離を一度経験しておくと、大きな自信につながります。
- ポイント: 練習量が増えるため、疲労が溜まりやすくなります。練習後のストレッチを念入りに行い、十分な睡眠と栄養を心がけましょう。自分の体の声に耳を傾け、痛みや違和感があれば無理せず休む勇気も必要です。
【1ヶ月前】調整期:疲労を抜き、本番に備える
レース1ヶ月前からは、練習の強度を徐々に落とし、疲労を抜いていく「テーパリング」という調整期間に入ります。これまで積み上げてきた練習の成果を本番で最大限に発揮するため、非常に重要な時期です。
- 練習頻度: 週2〜3回。
- 練習内容:
- 距離・時間の短縮: 1回の走行距離は10km未満に抑え、ジョギングなら8km、ペース走なら5km程度を目安にします。練習量をこれまでの50〜70%程度に減らし、疲労回復に努めましょう。
- レースペースの確認: 練習の中に、本番で走りたいペース(キロ7分〜7分半など)で数キロ走る練習を取り入れ、体にペースを覚えさせます。
- ポイント: この時期に「練習量が足りない」と不安になり、走り込んでしまうのは逆効果です。体をフレッシュな状態に保つことを最優先に考えましょう。大会で使う予定のシューズやウェアをこの時期に試しておき、本番で違和感がないか確認しておくことも大切です。
【レース1週間前〜当日】最終調整と当日の過ごし方
いよいよレース本番が目前に迫ってきました。ここからの1週間は、コンディションを最高の状態に整えるための最終段階です。
- 食事(カーボローディング): レース3日前からは、エネルギー源となる炭水化物を多めに摂取する「カーボローディング」を意識しましょう。ごはん、パン、パスタ、お餅などを中心に、脂質の多い食事は避けるのがポイントです。消化に良いものを選び、胃腸に負担をかけないように注意してください。
- 練習: レース2日前には、3〜4km程度の軽いジョギングで最後の刺激を入れ、前日は完全休養、もしくはストレッチ程度に留めましょう。不安から走りすぎるのは禁物です。
- 睡眠: 3〜4日前から、レース当日の起床時間に合わせて生活リズムを整え、体内時計を合わせておきましょう。前日はリラックスして、7時間程度の十分な睡眠をとることを心がけてください。
- 当日: スタートの3〜4時間前には起床し、消化の良い炭水化物中心の朝食(おにぎり、パン、うどんなど)を済ませます。会場には余裕を持って到着し、ウォーミングアップとトイレを済ませてスタートに備えましょう。
フルマラソン初心者が練習メニューにプラスしたいトレーニング

フルマラソン完走のためには、走る練習だけでなく、体を支え、効率よく動かすためのトレーニングも非常に重要です。特に初心者のうちは、筋力不足がケガの原因となることも少なくありません。ここでは、日々の練習メニューに加えることで、より安全で効果的な走りをサポートする3つのトレーニングを紹介します。
ケガ予防とパフォーマンス向上のための筋力トレーニング
ランニングは全身運動ですが、特に下半身と体幹の筋肉が重要になります。これらの筋肉を鍛えることで、フォームが安定し、長距離を走っても疲れにくい体を作ることができます。
- スクワット: 「キング・オブ・トレーニング」とも呼ばれるスクワットは、お尻(大殿筋)や太もも(大腿四頭筋)など、ランニングで使う大きな筋肉を効率よく鍛えることができます。肩幅に足を開き、椅子に座るようにお尻をゆっくり下ろしていきます。膝がつま先より前に出ないように注意し、10〜15回を1セットとして、2〜3セット行いましょう。
- フロントブリッジ(プランク): 体幹を鍛える代表的なトレーニングです。うつ伏せになり、両肘とつま先で体を支え、頭からかかとまでが一直線になるようにキープします。最初は30秒から始め、徐々に時間を延ばして60秒を目指しましょう。安定したランニングフォームの維持に不可欠です。
- カーフレイズ: ふくらはぎの筋肉を鍛えるトレーニングです。壁などに手をついて体を支え、かかとをゆっくりと上げ下げします。地面を蹴り出す力を強化し、推進力を生み出します。
これらの筋トレは、ジムに通わなくても自宅で手軽にできます。週に2回程度、走る練習のない日や、ジョギングの後などに取り入れるのがおすすめです。
柔軟性を高めるストレッチの重要性
筋肉の柔軟性が低いと、体の可動域が狭まり、無理な動きからケガにつながりやすくなります。ストレッチは、筋肉の疲労回復を促し、柔軟性を高めるために欠かせないケアです。
- 練習前の動的ストレッチ: 練習前は、体を温め、筋肉を動かす準備をする「動的ストレッチ」が適しています。腕を大きく回したり、軽くジャンプしたり、膝の屈伸運動などを行い、心拍数を少しずつ上げていきましょう。
- 練習後の静的ストレッチ: 練習後は、使った筋肉をゆっくりと伸ばす「静的ストレッチ」を念入りに行います。太ももの前後、ふくらはぎ、お尻、股関節などを、それぞれ20〜30秒かけてじっくりと伸ばしましょう。「痛気持ちいい」と感じる程度が目安です。このクールダウンが、翌日に疲労を残さないための重要なポイントになります。
効率的なフォームを身につけるためのドリル練習
きれいなランニングフォームは、見た目が良いだけでなく、無駄なエネルギー消費を抑え、効率よく前に進むために非常に重要です。フォームを改善するためのドリル練習を、ウォーミングアップの一部として取り入れてみましょう。
- もも上げ: 背筋を伸ばしたまま、左右の太ももを交互に高く引き上げます。地面からの反発をうまく利用して、リズミカルに行いましょう。
- スキップ: 大きく腕を振り、高くジャンプするようにスキップします。全身の連動性を高め、リラックスした動きを身につけるのに役立ちます。
これらのドリルは、正しい体の使い方を意識する良い機会になります。最初はぎこちなくても、繰り返すうちにスムーズな動きが身についてくるはずです。
【まとめ】フルマラソン初心者の練習メニューで完走を目指そう

この記事では、フルマラソン初心者が完走を目指すための練習メニューや準備について、網羅的に解説してきました。
まず、練習を始める前には、目標を「完走」に設定し、自分の足に合ったシューズなどの道具を揃えること、そしてケガを防ぐための体調管理と食事の基本を理解することが重要です。
具体的な練習としては、いきなり走り出すのではなく、ウォーキングから始めて徐々に体を慣らしていくことが大切です。その後、スロージョギング、持久力を養うLSD、ペース感覚を掴むビルドアップ走へと段階的に進めていきます。さらに、本番までの期間を「土台作り期」「走り込み期」「調整期」に分け、それぞれの時期に応じた計画的な練習を行うことで、無理なく実力を高めていくことができます。
また、走る練習に加えて、スクワットなどの筋力トレーニングや、練習前後のストレッチ、フォーム改善のためのドリルを取り入れることで、ケガを予防し、より効率的な走りを身につけることが可能です。
フルマラソン完走は、決して簡単な目標ではありませんが、正しい知識を持って計画的に練習を継続すれば、運動経験の少ない初心者でも十分に達成可能です。大切なのは、焦らず、自分のペースで楽しみながら続けることです。この記事が、あなたの挑戦への第一歩を後押しできれば幸いです。



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