「フルマラソンに挑戦してみたいけど、42.195kmなんて走りきれる自信がない…」多くの人がそんな不安を抱えています。しかし、意外にもフルマラソTソンの完走率は決して低くありません。日本の主要なマラソン大会では、完走率は平均して90%を超えています。
この記事では、マラソンの完走率に関する様々なデータを初心者にも分かりやすく解説します。平均的な完走率から、大会の規模やコンディションによる違い、そして完走率をさらに高めるためのトレーニング方法やレース当日の心構えまで、詳しくご紹介します。完走への不安を解消し、自信を持ってスタートラインに立つためのヒントが満載です。
マラソンの完走率ってどのくらい?気になる平均値

フルマラソンと聞くと、選ばれたアスリートだけが走りきれる過酷なスポーツというイメージがあるかもしれません。しかし、実際のところ、日本の主要な市民マラソン大会の平均完走率は91.87%と非常に高い数値が出ています。 これは、参加した100人のうち約92人がゴールにたどり着いている計算になり、多くの市民ランナーが完走という目標を達成していることを示しています。
初心者のマラソン完走率は?
マラソンに初めて挑戦する初心者にとって、完走できるかどうかは最大の関心事でしょう。初心者ランナーに特化した明確な完走率のデータは少ないものの、多くの大会で全体の完走率が90%を超えていることから、初心者でも十分に完走は可能だと言えます。
特に、制限時間が7時間と長く設定されている大会は初心者に優しく、高い完走率を誇ります。 例えば、名古屋ウィメンズマラソンや大阪マラソンなどは、制限時間が7時間でコースも平坦なため、例年96%を超える高い完走率を記録しています。 このような大会は、初めてフルマラソンに挑戦する人にとって、安心して参加できる目標と完走の喜びを得やすい大会と言えるでしょう。
男女で見るマラソン完走率の違い
マラソンの完走率を男女別に見ると、若干男性の方が高い傾向にありますが、その差はごくわずかです。例えば、ある年の大規模マラソン大会では、男性の完走率が95.2%だったのに対し、女性は95.0%でした。 他の大会のデータを見ても、男女間の完走率に大きな差は見られないことがほとんどです。
このことから、性別がマラソン完走の可否に大きく影響するわけではないことがわかります。女性ランナーも、適切なトレーニングと準備をすれば、男性と変わらず十分に完走を目指すことができます。名古屋ウィメンズマラソンのように、女性ランナーに特化した大規模でサポートの充実した大会もあり、多くの女性が完走を達成しています。
年代別のマラソン完走率の傾向
マラソンは幅広い年代の人が楽しむスポーツであり、完走者の年齢構成も様々です。アールビーズスポーツ財団が発表した2024年度のデータによると、フルマラソン完走者の数は50代が最も多く、次いで30~40代、そして29歳以下と続きます。
特筆すべきは、近年29歳以下の若い世代と、50代以上のシニア世代の完走者数が増加傾向にあることです。 これは、健康志向の高まりや、ランニングブームの定着により、幅広い世代にとってマラソンが身近な目標となっていることを示しています。40歳以上の中高年ランナーの割合は年々増加しており、2017年度には全体の6割以上に達したというデータもあります。 年齢に関わらず、計画的なトレーニングを積むことで、多くの人がフルマラソン完走という目標を達成しています。
大会の特色が左右するマラソン完走率

ひとくちにマラソン大会と言っても、その規模やコースの難易度、制限時間などは様々です。そして、これらの要素が完走率に大きく影響を与えます。ここでは、大会の特色ごとに完走率がどう変わるのかを見ていきましょう。
大規模な都市型マラソンの完走率(例:東京マラソン)
東京マラソンに代表されるような、数万人が参加する大規模な都市型マラソンは、総じて完走率が高い傾向にあります。 東京マラソン2024の完走率は96.6%にものぼりました。
この高い完走率の背景にはいくつかの理由が考えられます。まず、制限時間が7時間と長く設定されていることが挙げられます。 これにより、初心者やタイムを狙わないファンランナーも、自分のペースでゴールを目指しやすくなります。 また、コースが都市部の平坦な道が中心で、高低差が少ないことも完走を後押しする要因です。 さらに、沿道からの途切れることのない応援や、充実した給水・給食エイドステーション、しっかりとした救護体制なども、ランナーが最後まで走り抜くための大きな支えとなっています。
市民ランナー中心のアットホームな大会の完走率
全国各地で開催されている、地域に根差した市民マラソンも数多くあります。これらの大会は、大規模都市型マラソンに比べると参加人数は少ないものの、アットホームな雰囲気で人気があります。
完走率は大会ごとに異なりますが、例えば「みえ松阪マラソン」は、制限時間7時間で初心者にも優しく、完走率97%以上を誇ります。 地元の特産品が並ぶエイドステーションや、地域住民の温かい応援がランナーを後押しします。 一方で、コースのアップダウンが激しかったり、気象条件が厳しくなったりすると、完走率が下がることもあります。参加を検討する際は、過去の大会の完走率だけでなく、コースのプロフィールや開催時期の気候などを事前に調べておくと良いでしょう。
制限時間が厳しい大会の完走率への影響
マラソン大会の完走率を大きく左右する要因の一つが「制限時間」です。制限時間が7時間に設定されている大会では完走率が95%を超えることも珍しくありませんが、制限時間が短くなるほど完走の難易度は上がります。
例えば、過去のある大会では、制限時間が4時間に設定されていた時の完走率は71.83%でしたが、同じ大会が後に制限時間を6時間に延長したところ、完走率は93.4%まで上昇しました。 また、制限時間4時間という厳しい設定で知られる大田原マラソンの2017年度の完走率は78.9%と、全国平均を大きく下回っています。 このように、制限時間は完走率に直接的な影響を与えるため、特に初マラソンに挑戦する方は、制限時間に余裕のある大会を選ぶことが完走への近道と言えるでしょう。
なぜ?マラソン完走率を左右する要因

高い完走率を誇るマラソンですが、残念ながら全てのランナーがゴールできるわけではありません。では、完走できる人とできない人を分ける要因は何なのでしょうか。ここでは、完走率に影響を与えるいくつかの重要なポイントを解説します。
完走を阻む「関門」というルール
フルマラソンを走りきる上で、フィニッシュの制限時間とは別に乗り越えなければならない壁が「関門」です。 関門とは、コース上の特定地点に設けられた通過制限時間のことです。交通規制を円滑に解除するためなどの理由で設定されており、指定された時刻までにその地点を通過できないと、残念ながらレースを続けることができなくなります(リタイアとなります)。
たとえフィニッシュの制限時間内(例えば7時間)にゴールできる走力があったとしても、途中の関門に引っかかってしまっては元も子もありません。特にレース序盤の混雑で思うようにペースが上がらないと、最初の関門が意外と厳しく感じられることもあります。 大会にエントリーする際は、全体の制限時間だけでなく、各関門の場所と閉鎖時刻を事前に確認し、それを意識したペース配分を計画しておくことが非常に重要です。
天候がマラソン完走率に与える影響
レース当日の天候は、ランナーのパフォーマンスと完走率に大きな影響を与えます。特に気温は重要な要素です。一般的に、マラソンに適した気温は10℃前後と言われており、走りやすい気候であれば完走率は高くなる傾向があります。
しかし、夏場のレースや、春・秋でも予想外に気温が上昇した場合は注意が必要です。気温が高いと、脱水症状や熱中症のリスクが高まり、体力の消耗が激しくなります。これが原因でペースダウンしたり、リタイアを選択したりするランナーが増えるため、完走率は低下する傾向にあります。 逆に、極端な低温や強風、雨なども体温を奪い、筋肉の動きを鈍らせるため、完走への障壁となり得ます。天候は自分ではコントロールできませんが、どのような状況にも対応できるよう、ウェア選びやシミュレーションをしておくことが大切です。
レース当日の体調管理の重要性
レース本番で全力を出し切るためには、それまでのトレーニングと同じくらい、当日の体調管理が重要です。睡眠不足や、レース前の食事の失敗、スタート前の身体の冷えなど、ささいな不調がレース中のパフォーマンスに大きく響いてきます。
特に注意したいのが、エネルギー補給です。レース中に体内のエネルギーが枯渇してしまう「エネルギー切れ」は、30km地点を過ぎたあたりで急に足が動かなくなる、いわゆる「30kmの壁」の主な原因とされています。 これを防ぐためには、レース前の朝食をしっかり摂ることはもちろん、レース中も計画的にエイドステーションで給水・給食を行ったり、自分で補給食(ジェルなど)を携帯したりすることが不可欠です。 万全の体調でスタートラインに立つこと、そしてレース中も自分の体に耳を傾けながら適切なケアをすることが、完走への道を切り拓きます。
事前のトレーニング不足が招く結果
言うまでもなく、フルマラソン完走のための最も根本的な要因は、事前のトレーニング量です。完走できない理由の多くは、「練習不足」に集約されると言っても過言ではありません。 42.195kmという長い距離を走り続けるためには、それ相応の脚力と持久力が必要不可欠です。
特に初心者ランナーにありがちなのが、長い距離を走る練習を十分に積まないまま本番を迎えてしまうケースです。 練習で20kmや30kmといった距離を経験しておかないと、本番で未知の距離に突入した際に、身体的にも精神的にも対応が難しくなります。 忙しい日々の中でトレーニング時間を確保するのは大変ですが、継続的に走り込み、少しずつ距離を伸ばしていく地道な努力が、結局は完走への一番の近道となります。 自分の生活スタイルに合った無理のないトレーニング計画を立て、それを着実に実行することが、自信を持ってゴールテープを切るための土台となるのです。
マラソン完走率をぐっと引き上げるトレーニング術

マラソンの完走率が90%以上と聞いても、「残りの10%に入ってしまったらどうしよう」と不安になるかもしれません。しかし、適切なトレーニングを計画的に行えば、完走の確率は格段に上がります。ここでは、完走を目指すための効果的なトレーニング方法をご紹介します。
目標設定とトレーニング計画の立て方
まずは、出場する大会の制限時間内に完走するという明確な目標を設定しましょう。その上で、長期的な視点でトレーニング計画を立てることが重要です。 初めて挑戦する方は、少なくとも大会の3ヶ月~6ヶ月前から準備を始めるのが理想的です。
計画のポイントは、いきなり高い目標を掲げるのではなく、段階的にステップアップしていくことです。 例えば、「最初の1ヶ月は週に2回、30分のウォーキングから始める」「次の月はランニングを取り入れていく」といったように、無理なく継続できるメニューを組みます。 週ごとの走行距離や練習内容、そして身体を回復させるための休養日をカレンダーなどに書き出すと、進捗が可視化でき、モチベーション維持にも繋がります。
完走に不可欠な「脚づくり」とは?LSDトレーニングのすすめ
フルマラソンを走りきるためには、42.195kmという長丁場に耐えうる「脚づくり」が欠かせません。そのための基礎となるのが「LSD(ロング・スロー・ディスタンス)」というトレーニングです。これは、その名の通り「長い時間、ゆっくりしたペースで、長い距離」を走る練習法です。
LSDの目的は、スピードを上げることではなく、おしゃべりしながらでも走れるくらいのゆっくりしたペースで長時間動き続けることにあります。これにより、全身の持久力を高め、長時間の運動でエネルギー源として脂肪を効率よく使える体質に改善していく効果が期待できます。 また、毛細血管を発達させ、筋肉に酸素を送り込む能力を高めることにも繋がります。週末などを利用して、まずは90分、慣れてきたら120分、150分と、時間を延ばすことを目標に取り組んでみましょう。
本番さながらのペースで走る「ペース走」
LSDで持久力の土台ができたら、次に本番のレースペースを体に覚えさせる「ペース走」を取り入れてみましょう。これは、自分が目標とするレースペース(例えば、6時間完走なら1kmあたり約8分30秒)を設定し、一定の距離をそのペースで走り続けるトレーニングです。
最初は5km程度から始め、慣れてきたら10km、15kmと距離を伸ばしていきます。この練習により、目標ペースがどのくらいのきつさなのかを体感できるだけでなく、ペースを安定させる能力が向上します。レース本番では、周りの雰囲気にのまれてオーバーペースになりがちですが、この練習を積んでおくことで、冷静に自分のペースを刻むことができます。 GPS機能付きのランニングウォッチなどを活用すると、ペースを正確に把握しながら走れるのでおすすめです。
意外と見落としがちな補給練習
レース本番でのエネルギー切れを防ぐためには、走りながらエネルギー補給をする技術も必要です。しかし、この「補給」も練習しておかないと、本番で意外な落とし穴にはまることがあります。
例えば、普段食べ慣れないエナジージェルをレースで初めて使ったら、味が合わなかったり、お腹の調子が悪くなったりすることも考えられます。また、走りながら固形物を食べたり、コップの水をこぼさずに飲んだりするのも、慣れていないと意外と難しいものです。LSDや長めの距離を走る練習の際には、本番で使おうと考えている補給食を実際に試してみましょう。どのタイミングで、何を、どれくらい摂ると自分の体に合うのかを知っておくことは、レース後半の失速を防ぎ、完走率を高めるための重要な戦略となります。
レース当日に実践!マラソン完走率を高める秘訣

どれだけ万全なトレーニングを積んできても、レース当日の過ごし方ひとつで結果は大きく変わってしまいます。スタートラインに立った後、確実にゴールテープを切るために。ここでは、レース当日に実践したい、完走率を高めるための秘訣をお伝えします。
失敗しないためのペース配分
レース当日に最も重要なことの一つが、ペース配分です。多くの初心者が陥りがちな失敗が、スタート直後の高揚感から周りの速い流れにつられ、自分の実力以上のペースで入ってしまう「オーバーペース」です。 序盤に体力を使い果たしてしまうと、後半に必ず失速し、最悪の場合はリタイアに繋がります。
これを防ぐためには、事前に決めた自分の目標ペースを、何があっても守り抜くという強い意志が必要です。レース前半は「少し遅いかな?」と感じるくらいがちょうど良いと心得ましょう。特にスタート直後はランナーで渋滞し、思うように走れないこともありますが、焦りは禁物です。 30km地点までは体力を温存し、「マラソンは30kmから始まる」という気持ちで、冷静にレースを進めることが完走への確実な道筋となります。
エネルギー切れを防ぐ補給戦略
42.195kmという長い距離を走り続ける体は、たくさんのエネルギーを消費します。途中でエネルギーが枯渇してしまう「エネルギー切れ(ハンガーノック)」は、完走を阻む最大の敵の一つです。 そうならないためにも、計画的なエネルギー補給が不可欠です。
まず、スタートの2~3時間前には、おにぎりやパン、バナナなど、消化が良くエネルギーになりやすい朝食をしっかり摂っておきましょう。そしてレースが始まったら、「喉が渇いた」「お腹が空いた」と感じる前に、早め早めの補給を心がけることが大切です。コース上に設置されている給水所には必ず立ち寄り、こまめに水分を摂りましょう。また、1時間に1回程度を目安に、持参したエナジージェルやエイドステーションの補給食を摂るなど、自分なりの補給計画を立てて実行しましょう。
メンタルを維持し、最後まで走り抜くコツ
フルマラソンは、肉体的な厳しさだけでなく、精神的な強さも試されるスポーツです。特にレース後半、疲労がピークに達してくると、「もう歩きたい」「やめたい」といったネガティブな気持ちが湧き上がってくるものです。
そんな時に自分を支えてくれるのが、ポジティブなメンタルを維持する工夫です。例えば、沿道で応援してくれる人たちに笑顔で手を振ってみたり、「あと少しで次の給水所だ」と短い目標を設定したりするのも効果的です。また、家族や友人の顔を思い浮かべたり、この日のために頑張ってきた練習の日々を振り返ったりすることも、心を奮い立たせる力になります。つらいのは自分だけではありません。周りのランナーも同じように苦しんでいます。最後まで諦めない強い気持ちが、ゴールゲートをくぐる最後のひと押しになってくれるはずです。
まとめ マラソンの完走率を理解して、自信を持って挑戦しよう!

この記事では、「マラソン 完走率」をテーマに、様々なデータと完走のためのヒントをご紹介しました。日本の主要なマラソン大会の平均完走率は90%以上と非常に高く、初心者や女性、様々な年代の方が完走を達成していることがお分かりいただけたかと思います。
完走率を左右するのは、大会の制限時間やコース、当日のコンディションといった外的要因だけではありません。 事前に計画的なトレーニングを積み、自分のペースを守り、適切な補給を行うといった、ランナー自身の準備と戦略が何よりも重要です。
42.195kmという距離は決して簡単なものではありませんが、正しい知識と準備があれば、決して不可能な挑戦ではありません。この記事で得た情報を元に、ぜひ自信を持ってフルマラソンへの一歩を踏み出してみてください。努力の先にある完走の喜びは、きっとあなたの人生にとってかけがえのない財産となるでしょう。



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