「マラソンに挑戦したいけど、初心者はどれくらいの時間で完走できるんだろう?」「練習にどれくらいの時間をかければいいの?」そんな疑問をお持ちではありませんか。初めてフルマラソンに挑戦する方にとって、目標となる「時間」は大きな関心事ですよね。
この記事では、マラソン初心者の平均的な完走時間から、目標タイムを達成するための具体的な練習期間、トレーニング内容、そして本番での賢い時間配分まで、網羅的に解説します。ご自身のペースで無理なく、楽しくマラソン完走を目指すためのヒントが満載です。さあ、一緒に完走への第一歩を踏み出しましょう。
マラソン初心者の完走時間、平均はどのくらい?

フルマラソンという壮大な挑戦の前に、まずは一般的なランナーがどれくらいの時間でゴールしているのかを知ることから始めましょう。平均タイムを知ることで、ご自身の目標設定の具体的なイメージが湧きやすくなります。
フルマラソン初心者の平均的な完走タイム
フルマラソンの平均完走タイムは、男性が4時間36分台、女性が5時間5分台というデータがあります。 多くのマラソン大会では、制限時間が6時間や7時間に設定されていることが多く、初心者ランナーの多くはこの時間内での完走を目指します。 したがって、初めてフルマラソンに挑戦する方は、まず5時間から6時間台での完走を目標にするのが現実的と言えるでしょう。 もちろん、これはあくまで平均値であり、個人の体力や練習量によってタイムは大きく変動します。大切なのは、平均タイムに一喜一憂するのではなく、ご自身のペースで着実にゴールを目指すことです。
男女別・年代別で見る平均時間の違い
フルマラソンの平均タイムは、性別や年齢によっても差が見られます。一般的に、男性の方が女性よりも平均タイムが速い傾向にあります。 また、年代別に見ると、30代から40代のランナーが最も速いタイムを記録する傾向があり、それ以降は年齢とともに緩やかにタイムが落ち着いていくのが一般的です。しかし、これはあくまで全体的な傾向です。近年は健康志向の高まりから、50代、60代でマラソンを始め、素晴らしいタイムで完走する方も増えています。年齢を理由に諦める必要は全くありません。ご自身の年代の平均タイムを参考にしつつも、無理のない目標を立てることが大切です。
まずは「完走」を目標時間にしよう
初めてフルマラソンに挑戦する場合、最も重要で価値のある目標は「制限時間内に完走すること」です。タイムを気にするあまり、序盤から無理なペースで走ってしまうと、後半に体力が尽きてしまい、完走自体が難しくなってしまう可能性があります。多くの大会の制限時間は6時間から7時間程度に設定されています。 まずはこの時間内でのゴールを目標に、レースを楽しむ余裕を持つことが大切です。完走という大きな成功体験は、次のステップへの大きな自信につながります。タイムの更新は、二度目、三度目の挑戦からでも決して遅くはありません。
【目標別】マラソン初心者に必要な練習時間と期間

フルマラソン完走という目標を達成するためには、計画的なトレーニングが欠かせません。ここでは、目標タイム別に、どれくらいの練習期間と時間が必要になるのか、具体的なプランをご紹介します。ご自身の目指すゴールに合わせて、トレーニング計画を立ててみましょう。
目標「完走(6〜7時間)」のための練習プラン
制限時間内での完走を目標とする場合、まずは「長い時間動き続ける体」を作ることが最優先です。運動習慣が全くない方であれば、最低でも3ヶ月から半年の準備期間を設けるのが理想的です。最初の1〜2ヶ月は、週に2〜3回、1回30分程度のウォーキングから始め、体を動かすことに慣れていきましょう。 慣れてきたら、徐々にジョギングの時間を増やしていきます。レースの1〜2ヶ月前には、1時間半から2時間程度、ゆっくりでも走り続けられる体力をつけておきたいところです。ペースは1kmあたり8分30秒から9分程度が目安になります。 この段階では速さよりも、楽しみながら継続することを重視しましょう。
目標「6時間切り(サブ6)」を達成する練習プラン
6時間切り(サブ6)は、初心者にとって一つの大きな目標です。 これを達成するためには、1kmを8分30秒以内のペースで走り続ける必要があります。 練習期間としては、半年程度の計画的なトレーニングが推奨されます。週に3回程度のランニングを習慣にし、そのうち1回は週末に長い時間を走る練習を取り入れましょう。平日は5km程度のジョギング、週末は90分から2時間程度のLSD(後述します)や、15km〜20kmの距離走に挑戦するなど、徐々に走る距離と時間を延ばしていくことが効果的です。ペースを意識しつつも、無理なく走りきれる体力を養成することが、サブ6達成のポイントです。
目標「5時間切り(サブ5)」を目指す練習プラン
5時間切り(サブ5)は、初心者から中級者へのステップアップを意味する目標です。 サブ5を達成するには、1kmを約6分50秒のペースで走り抜く走力が必要になります。 計画的なトレーニングが不可欠で、少なくとも半年以上の期間を見込むと良いでしょう。週3〜4回の練習が目安となり、内容も少しレベルアップさせる必要があります。平日のジョギングに加え、設定したペースで一定距離を走る「ペース走」や、徐々にペースを上げていく「ビルドアップ走」といった、スピードを意識した練習(ポイント練習)を取り入れるのが効果的です。 週末には20km〜30kmの距離走を行い、レース本番に近い状況に体を慣らしていくことが重要です。
忙しいマラソン初心者のための練習時間の作り方

「マラソンの練習をしたいけれど、仕事や家事が忙しくて時間が取れない」という悩みは、多くの初心者が抱える問題です。しかし、工夫次第で練習時間を確保することは可能です。ここでは、日常生活の中にランニングを取り入れるための具体的なヒントをご紹介します。
週の練習頻度と1回あたりの練習時間の目安
マラソン初心者の場合、まずは週に2〜3回の練習を目標にしましょう。 毎日走る必要はなく、むしろ筋肉を休ませて回復させる「休養日」を設けることが、ケガの予防やパフォーマンス向上につながります。 1回の練習時間は、最初は30分程度から始め、徐々に延ばしていくのが理想です。 例えば、平日に2回30分〜1時間のジョギングを行い、週末に1回、1時間半〜2時間の長めのランニングを行うといったプランが考えられます。大切なのは、無理のない範囲で継続することです。習慣化することで、生活リズムの中に自然とランニングが組み込まれていきます。
平日の練習時間を確保するコツ
忙しい平日でも、少しの工夫で練習時間は生まれます。一つは「朝ラン」です。始業前に30分だけ早起きすれば、誰にも邪魔されない自分だけの練習時間が確保できます。朝の新鮮な空気の中を走ることは、心身をリフレッシュさせ、一日を気持ちよくスタートさせる効果も期待できます。もう一つは「通勤ラン」です。一駅手前で降りて職場まで走る、あるいは退勤後に自宅まで走るといった方法です。荷物は職場のロッカーに置いたり、ランニングステーションを利用したりすることで、身軽に走ることができます。このように、日常生活の動線上にランニングを組み込むことで、効率的に練習時間を確保できます。
休日の時間を有効活用した練習メニュー
休日は、平日にできない長めの練習に取り組む絶好の機会です。特に、フルマラソン完走のために不可欠な「長い距離を走る経験」を積む時間に充てましょう。具体的には、90分から3時間程度、おしゃべりできるくらいのゆっくりとしたペースで走り続ける「LSD(ロング・スロー・ディスタンス)」がおすすめです。 この練習は、持久力の向上や、長時間動き続けるための精神的な耐性を養うのに非常に効果的です。 また、少し時間に余裕があれば、景色の良い公園や河川敷まで足を延ばし、旅行気分でランニングを楽しむのもモチベーション維持につながります。休日の時間を計画的に使うことが、マラソン完走への着実なステップとなります。
マラソン初心者のための効果的な時間の使い方とトレーニング

やみくもに走るだけでは、なかなか走力は向上しません。目標達成のためには、限られた練習時間をいかに効果的に使うかが重要になります。ここでは、初心者が取り組むべき基本的なトレーニングと、その時間の使い方について解説します。
基礎作り:ウォーキングとジョギングにかける時間
運動習慣がなかった方が、いきなり長距離を走ると膝や足首を痛める原因になります。 まずはウォーキングから始め、体を動かすことに慣らしましょう。最初の1ヶ月は、週に2〜3回、30分程度のウォーキングを目標にします。 体が慣れてきたら、ウォーキングの途中にジョギングを挟む「ウォーク&ラン」に移行します。「5分歩いて1分走る」を繰り返すなど、無理のない範囲で少しずつ走る時間を増やしていきましょう。この基礎作りの期間をじっくりとることで、ケガをしにくい丈夫な体が作られます。焦らず、ご自身の体の声を聞きながら進めることが大切です。
長い時間をゆっくり走る「LSD」トレーニング
LSDとは「Long Slow Distance(ロング・スロー・ディスタンス)」の略で、その名の通り「長く、ゆっくり、距離を走る」トレーニングです。 目安としては、おしゃべりしながら走れるくらいの楽なペース(1kmあたり7分〜8分程度)で、90分以上走り続けます。 この練習には、持久力の源である心肺機能の向上、エネルギー源として脂肪を効率よく使う体の回路作り(脂肪燃焼)、長時間走るための筋持久力の強化といった、マラソン完走に必要な能力を総合的に高める効果があります。 特に初心者にとっては、速いペースで走る練習よりも重要度が高いと言えます。週末など、まとまった時間が取れる日にぜひ取り入れてみてください。
走力アップにつながるポイント練習の時間術
ジョギングやLSDに慣れてきたら、少し負荷の高い「ポイント練習」を週に1回程度取り入れると、走力アップにつながります。ただし、ポイント練習は体に負担がかかるため、やり過ぎは禁物です。初心者が取り入れやすいポイント練習としては、まず「ペース走」があります。これは、目標とするレースペース(例えばサブ5なら1km6分50秒)で、5km〜10km程度の一定距離を走る練習です。レース本番のペース感覚を体に覚えさせることができます。もう一つは「ビルドアップ走」です。最初はゆっくりしたペースで走り出し、徐々にペースを上げていき、最後は目標ペースよりも速いスピードで終える練習方法です。心肺機能に効果的な刺激を与えることができます。
ケガ予防に必須!筋トレとストレッチの時間
ランニングと同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが、筋力トレーニングとストレッチにかける時間です。ランニングは全身運動であり、特に下半身や体幹の筋力が弱いと、フォームが崩れてケガをしやすくなります。スクワットやランジで下半身を、プランクなどで体幹を鍛える習慣をつけましょう。これらの筋トレは、毎日5分〜10分程度でも効果があります。また、練習後のストレッチは、疲労した筋肉をほぐし、翌日に疲れを残さないために不可欠です。筋肉の柔軟性を高めることで、可動域が広がり、よりスムーズな走りができるようになります。練習時間の中に、必ず筋トレとストレッチの時間を組み込むように心がけてください。
マラソン本番で目標時間を達成するためのペース配分

どれだけ練習を積んでも、本番のレースでペース配分を間違えると、目標タイムの達成は難しくなります。スタートラインに立った時の興奮や周りの雰囲気に惑わされず、冷静に自分のペースを守ることが完走への重要な要素です。
スタートからゴールまで!理想的な時間配分とは
初心者におすすめのペース配分は、レース全体を通して一定のペースで走る「イーブンペース」です。 スタート直後は元気なため、つい周りのランナーにつられて速く走りがちですが、これは後半の失速に直結する最も避けたいパターンです。目標タイムから算出した1kmあたりのペースを、レース序盤はむしろ少し抑え気味に入るくらいの気持ちでスタートしましょう。もう一つの有効な戦略は、前半を抑え気味に走り、後半にペースを上げる「ネガティブスプリット」です。 これにより、後半に余力を残すことができ、30km以降のいわゆる「30kmの壁」を乗り越えやすくなります。 いずれにせよ、前半に飛ばしすぎないことが鉄則です。
給水・給食で上手に時間を使うコツ
42.195kmという長丁場では、エネルギー補給と水分補給が極めて重要です。エイドステーション(給水・給食所)での時間の使い方が、レース後半のパフォーマンスを大きく左右します。のどが渇いたと感じる前に、早め早めの水分補給を心がけましょう。エイドステーションでは、焦って素通りせず、一度立ち止まって確実に給水・給食を行うことが大切です。特に初心者のうちは、数分のロスを気にするよりも、エネルギー切れや脱水症状を防ぐことを優先すべきです。スポーツドリンクやエネルギーゼリー、バナナなどをこまめに摂取し、エネルギーを切らさないように走ることが、結果的に目標タイムの達成につながります。
知っておきたい「関門(カットオフタイム)」と時間対策
多くのマラソン大会では、コースの数カ所に「関門」が設けられています。 これは、交通規制や大会運営の都合上、定められた時刻までにその地点を通過しなければならないというルールです。 関門の閉鎖時刻を過ぎてしまうと、残念ながらその時点でリタイア(失格)となります。大会の公式ウェブサイトなどで、各関門の場所と閉鎖時刻を事前に必ず確認しておきましょう。特に、大規模な大会ではスタート地点を通過するまでに数分から十数分のタイムロスが生じることがあります。 このロスタイムも考慮に入れた上で、各関門を余裕をもって通過できるペース配分を計画しておくことが、安心して完走するための重要な準備となります。
まとめ マラソン初心者が時間を意識してトレーニングするポイント

この記事では、マラソン初心者が目標時間を設定し、完走を達成するために知っておきたい様々な「時間」に関する情報をお伝えしてきました。
重要なポイントは、まずご自身のレベルに合った現実的な目標時間を設定することです。初心者の場合は、平均タイムを参考にしつつも、まずは「6〜7時間での完走」を最初のゴールに据えるのが良いでしょう。その目標に向けて、ウォーキングから始めるなど、最低でも3ヶ月から半年の期間をかけて計画的にトレーニングを積むことが大切です。
忙しい中でも、朝ランや通勤ランといった工夫で練習時間を確保し、週末にはLSDなどで長い時間走り続ける体づくりを行いましょう。そしてレース本番では、前半に突っ込みすぎず、冷静なペース配分とこまめな補給を心がけることが、目標達成のための重要な要素となります。
時間と上手に付き合い、計画的なトレーニングを継続することで、フルマラソン完走という素晴らしい体験があなたを待っています。



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