これからマラソンに挑戦する初心者にとって、シューズ選びは大切な準備の一つです。
しかし、ランニングシューズには、厚底、軽量、安定性重視、カーボン入りなど、さまざまな種類があります。「初心者はクッション性が高いものを選べばよい」「普段の靴より1cm大きくすればよい」と考えてしまいがちですが、それだけでは自分の足に合わないことがあります。
マラソン初心者の最初の一足には、クッション性だけでなく、着地時の安定感と足へのフィット感を備えたランニングシューズがおすすめです。
この記事では、初心者がシューズ選びで失敗しないための確認ポイントや、目的別に選びやすい定番モデルを紹介します。
マラソン初心者はどのようなシューズを選ぶべき?

マラソン初心者が最初の一足を選ぶときは、速く走るための機能よりも、無理なく練習を続けられることを優先しましょう。
具体的には、以下の条件を満たすシューズが候補になります。
- 着地時の衝撃を和らげるクッション性がある
- シューズが左右に傾きにくく安定している
- かかとが浮かず、足幅が窮屈でない
- ゆっくりしたジョギングにも長距離にも使える
- 靴底が極端に柔らかすぎない
このようなシューズは「デイリートレーナー」と呼ばれることがあります。日々のジョギングから長距離練習まで幅広く使えるため、初心者が最初に選ぶシューズに向いています。
一方、軽さや反発力を優先したレース用シューズは、必ずしも初心者に適しているとは限りません。走るペースやフォームによっては、履きこなすまでに時間がかかることがあります。
マラソン初心者のシューズ選びで重要な5つのポイント

初心者向けと表示されているシューズでも、すべての人の足に合うわけではありません。購入する際は、クッション性だけでなく、サイズや足幅、かかとの収まりまで確認しましょう。
クッション性と安定性のバランスを見る
クッション性は、着地したときの硬さや不快感を和らげるために役立ちます。特に、アスファルトの上を走る場合や、体への負担が気になる場合は、ある程度ソールに厚みがあるシューズが選びやすいでしょう。
ただし、柔らかければ柔らかいほど初心者向きとは限りません。
ミッドソールが柔らかすぎると、着地した際に足元が左右へ傾きやすくなる場合があります。そのため、初心者は適度なクッション性と、シューズ全体の安定感を両立したモデルを選ぶのがおすすめです。
試着したときに、かかとが大きく沈み込んだり、片足で立つとグラグラしたりしないか確認してみましょう。
足の実寸とシューズのサイズを分けて考える
ランニングシューズのサイズは、普段履いている靴の表示だけを基準にせず、自分の足長を測って決めます。
足長とは、かかとから最も長い足指までの長さです。左右で長さが違う場合は、大きい方の足に合わせます。
ランニングシューズでは、立った状態でつま先に7mm~1cm程度の余裕があることが一つの目安です。足指が自由に動かせるかも確認してください。
ただし、単純に「普段の靴より1cm大きいサイズ」を選べばよいわけではありません。ブランドやモデルによって、同じサイズ表記でも内側の長さや横幅、甲の高さが異なります。
足幅と甲の高さを確認する
足の長さが合っていても、横幅が合っていなければ快適には走れません。
足幅が狭い人が幅広のシューズを履くと、シューズの中で足が動き、マメや靴擦れにつながることがあります。反対に、足幅が広い人が細身のモデルを履くと、親指や小指の付け根が圧迫されます。
ランニングシューズには、スタンダードだけでなく、ワイドやエクストラワイドが用意されているモデルもあります。
「日本人だから幅広」と決めつけず、実際に足囲を測って選ぶことが大切です。
かかとが浮かないものを選ぶ
つま先に余裕があっても、かかとが上下に動くシューズは適切なサイズとはいえません。
シューズを履くときは、最初にかかとをシューズの後ろ側へ合わせてから靴紐を締めます。その状態で歩いたり軽く走ったりして、かかとが浮かないか確認しましょう。
かかと周辺に強い圧迫感がなく、それでいてシューズが足についてくる感覚があるものが理想です。
目的に合ったシューズを選ぶ
同じ初心者でも、走る目的によって適したシューズは変わります。
| 目的 | 選びたいシューズ |
|---|---|
| 健康のために週1~2回走る | 履き心地と安定感のバランスがよいモデル |
| 5kmや10kmの大会に出たい | 重すぎないデイリートレーナー |
| 初めてのフルマラソンを完走したい | 長時間履いても安定しやすいクッションモデル |
| 着地時のグラつきが気になる | 安定性を重視したスタビリティモデル |
| 膝や足への硬い感触が気になる | クッション性を重視したモデル |
速そうに見えるシューズではなく、自分がどのような練習をするのかを考えて選びましょう。
初心者が試し履きで確認したいチェック項目

初めてランニングシューズを購入する場合は、できるだけ店頭で試し履きをするのがおすすめです。
試着する際は、片足だけでなく必ず両足を履きます。普段ランニングで使うソックスが決まっている場合は、そのソックスを持参しましょう。
- つま先に7mm~1cm程度の余裕があるか
- 足指を自由に動かせるか
- 親指と小指の付け根が圧迫されていないか
- 土踏まずに強く当たる部分がないか
- 歩いたときにかかとが浮かないか
- くるぶしやアキレス腱に履き口が当たらないか
- 片足で立ったときに不安定すぎないか
可能であれば、店内の試走スペースやランニングマシンで軽く走ってみましょう。立っているだけでは問題がなくても、走ると足の前側やかかとに違和感が出ることがあります。
また、足がむくみやすい人は、朝よりも夕方に試着した方が、長時間走ったときに近い状態を確認しやすくなります。
マラソン初心者向けシューズのおすすめ定番モデル

ここからは、マラソン初心者が比較しやすい定番シリーズを、特徴別に紹介します。
モデルチェンジによって数字や細かな仕様は変わりますが、シリーズの基本的な位置づけを知っておけば、新しい世代が発売されたときにも選びやすくなります。
掲載モデルは2026年6月時点の情報です。購入する際は、メーカー公式サイトや販売店で最新世代と在庫状況を確認してください。
安定性を重視したい人向け
着地したときの左右のグラつきや、長距離を走った後半のフォームの乱れが気になる人には、安定性を重視したモデルが候補になります。
アシックス GEL-KAYANO 33
クッション性と安定性を組み合わせた、アシックスの代表的なシリーズです。ゆっくりしたジョギングからフルマラソン完走を目指す人まで使いやすく、足元の安定感を重視したい初心者に向いています。
アシックス GT-2000 14
GEL-KAYANOシリーズよりも、すっきりした履き心地を求める人が比較しやすいモデルです。日々のジョギングだけでなく、フルマラソンの練習にも使えます。
ナイキ ストラクチャー 26
ナイキのラインナップの中で、安定性を重視して作られているシリーズです。ナイキのデザインが好みで、ペガサスよりも足元の安定感が欲しい人に向いています。
ニューバランス Fresh Foam X 860 v15
クッション性と安定性の両方を重視したモデルです。複数の足幅が用意されることがあるため、標準幅では窮屈に感じやすい人も比較しやすいでしょう。
クッション性を重視したい人向け
ゆっくり走ることが多い人や、長時間のランニングで足裏に硬さを感じやすい人には、クッション性を重視したモデルが候補になります。
アシックス GEL-NIMBUS 28
柔らかな履き心地を重視したアシックスの定番モデルです。スピードを出すことよりも、日々のジョギングや長距離を快適に走ることを優先したい人に向いています。
ナイキ ボメロ 18
ナイキの中でもクッション性を重視したシリーズです。ペガサスよりもソールの厚みや柔らかさを求める人が比較しやすいモデルです。
HOKA BONDI 9
厚みのあるソールとクッション感が特徴です。ただし、柔らかさやソールの高さの感じ方には個人差があります。厚底に慣れていない人は、店頭で安定感を確認してから選びましょう。
ニューバランス Fresh Foam X 1080 v15
柔らかなクッション感を重視したニューバランスの代表的なシリーズです。日々のジョギングから長距離練習まで、幅広く使えるモデルを探している人に向いています。
バランスのよい一足を選びたい人向け
特別なサポート機能よりも、クッション性、軽さ、安定感をバランスよく備えた一足が欲しい人には、定番のデイリートレーナーが向いています。
ミズノ WAVE RIDER 30
ミズノを代表するランニングシューズです。極端に柔らかすぎず、着地から蹴り出しまでの自然な感覚を重視したい人に向いています。
ナイキ ペガサス 42
ジョギングからペースを上げた練習まで使いやすい、ナイキの定番シリーズです。一足でさまざまな練習に対応したい人が比較しやすいモデルです。
HOKA CLIFTON 10
厚みのあるソールを備えながら、重すぎない履き心地を目指したシリーズです。HOKAのシューズを初めて履く人の候補になりやすいモデルです。
アディダス SUPERNOVAシリーズ
クッション性と安定感を重視したデイリーランニング向けのシリーズです。ゆっくりしたジョギングを習慣にしたい人や、初めてランニングシューズを購入する人に向いています。
初心者が避けたいランニングシューズの選び方

初心者向けモデルを探していても、選び方を間違えると足に合わないシューズを購入してしまいます。
デザインだけで選ぶ
気に入ったデザインのシューズを履くことは、ランニングを続ける楽しみにもなります。
しかし、サイズや足幅が合っていなければ、走っている途中で足が痛くなる可能性があります。最初にフィット感と用途を確認し、その条件を満たしたモデルの中から好きなデザインを選びましょう。
クッションが柔らかいほどよいと考える
店頭で履いた瞬間に柔らかく感じるシューズが、長距離でも快適とは限りません。
柔らかいソールが自分の足や走り方に合わない場合、足元が安定しにくいと感じることがあります。片足立ちや軽い試走を行い、柔らかさだけでなく安定感も確認してください。
初心者だから最も重いシューズを選ぶ
安定性やクッション性を重視すると、シューズがある程度重くなることはあります。
ただし、初心者だから重いシューズを選ばなければならないわけではありません。足を動かしたときに重さが気になる場合は、同じカテゴリーにある別のモデルも履き比べてみましょう。
最初からカーボン入りシューズを選ぶ
カーボンプレートを搭載したシューズは、主にレースでスピードを出すことを目的として作られています。
反発力が高い一方で、価格が高く、耐久性や安定感が日々の練習向けモデルとは異なる場合があります。初心者の最初の一足として必須ではありません。
まずはデイリートレーナーで走る習慣を作り、タイムを狙いたくなった段階でレース用シューズを検討しても遅くありません。
マラソン初心者のシューズに関するよくある質問

初心者向けシューズの予算はいくらくらい?
初心者向けのランニングシューズは、1万円台から2万円台を中心に探すと、クッション性や安定性を備えたモデルを比較しやすくなります。
ただし、価格が高いほど自分の足に合うとは限りません。モデルチェンジ前の旧世代が値下げされている場合は、サイズが合えば有力な選択肢になります。
ランニングシューズは普段の靴より1cm大きくする?
足の実寸より7mm~1cm程度余裕を持たせることは一つの目安ですが、普段履いている靴のサイズに必ず1cm足すという意味ではありません。
足長を測り、シューズを履いて立った状態でつま先の余裕を確認してください。かかとが浮く場合は、大きすぎる可能性があります。
初心者でも厚底シューズを履いてよい?
初心者が厚底シューズを履いても問題ありません。
ただし、厚底シューズには、柔らかいモデル、硬めで安定したモデル、レース向けの反発力が高いモデルなどがあります。「厚底」という見た目だけで判断せず、用途と履き心地を確認しましょう。
ネット通販で購入してもよい?
すでに履いたことがあるモデルや、返品・サイズ交換ができる店舗であれば、ネット通販も選択肢になります。
一方、初めて購入するブランドやモデルは、同じサイズでも足幅やかかとの形が合わないことがあります。最初の一足は店頭で試着し、足長と足幅を測ってもらう方が失敗を減らせます。
大会本番で新品のシューズを使ってもよい?
購入したばかりのシューズを、フルマラソン本番で初めて使用するのは避けましょう。
短いジョギングだけでなく、10km以上の練習や長時間走る練習でも使用し、足の痛みやマメが出ないことを確認しておくと安心です。
ランニングシューズの買い替え時期は?
シューズの寿命は、走る距離、体重、路面、フォーム、保管状態によって異なります。
走行距離だけで判断せず、以下の変化が見られたら買い替えを検討しましょう。
- 左右どちらかの靴底だけが大きくすり減っている
- アウトソールが削れてミッドソールが見えている
- 以前より地面の硬さを強く感じる
- シューズが左右に傾いている
- アッパーが破れ、足を固定できなくなっている
- 同じ練習でも足に違和感が出るようになった
まとめ

マラソン初心者が最初のシューズを選ぶときは、軽さや見た目だけでなく、クッション性、安定性、サイズ、足幅、かかとのフィット感を確認することが大切です。
迷った場合は、日々のジョギングから長距離練習まで使えるデイリートレーナーを中心に探してみましょう。
安定感を重視するならGEL-KAYANOやGT-2000、Structure、860などが候補になります。クッション性を優先するならGEL-NIMBUS、Vomero、BONDI、1080などを比較できます。
一足で幅広い練習に使いたい場合は、WAVE RIDER、Pegasus、CLIFTON、SUPERNOVAなども選択肢です。
ただし、評判のよいシューズが自分の足にも合うとは限りません。できるだけ複数のモデルを両足で試着し、軽く走ったうえで、違和感の少ない一足を選んでください。

