フルマラソンを完走し、「次の挑戦」を探しているあなたへ。42.195kmを超える未知の領域、ウルトラマラソンに挑戦してみませんか?「自分には無理かも…」と感じるかもしれませんが、実は初心者でも完走できる大会はたくさんあります。
この記事では、ウルトラマラソン初心者が大会を選ぶ際のポイントから、完走に向けたトレーニング、必要な装備、当日の心構えまでを網羅的に解説します。この記事を読めば、ウルトラマラソンへの不安が解消され、最初の一歩を踏み出す勇気が湧いてくるはずです。さあ、一緒に未知なる冒険への扉を開きましょう。
ウルトラマラソン初心者が知っておきたい基礎知識と大会の魅力

ウルトラマラソンと聞くと、超人的なランナーだけが参加する特別な世界のイメージがあるかもしれません。しかし、基本的な知識と魅力を知れば、意外と身近に感じられるはずです。ここでは、ウルトラマラソンの定義から、初心者が完走できる可能性、そして多くのランナーを惹きつけてやまないその魅力について解説します。
そもそもウルトラマラソンとは?フルマラソンとの違い
ウルトラマラソンとは、42.195kmのフルマラソンよりも長い距離を走るマラソンの総称です。 具体的な距離は大会によって様々で、50kmや60kmから、最も一般的な100km、さらには160kmや200kmを超える大会も存在します。
フルマラソンが「速さ」を競う側面が強いのに対し、ウルトラマラソンは「完走」そのものが大きな目標となります。そのため、制限時間も13時間や14時間と長く設定されている大会が多く、走り続けるだけでなく、戦略的に歩きを取り入れたり、エイドステーション(コース上の補給所)でしっかり休憩したりすることが完走のポイントになります。 フルマラソンとは異なる、持久力だけでなく精神的な強さや自己管理能力が試されるのがウルトラマラソンの特徴です。
初心者でもウルトラマラソンは完走できる?
「フルマラソンを完走したばかりの自分が、ウルトラマラソンなんて…」と思う方もいるかもしれませんが、決して無謀な挑戦ではありません。 多くの大会で、完走を目指すランナーに優しい設定がされています。例えば、フルマラソンを4時間台で完走できる走力があれば、100kmマラソンに挑戦できる一つの目安とされています。
もちろん、十分な準備とトレーニングは不可欠ですが、適切な大会を選び、計画的に練習を積めば、初心者でも完走の達成感を味わうことは十分に可能です。 重要なのは、いきなり過酷な大会に挑戦するのではなく、自分のレベルに合った大会を見つけることです。まずは完走率の高い大会や、制限時間が長い大会を目標に設定することから始めましょう。
ウルトラマラソンに挑戦する魅力とは?
ウルトラマラソンの最大の魅力は、フルマラソンを超える圧倒的な達成感にあります。 長い時間をかけて自らの限界に挑み、ゴールゲートをくぐった瞬間の感動は、何物にも代えがたい経験となるでしょう。また、レース時間が長いため、夜明けから日没まで、刻々と変化する美しい景色を楽しみながら走れるのも魅力の一つです。
さらに、多くのウルトラマラソン大会は地域に密着しており、地元の特産品が並ぶエイドステーションや、沿道からの温かい応援など、地域の人々とのふれあいも楽しめます。 つらく苦しい道のりの中だからこそ感じられる人の温かさや、ゴール後の仲間との語らいなど、レース全体を通して得られる経験そのものが、多くのランナーを惹きつける魅力となっています。
ウルトラマラソン初心者に最適な大会の選び方

ウルトラマラソンへの挑戦を決めたら、次に取り組むべきは大会選びです。 初心者にとって、最初の大会選びはその後のウルトラマラソン人生を左右すると言っても過言ではありません。ここでは、初心者が無理なく、そして楽しく完走を目指せる大会を選ぶための4つのポイントを具体的に解説します。
距離で選ぶ!最初は100km未満がおすすめ
ウルトラマラソンには様々な距離の大会がありますが、初心者が最初に挑戦するなら、50kmから80km程度の100km未満の大会を選ぶのが賢明です。 100kmという響きは魅力的ですが、フルマラソンの倍以上の距離を走ることは、身体的にも精神的にも想像以上の負担がかかります。
まずは短い距離のウルトラマラソンで、「長時間動き続けること」に身体を慣らすことが大切です。 50kmや70kmの大会でも、完走すれば大きな自信になります。 そこで得た経験と自信を糧に、徐々に目標とする距離を伸ばしていくのが、長くウルトラマラソンを楽しむための秘訣です。焦らず、自分のペースでステップアップしていきましょう。
制限時間で選ぶ!初心者は13時間以上を目安に
制限時間は、初心者にとって非常に重要な選択基準です。ウルトラマラソンは速く走ることよりも、制限時間内にゴールすることが目標となります。そのため、できるだけ制限時間が長く設定されている大会を選びましょう。
具体的には、100kmの大会であれば13時間以上、できれば14時間あると心に余裕が生まれます。 時間に余裕があれば、途中で体調が悪くなっても焦らずに対処できますし、エイドステーションでゆっくり休憩したり、食事を摂ったりする時間も確保できます。また、予期せぬトラブルでペースが落ちてしまっても、完走できる可能性が高まります。大会の公式サイトなどで過去の完走率を確認し、完走率が高い大会を選ぶのも良い方法です。
コースの特徴で選ぶ!高低差が少なく走りやすい大会
コースの起伏も、大会の難易度を大きく左右する要素です。初心者は、なるべく高低差が少なく、全体的にフラットで走りやすいコースの大会を選ぶことを強くおすすめします。 山岳地帯を走るようなアップダウンの激しいコースは、平坦なコースに比べて脚への負担が格段に大きく、完走の難易度が一気に上がります。
湖の周りや河川敷を走るコースは、比較的平坦な場合が多く、初心者向けと言えるでしょう。 大会のウェブサイトには、通常コースの高低差マップが掲載されていますので、エントリー前に必ず確認するようにしてください。美しい景色を楽しめるコースを選ぶのもモチベーション維持につながりますが、まずは完走を最優先に考え、走りやすさを重視して選びましょう。
サポート体制で選ぶ!エイドステーションが充実した大会
長丁場のウルトラマラソンでは、エイドステーションの充実度が完走を大きくサポートしてくれます。エイドステーションとは、コース上に設けられた給水・給食ポイントのことです。初心者は、エイドステーションの数が多く、提供される補給食が豊富な大会を選ぶと安心です。
特に、おにぎりやパン、うどん、スープといった固形物が充実している大会は、エネルギー切れを防ぐ上で非常に心強い存在となります。また、エイドによっては、マッサージや冷却スプレーなどのサービスを提供してくれる場所もあります。 大会の口コミなどを参考に、ボランティアスタッフの評判が良く、おもてなしの心あふれる大会を選ぶと、つらい時間帯も乗り越えやすくなるでしょう。
【初心者向け】おすすめのウルトラマラソン大会

日本国内には、初心者でも挑戦しやすく、人気のあるウルトラマラソン大会が数多く開催されています。ここでは、特に初心者に優しいとされる4つの大会をピックアップし、その魅力や特徴を紹介します。大会選びの参考にしてみてください。
サロマ湖100kmウルトラマラソン
北海道のサロマ湖周辺を舞台に開催される、日本で最も歴史と人気のあるウルトラマラソン大会の一つです。 「ウルトラランナーの聖地」とも呼ばれ、多くのランナーが一度は走りたいと憧れる大会でもあります。コースはサロマ湖やオホーツク海、ワッカ原生花園など、北海道の雄大な自然を満喫できるのが大きな魅力です。 高低差が少なく、比較的フラットなコースレイアウトのため、ウルトラマラソン初心者でも記録を狙いやすいと言われています。 ただし、人気大会のためエントリー開始後すぐに定員に達してしまうことが多く、参加するには事前の準備が必要です。また、制限時間は13時間と、他の100km大会と比較してやや短めな点には注意が必要です。
柴又100K
東京都葛飾区の柴又と埼玉県幸手市、茨城県五霞町を結ぶ江戸川河川敷を走るウルトラマラソンです。 都心からのアクセスが良く、気軽に参加しやすいのが特徴です。コースは完全にフラットな河川敷を往復するため、アップダウンの心配がなく、ペース配分がしやすいことから初心者におすすめの大会とされています。 景色に変化が少ないという側面もありますが、エイドステーションが充実しており、ボランティアの方々の温かい応援がランナーを後押ししてくれます。制限時間も14時間と長く設定されており、初めて100kmに挑戦するランナーにとって、完走を目指しやすい環境が整っています。
丹後100kmウルトラマラソン
京都府京丹後市を舞台に、美しい日本海を眺めながら走る風光明媚な大会です。 「歴史街道丹後ウルトラマラソン」としても知られています。コースは海岸線のアップダウンが激しく、「日本屈指のタフなコース」とも言われており、決して楽な大会ではありません。しかし、その分、走りごたえと完走した時の達成感は格別です。エイドステーションでは、地元の名産品が豊富に提供され、地域を挙げての温かいおもてなしがランナーから高い評価を得ています。 制限時間も14時間と比較的長めに設定されています。美しい景色と厳しいコース、そして温かい応援が一体となった、記憶に残るレースを体験できるでしょう。
白山白川郷ウルトラマラソン
石川県白山市から岐阜県の白川郷まで、霊峰白山を望みながら走る大会です。コースは100kmの部と50kmの部があります。山間部を走るためアップダウンはありますが、豊かな自然と世界遺産・白川郷の合掌造り集落へ向かう景色は素晴らしく、苦しさを忘れさせてくれる魅力があります。特に、大自然の中を駆け抜ける爽快感は格別です。エイドステーションも充実しており、ランナーを力強くサポートしてくれます。50kmの部も設定されているため、まずは短い距離から挑戦してみたいという初心者にもおすすめです。自然豊かなコースで、非日常的なランニング体験をしたい方にぴったりの大会と言えるでしょう。
ウルトラマラソン大会に向けた初心者トレーニング計画

ウルトラマラソンを完走するためには、特別な才能よりも計画的で継続的なトレーニングが重要です。特に初心者は、いきなり長い距離を走るのではなく、段階的に身体を慣らしていく必要があります。ここでは、完走を目指すための基本的なトレーニング計画を4つのステップに分けて解説します。
まずは「歩く」ことから始めよう!LSDトレーニングのすすめ
ウルトラマラソン完走の基礎となるのは、「長時間動き続ける体力」です。 その体力を養うのに最適なトレーニングがLSD(ロング・スロー・ディスタンス)です。これは、その名の通り「ゆっくり、長く」走る(あるいは歩く)練習法です。おしゃべりできるくらいの余裕を持ったペースで、まずは2〜3時間、慣れてきたら4〜5時間と、徐々に時間を延ばしていきましょう。
ポイントは速く走ることではなく、ペースを落としてでも動き続けることです。このトレーニングにより、長時間の運動に必要な持久力や、エネルギー源として体脂肪を効率よく使う能力が向上します。 また、フォームを意識しながらゆっくり走ることで、体に負担の少ない走り方を身につけることもできます。
距離への耐性をつける!週末のロング走
LSDで長時間の運動に慣れてきたら、次は週末などを利用して、より長い距離を走る「ロング走」を取り入れましょう。目標とする大会の距離にもよりますが、例えば100kmの大会を目指すなら、レースの1ヶ月前までに、レースの半分の距離である50km程度を走っておくと、本番への自信につながります。
もちろん、いきなり50kmを走るのではなく、20km、30km、40kmと段階的に距離を伸ばしていくことが大切です。ペースは本番で想定しているペースか、それよりも少し遅いくらいで構いません。 この練習の目的は、スピードを上げることではなく、長い距離に対する身体と精神の耐性をつけることです。フルマラソンの大会を練習の一環として利用するのも良い方法です。
坂道対策は必須!アップダウンへの対応力を養う
日本のウルトラマラソン大会の多くは、コースにアップダウンが含まれています。 平坦な道ばかり練習していると、本番の坂道で脚を消耗し、失速の原因となります。そのため、日々のトレーニングに坂道を取り入れることが非常に重要です。近所に坂道があれば、そこを何往復もする「坂道ダッシュ」や、ゆっくり上り下りを繰り返す練習が効果的です。
また、丘陵地や山の遊歩道などを走る「トレイルランニング」も、脚力強化やバランス感覚を養うのに役立ちます。 上り坂では歩幅を狭くしてリズミカルに、下り坂では前傾姿勢を保ち、足への衝撃を和らげるように走るなど、坂道の走り方を意識して練習することで、本番でのエネルギー消費を抑えることができます。
メンタルを鍛える!本番を想定したシミュレーション
ウルトラマラソンは、肉体的な厳しさと同じくらい、精神的な強さも求められます。 レース後半、疲労がピークに達した時に「もう走れない」と感じる瞬間が必ず訪れます。そんな時に心を折らずに走り(歩き)続けるためには、メンタルトレーニングも欠かせません。
最も効果的なメンタルトレーニングは、本番を想定したシミュレーションを行うことです。例えば、ロング走の際に、本番で使うウェアやシューズ、バックパックを身につけ、補給食も実際に試してみましょう。 そうすることで、装備の不具合や補給のタイミングなど、事前に問題点を発見できます。また、「〇〇km地点でこの補給食を摂る」「疲れたら5分歩く」など、レースプランを具体的に立てて練習することで、本番での安心感につながり、精神的な余裕が生まれます。
ウルトラマラソン初心者が揃えるべき必須装備と大会当日の注意点

万全のトレーニングを積んでも、装備の不備や当日の戦略ミスでリタイアしてしまうケースは少なくありません。特に長丁場のウルトラマラソンでは、快適性と安全性を確保するための準備が完走を大きく左右します。ここでは、初心者が揃えるべき基本的な装備と、大会当日に心得るべきポイントを解説します。
シューズ選びが最重要!足への負担を軽減する一足
ウルトラマラソンにおいて、シューズ選びは最も重要な要素の一つと言っても過言ではありません。 長時間、長距離を走るため、足にかかる負担は相当なものになります。シューズ選びのポイントは、クッション性の高さです。衝撃をしっかりと吸収してくれる、ソールの厚いモデルがおすすめです。 また、レース後半には足がむくむことを想定し、少しゆとりのあるサイズを選ぶと良いでしょう。ただし、新品のシューズをぶっつけ本番で使うのは絶対に避けてください。 必ず事前のトレーニングで何度か履きならし、自分の足にフィットするか、靴擦れなどのトラブルが起きないかを確認しておきましょう。
ウェアとバックパックの選び方!快適性と機能性
ウェアは、吸湿速乾性に優れた素材のものを選びましょう。 長時間汗をかき続けるため、乾きにくい素材だと汗冷えを起こし、体力を奪われる原因になります。肌との摩擦を避けるため、縫い目が少ないインナーや、ワセリンなどを擦れやすい部分に塗っておくといった対策も有効です。
また、ウルトラマラソンは早朝スタートで日没後にゴールすることも多く、気温差が激しくなります。 薄手で軽量なウィンドジャケットなど、体温調節ができる上着は必須アイテムです。 これらの装備や補給食を携帯するために、ランニング用のバックパック(ザック)も必要です。体にフィットし、揺れにくいものを選びましょう。
必携品と補給食の準備!エネルギー切れを防ぐために
大会によっては、ヘッドライトやマイカップ、携帯電話などが必携品として定められている場合がありますので、大会要項を必ず確認してください。 特に、スタートが早朝だったり、ゴールが夜になったりする大会では、安全確保のためにヘッドライトは不可欠です。
そして、ウルトラマラソン完走の鍵を握るのが補給です。エイドステーションの食事だけでは足りなくなる場合に備え、自分が食べ慣れているエナジージェルや補給食を携帯しましょう。 長時間動き続けると、甘いものだけでなく、塩気のあるものや固形物が食べたくなることもあります。様々な種類の補給食を準備し、練習の段階から食べながら走ることに慣れておくことが重要です。
大会当日のペース配分とメンタル維持のコツ
大会当日は、スタート時の高揚感から、ついついオーバーペースになりがちです。しかし、これが後半の失速につながる最大の原因です。特に初心者は、「前半はウォーミングアップ」くらいの気持ちで、意識的にペースを抑えて入ることが鉄則です。 周りのランナーに抜かれても焦らず、自分の決めたペースを守りましょう。コースの厳しい上り坂では無理に走らず、早歩きに切り替える勇気も必要です。
また、疲れてくるとネガティブな思考に陥りがちですが、「景色を楽しむ」「エイドの食事を楽しむ」など、ポジティブな気持ちを意識的に持つことが大切です。 沿道の応援に笑顔で応えたり、他のランナーと声を掛け合ったりすることも、つらい時間を乗り越える力になります。
まとめ ウルトラマラソン初心者の大会挑戦を成功させるために

この記事では、ウルトラマラソン初心者が大会に挑戦するために知っておくべき情報を網羅的に解説しました。ウルトラマラソンは、フルマラソンとは異なる魅力と厳しさを持つスポーツです。成功のためには、まず自分に合った大会を選ぶことが何よりも大切です。距離や制限時間、コースの特性、サポート体制などを吟味し、無理のない計画を立てましょう。
そして、完走のためには、LSDやロング走を中心とした計画的なトレーニングが不可欠です。同時に、シューズやウェア、補給食といった装備を万全に整え、当日のペース配分やメンタル維持の戦略を練っておくことも重要になります。準備をしっかり行えば、初心者であってもウルトラマラソンを完走し、生涯忘れられない達成感を味わうことができるはずです。この記事が、あなたの新たな挑戦への第一歩となれば幸いです。



コメント