NAHAマラソンへの参加を決めた、あるいは検討中の皆さん、大会への期待に胸を膨らませていることでしょう。しかし同時に、「どんなルートを走るんだろう?」「坂道はきついのかな?」といった不安もありませんか。NAHAマラソンは、那覇市をスタートし沖縄本島南部をぐるりと一周する、独特で魅力的なルートが設定されています。
この記事では、初めて参加する方でも安心して本番を迎えられるよう、NAHAマラソンのルートを徹底的に解説します。コースの全体像から、高低差、攻略が難しいとされるポイント、そして関門の場所や制限時間まで、詳しく丁寧にお伝えします。ルートを知ることは、完走への第一歩です。さあ、一緒にNAHAマラソンのルートを予習し、万全の準備を整えましょう。
NAHAマラソンのルート全体像とコースマップ

NAHAマラソンを攻略するためには、まずルートの全体像を把握することが大切です。ここでは、スタートからフィニッシュまでの流れ、コースの大きな特徴、そして事前に確認しておきたいコースマップの入手方法について解説します。
スタートからフィニッシュまでの流れ
NAHAマラソンのスタート地点は那覇市の奥武山公園です。号砲とともに、ランナーはまず那覇市の中心部へと向かいます。そこから南下し、南風原町、八重瀬町、糸満市、豊見城市と、沖縄本島南部の5つの市と町を巡る壮大なコースとなっています。 折り返しがないため、常に新しい景色を楽しみながら走れるのが大きな魅力です。 中間地点を過ぎてからは、美しい海岸線を横目に走る区間もあります。そして、様々な景色を越えて、再び那覇市へ戻り、スタートと同じ奥武山公園内の陸上競技場で感動のフィニッシュを迎えます。
平和祈念公園を中心とした南部路線の特徴
この大会のルートは「平和祈念公園コース」と名付けられています。 その名の通り、コースのほぼ中間地点に沖縄戦跡国定公園内にある平和祈念公園が含まれているのが最大の特徴です。 多くのランナーが、この場所で平和への想いを新たにしながら走ります。コース全体としては、序盤から中盤にかけて上り坂が多く、後半は下り基調になるという特徴があります。
この高低差が、NAHAマラソンが国内でも有数のタフなコースと言われる所以です。しかし、厳しいだけでなく、沖縄らしいサトウキビ畑が広がるのどかな風景や、活気あふれる市街地など、変化に富んだ景色がランナーを飽きさせません。
公式コースマップの入手方法と見方
事前にルートを詳細に確認するために、公式コースマップは必ず手に入れておきましょう。コースマップは、NAHAマラソンの公式サイトで公開されています。 デジタルデータで確認できるほか、ダウンロードして印刷することも可能です。マップには、1kmごとの距離表示はもちろん、給水所や救護所の場所、関門の場所などが詳しく記載されています。
さらに、高低差を示した図も用意されているので、どの区間が上りで、どこから下りになるのかを視覚的に把握できます。 これらの情報を事前に頭に入れておくだけで、レース中のペース配分や気持ちの準備が格段にしやすくなります。大会が近づいたら、公式サイトをこまめにチェックすることをおすすめします。
NAHAマラソンのルート詳細|5つの市と町を巡る

NAHAマラソンの42.195kmは、沖縄本島南部の個性豊かな5つの市町を駆け抜けるルートです。ここでは、区間ごとに移り変わる景色やコースの特徴を、距離の目安とともに詳しくご紹介します。
【スタート~5km】那覇市:熱気に包まれる国際通り
午前9時、奥武山公園をスタートしたランナーは、まず那覇市のメインストリートである国際通りを目指します。 この区間は、スタート直後ということもあり、ものすごい数のランナーと沿道の応援で熱気に満ちあふれています。 「奇跡の1マイル」とも呼ばれる国際通りの真ん中を走れるのは、NAHAマラソンならではの特別な体験です。ただし、この華やかな雰囲気につられてペースを上げすぎないよう注意が必要です。 国際通りを抜けると、ひめゆり通りを経て、5km地点の古波蔵あたりへと向かいます。 序盤のこの区間は比較的平坦ですが、多くのランナーで道幅が狭く感じるため、焦らず自分のペースを維持することが大切です。
【5km~15km】南風原町・八重瀬町:南部らしい風景へ
那覇市を抜けると、コースは南風原町、そして八重瀬町へと入っていきます。このあたりから、沖縄の南部らしいのどかな風景が広がり始めます。8km地点を過ぎたあたりから、NAHAマラソン最初の難所ともいえる上り坂が始まります。 特に、10kmから中間地点手前にかけては、高低差約40mの上り坂が4kmほど続く、厳しい区間です。 心が折れそうになるランナーも少なくありませんが、ここが前半の頑張りどころです。坂を上りきると、サトウキビ畑の中を駆け抜ける気持ちの良い道が待っています。沿道では、地域の人々による温かい応援がランナーの背中を押してくれます。
【中間地点~25km】糸満市:平和祈念公園とひめゆりの塔
八重瀬町を抜け、糸満市に入ると、コースは中間地点であり第1関門が設置されている平和祈念公園へと向かいます。 公園内は厳かな雰囲気に包まれており、多くのランナーが平和への祈りを捧げながら通過します。ここでは協賛企業によるドリンクや食べ物の提供もあり、エネルギー補給の重要なポイントとなります。 平和祈念公園を過ぎると、コースはひめゆりの塔の前を通ります。 ここで足を止め、献花をするランナーの姿も毎年見られます。 22.5km付近からは下り坂になり、進行方向の左手には美しい海が広がります。 この景色が、中盤の疲れを癒してくれるでしょう。
【25km~35km】糸満市・豊見城市:海沿いの景色とアップダウン
ひめゆりの塔を過ぎ、糸満市の市街地を抜けると、コースは海沿いの国道331号線に出ます。 このあたりからしばらくは比較的平坦な道が続きますが、レースも後半に差し掛かり、疲労が蓄積してくる頃です。 30km地点を過ぎて豊見城市に入ると、第2関門のある那覇看護専門学校が近づいてきます。 この関門を無事に通過すると、ゴールの奥武山公園まで残り約8kmです。しかし、安心するのはまだ早く、この先にはNAHAマラソン最後の大きな試練が待ち受けています。沿道の応援も少しずつ増えてくるので、力をもらいながら一歩一歩進みましょう。
【35km~ゴール】那覇市:最後の力を振り絞る奥武山公園へ
豊見城市から再び那覇市へ。37km付近から、小禄バイパスの長く緩やかな上り坂がランナーの行く手を阻みます。 ここが「最後の難所」と呼ばれる区間で、精神的にも肉体的にも最も厳しいところです。 この坂を乗り越え、40km地点の赤嶺交差点を過ぎれば、フィニッシュゲートはもうすぐです。 山下交差点から奥武山公園へと向かう最後の直線では、途切れることのない大歓声がランナーを迎えてくれます。そして、多くの感動とドラマが生まれる奥武山陸上競技場へ。6時間15分の長い旅が、ここで終わりを迎えます。
NAHAマラソン ルート最大の難関!高低差と攻略法

NAHAマラソンの完走率が他の市民マラソンに比べて低い理由の一つに、コースの激しいアップダウンが挙げられます。 ここでは、高低差グラフを基にコース全体の起伏を分析し、難所と言われる坂道の攻略法について解説します。
高低差グラフで見るコース全体のアップダウン
NAHAマラソンの公式サイトで公開されている高低差グラフを見ると、コースの起伏が一目瞭然です。 全体の傾向として、スタートから中間地点の平和祈念公園あたりまでが上り基調、そこから後半は下り基調となっています。
しかし、単純な上り下りではなく、細かなアップダウンが繰り返されるのが特徴です。 最低標高が0mなのに対し、最高標高は約103mにも達し、その高低差は100m以上になります。 この数字だけでも、平坦なコースではないことがよく分かります。特に序盤から中盤にかけての上り坂でいかに体力を消耗しないかが、完走への大きなポイントとなります。
前半の大きな上り坂とその対策
レース序盤、約8km地点から本格的な上り坂が始まります。 特に厳しいのが、10km過ぎから中間地点手前まで続く、高低差約40mの上りです。 この区間は、多くの初心者ランナーが苦しむ最初の関門と言えるでしょう。対策としては、まず序盤の平坦な区間でペースを上げすぎないことです。国際通りなどの応援ムードに流されてオーバーペースになると、坂道で一気に足が動かなくなってしまいます。
坂道では、無理にスピードを維持しようとせず、歩幅を小さくし、腕をしっかり振ってリズムを刻むことを意識しましょう。上り坂は「頑張る」のではなく「耐える」区間と割り切り、体力の消耗を最小限に抑えることが後半につながります。
「魔の坂」と呼ばれる後半の難所とは?
中間地点を過ぎるとコースは下り基調になりますが、ランナーを最後に苦しめるのが、37km付近から始まる小禄バイパスの緩やかな上り坂です。 この坂は「魔の坂」とも呼ばれ、すでに35km以上を走ってきて疲労がピークに達した脚には非常にこたえます。 見た目の傾斜はそれほどでもありませんが、だらだらと2km以上続くため、精神的にも辛い区間です。
ここでの攻略法は、とにかく前を見て、一歩一歩着実に進むことです。周囲のランナーも同じように苦しんでいます。沿道の応援を力に変え、「この坂を越えればゴールは近い」と自分に言い聞かせながら、最後の力を振り絞りましょう。
坂道トレーニングの重要性と練習方法
NAHAマラソンを攻略するには、事前の坂道トレーニングが欠かせません。平坦な道ばかりで練習していると、本番のアップダウンに対応できず、早い段階で脚が売り切れてしまう可能性があります。練習方法としては、普段のランニングコースに意識的に坂道を取り入れることが有効です。
例えば、陸橋や丘などをコースに組み込み、上りと下りを繰り返す練習(坂道インターバル)は、心肺機能と脚筋力の両方を鍛えるのに効果的です。長い上り坂が近くにない場合は、階段の上り下りや、ジムのトレッドミルで傾斜をつけて走るのも良いでしょう。坂道に慣れておくことで、本番での精神的な余裕にも繋がります。
NAHAマラソン ルート上の関門と制限時間

NAHAマラソンを完走するためには、ルートを走り切る走力だけでなく、各所に設けられた関門を制限時間内に通過する必要があります。ここでは、関門の場所と時刻、そして時間配分の考え方について詳しく解説します。
各関門の場所と閉鎖時刻一覧
NAHAマラソンには、コース上に2つの主要な関門が設けられています。 これらを指定された時刻までに通過できない場合、残念ながらその時点でリタイアとなり、競技を続けることはできません。
第1関門:平和祈念公園内 (21.3km地点) – 閉鎖時刻 12:15
第2関門:那覇看護専門学校 (34.3km地点) – 閉鎖時刻 14:10
フィニッシュ地点である奥武山陸上競技場の最終制限時間は15:15です。 大会全体の制限時間は6時間15分ですが、午前9時の号砲から計測が開始されるため、後方ブロックからスタートするランナーは、スタートラインを通過するまでに15分から20分程度のタイムロスが生じることを計算に入れておく必要があります。
時間配分の考え方とペースメイクのコツ
関門を確実にクリアするためには、事前のペース配分が非常に重要になります。特に初心者のランナーが注意したいのは、第1関門です。 スタートからのタイムロスに加え、前半は上り坂が多いことを考慮すると、思った以上に時間がかかってしまうことがあります。
完走を目指す場合、前半は余裕を持ったペースで進み、中間地点を過ぎて下り坂になってからペースを上げるという戦略を考えがちですが、NAHAマラソンではその考え方が裏目に出る可能性があります。第1関門までは、ある程度のペースを意識して走る必要があります。自分の目標タイムから1kmあたりの平均ペースを算出し、時計をこまめに確認しながら走ることが大切です。
関門に引っかからないための注意点
関門閉鎖を避けるための最大のポイントは、やはり前半のオーバーペースを避けることです。 スタート直後の高揚感で飛ばしすぎると、中盤の上り坂で大幅にペースダウンし、第1関門に間に合わなくなるというケースが多く見られます。また、NAHAマラソンの名物でもある沿道の私設エイド(個人や団体が自主的に設ける応援拠点)は非常に魅力的ですが、立ち寄りすぎて時間をロスしないように注意も必要です。
事前にコースマップで関門の位置をしっかりと確認し、関門手前では少しペースを意識するなど、メリハリをつけた走りを心がけましょう。万が一、体調不良などでリタイアする場合は、コースを巡回しているリタイアバスを利用することができます。
NAHAマラソン ルートの楽しみ方!給水所以外の私設エイド

NAHAマラソンが多くのランナーに愛される理由の一つに、沿道からの途切れることのない温かい応援と、驚くほど充実した「私設エイド」の存在があります。公式の給水所以外に、地域住民や企業がランナーのために自主的に提供する飲食物は、まさに“おもてなし”そのものです。
名物の黒糖やサーターアンダギー
沖縄ならではの差し入れとして特に人気なのが、黒糖やサーターアンダギーです。 黒糖は、疲れた身体に素早くエネルギーを補給してくれるだけでなく、ミネラルも豊富に含んでいます。一口サイズで食べやすく、走りながらでも手軽に口にできるのが嬉しいポイントです。また、沖縄の家庭的なお菓子であるサーターアンダギーは、ほんのりとした甘さが疲労を癒してくれます。これらは多くの私設エイドで提供されており、NAHAマラソンの風物詩とも言えるでしょう。差し出してくれた地元の方とのちょっとした会話も、ランナーにとっては大きな力になります。
冷たい沖縄そばやフルーツも
「マラソン中に沖縄そば?」と驚くかもしれませんが、NAHAマラソンでは、ミニカップに入った冷たい沖縄そばを振る舞ってくれる私設エイドも存在します。塩分と炭水化物を同時に補給できるため、後半のエネルギー切れを防ぐのに最適です。その他にも、みかんやバナナ、パイナップルといったフルーツ、塩気のある梅干し、チョコレートなど、提供されるものは実に様々です。 中には、コーラやスポーツドリンクだけでなく、泡盛を差し出すユニークなエイドまであるというから驚きです。 これら全てを味わうのは難しいですが、自分の体調や好みに合わせて、上手に活用しましょう。
沿道の温かい応援とハイタッチ
NAHAマラソンのルートは、最初から最後まで応援が途切れることがほとんどありません。 小さな子供からおじい、おばあまで、地域総出でランナーを応援してくれる雰囲気は、この大会最大の魅力と言えるでしょう。 差し出される手とのハイタッチは、不思議と脚を前に進める力を与えてくれます。特に、平和祈念公園前や第2関門付近では、地元の高校球児たちが元気いっぱいの声援でランナーを迎えてくれます。 苦しい時間帯に彼らとハイタッチを交わすことで、元気をもらえるランナーは少なくありません。私設エイドでの補給だけでなく、こうした沿道とのふれあいも、NAHAマラソンの大きな楽しみ方の一つです。
NAHAマラソンのルートを完走するための準備と心構え

NAHAマラソンのユニークでタフなルートを走破するためには、しっかりとした準備と、本番に臨むための心構えが不可欠です。ここでは、特に注意すべき気候対策やトレーニング、そして初心者の方が完走を目指すためのポイントをまとめました。
気温と湿度対策は必須!服装の選び方
NAHAマラソンが開催される12月の沖縄は、他の地域に比べて気温と湿度が高いのが特徴です。 年によっては、日中の気温が20℃を超えることもあり、暑熱対策が完走の重要な要素となります。 本州の冬の感覚でウェアを選ぶと、レース中に暑さで体力を奪われてしまう可能性があります。基本的には、半袖・短パンといった夏場のランニングに近い服装が良いでしょう。吸湿速乾性に優れた素材のウェアを選び、帽子やサングラスも日差し対策として有効です。また、スタート前は肌寒く感じることもあるため、ビニールポンチョや不要なTシャツなどを着用し、体が温まったらエイドのゴミ箱に捨てるといった工夫もおすすめです。
十分なトレーニングと体調管理
NAHAマラソンのコースは、前半に長い上り坂があり、平坦なコースに比べて脚への負担が大きいのが特徴です。 そのため、普段の練習から坂道を取り入れたトレーニングを行い、アップダウンに耐えられる脚作りをしておくことが非常に重要です。また、長距離を走り切るためには、30km走など、本番に近い距離を走る練習も行っておくと安心です。大会直前は、無理なトレーニングは避けて疲労を抜き、十分な睡眠と栄養バランスの取れた食事を心がけて体調を万全に整えましょう。特にレース前の一週間は、アルコールを控えるなどして、最高のコンディションでスタートラインに立てるように準備することが大切です。
初心者でも完走を目指すためのポイント
初めてフルマラソンに挑戦する方や、NAHAマラソン初参加の方は、まず「完走」を第一の目標に設定しましょう。 大切なのは、周りのペースに惑わされず、自分自身のペースを守り抜くことです。 特にスタート直後や国際通りでは、雰囲気につられて飛ばしすぎないよう自制心が必要です。 各関門の制限時間を意識しつつも、時計をこまめにチェックし、一定のペースを刻むことを心がけてください。 また、公式給水所や私設エイドを積極的に利用し、こまめな水分・エネルギー補給を怠らないことも重要です。苦しい時間帯は必ず訪れますが、沿道の温かい応援を力に変え、一歩一歩前へ進めば、必ずゴールの奥武山陸上競技場が見えてきます。
まとめ NAHAマラソンのルートを理解して完走を目指そう!

この記事では、NAHAマラソンのルートについて、コースの全体像から各区間の詳細、高低差や難所、関門、そしてルート上の楽しみ方まで、幅広く解説してきました。NAHAマラソンのルートは、那覇市の中心部から始まり、沖縄本島南部の5つの市町を巡る、変化に富んだコースです。
前半の上り坂や後半の「魔の坂」といった難所はありますが、平和祈念公園を通過する意義深い道のりや、途切れることのない沿道の応援、そして沖縄らしい私設エイドの数々は、他の大会では味わえない大きな魅力です。 事前にルートの特性や高低差をしっかりと頭に入れ、関門時間から逆算したペース配分を計画することが、完走への近道となります。本記事で得た情報を元に万全の準備を整え、太陽と海とジョガーの祭典を心ゆくまで楽しんでください。



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